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【V12フロンドミドシップ】フェラーリ初のSUV「プロサングエ」 プロトタイプ発見 2022年発表

掲載 更新 11
【V12フロンドミドシップ】フェラーリ初のSUV「プロサングエ」 プロトタイプ発見 2022年発表

走行テスト中のプロトタイプ発見

text:Mark Tisshaw(マーク・ティショー)

【画像】フェラーリ初のSUV、ライバルは?【超ラグジュアリーSUV5選】 全138枚

translator:Takuya Hayashi(林 汰久也)

フェラーリは2022年にパフォーマンスSUVを導入する計画を進めているが、AUTOCARのスパイカメラマンがプライベートテスト施設で走行中のプロトタイプを捉えた。

最初に公開されたプロトタイプと同様に、この最新のテスト車両は、マセラティ・レヴァンテをベースにしたボディを採用しているようだ。ただし、これは最終的な生産仕様のデザインを示すものではない。

とはいえ、新しいレベルの快適性、インテリアデザイン、室内空間をフェラーリに提供するというこのモデルの意図は見られる。レヴァンテよりもかなり低い位置にあるボディに、エンジンが配置されている場所に膨らみのある長いボンネットを採用している。

このスタイルは、フェラーリ初のSUVがフロントミドエンジンになるというAUTOCARの予想と一致する。ボンネットの膨らみは、大排気量エンジン(おそらくV12)が搭載されることを示唆している。4本のエグゾーストは、V12エンジンを搭載したGTC4ルッソや812のものと似ているように見える。

新型SUVは、コードネーム「プロサングエ」(サラブレッドの意)として開発されており、アストン マーティンDBX、ベントレー・ベンテイガ、ランボルギーニ・ウルス、ロールス・ロイス・カリナンなどとは異なるポジショニングにより、ライバルとの差別化が図られるだろう。

フェラーリの新分野を開拓

内部的には「175」とも呼ばれているプロサングエは、昨年発表された15台のニューモデルのうちの1台で、2023年までに発売される予定だ。

これらのニューモデルは2つの専用アーキテクチャーをベースに作られる。1つはF8トリブートのようなミドエンジンのスーパーカー用、もう1つはプロサングエを含むフロントミドエンジンのGTスタイルのモデル用となっている。

フェラーリのマイケル・ライターズ最高技術責任者は独占インタビューで、「このクルマと技術的なコンセプトには確信を持っています」と明かした。

「一方は本物のSUVであり、SUVのお客様を納得させるコンセプトとパッケージを持っていますが、他方では既存のSUVとの大きな差別化コンセプトがあります」

このコンセプトは、フォルクスワーゲン・トゥアレグやアウディQ7に由来するMLBプラットフォームをベンテイガやウルスが使用しているような、グループで共有されているものとは対照的に、専用のアーキテクチャーをミックスするフェラーリの思想に基づいている。

このアーキテクチャーは、フェラーリに期待されるパフォーマンスだけでなく、SUVならではの室内スペースや快適性、ユーザーフレンドリーなキャビンを実現するものだ。

ライターズは次のように語っている。

「課題は、フェラーリの新しい分野を開拓することです。わたし達は常にシャープなポジショニングを持っています。それは、特定の要素に焦点を絞ってクルマを開発し、ある種のトレードオフを行うのです」

「ここでは、全く異なるトレードオフが必要になります。わたし達は全く新しいエンジニアリングの課題を抱えることになるでしょう」

柔軟性の高いアーキテクチャー採用

フェラーリ製のスケーラブル・フロント・ミドシップ・アーキテクチャーを採用した、SUVのデザインが上層部の承認を得たことは既にAUTOCARも把握している。

2種類のアーキテクチャーのうちミドシップではない方は、V6、V8、V12のエンジンに対応し、ハイブリッドの有無にも、トランスアクスル・デュアルクラッチATにも、後輪駆動か4輪駆動かにも順応できる柔軟性の高さを持つ。定員も2名か2+2、4名かを選べるほどホイールベース長は伸縮が可能で、クーペやスパイダー、車高の高いSUV形状に対応するという。

この調整幅の中から、SUVの場合は全長5mの4シーターに設定された。高めの最低地上高は車高調整の可能なサスペンションによって実現されるだろう。オフロード性能とオンロード性能を両立させるため、アンチロール・システムも採用されるはずだ。パワートレインはSF90ストラダーレのものを派生させ、プラグイン・ハイブリッドも環境規制に合わせて搭載するようだ。

フェラーリのハイブリッドシステムでは、4.0LのV8エンジンに3基のモーターを搭載。1基はエンジンとトランスミッションの間に配され、2基はフロントタイヤを駆動することで、4輪駆動を実現する。エンジンは開発中のV6ターボが採用される可能性が高い。またトップグレードには新開発となるV12エンジンが搭載される見込みだ。

「SF90は、非常に多くの革新技術を投入した新しいクルマです。ここから、多くのモデルへと展開されていくでしょう。ですが、SUV開発の課題はまったく異なるものも含まれています。イノベーションも必要とされ、組織としても多くの学びがありました」

ライターズはSF90から派生する技術だけでなく、プロサングエの特徴でもあるイノベーションについても言及した。

またこの「プロサングエ」という名前は、今後4年間に発表されるであろう、他のGTモデルにも用いられるようだ。その中にはGTC4ルッソの後継モデルも含まれているが、開発中のSUVとは切り離された存在でもあるという。

妥協を許さないデザイン

SUVを含む新しいフェラーリ製グランドツアラーには、「ロード(路上)の目、ストリート(路地)の手」という新しいアプローチのインテリアデザインが採用される。

新デザインのステアリングホイールに車載システムやヘッドアップ・ディスプレイなどに加えて、エアコンなどの操作系やリアシートのエンターテインメント、乗降性の向上なども盛り込まれている。

レイターズはエンジニアリング面で取り組んでいる課題についても触れた。

「広いだけでなく、人間工学に基づいた快適で安楽な空間を生み出すには何が必要でしょう?スポーティでありながら、快適性にも重点を置いたデザインとは?ヒューマン・マシン・インターフェイス(HMI)のより民主化された理想とは。本当の意味での快適性とは。フェラーリの純粋なDNAを備えた快適性とは何でしょう?」

「それが取り組むべき課題であり、面白さでもあります。それぞれの概念は近いところにありますが、開発ではラインナップの広がりを構築し、異なるモデルを生み出すことを目指しているのです。V6とV12の登場も、明言はできませんが、想定しています。わたしの仕事は新しいモデルの可能性を示すこと。そして市場ニーズを聞くことです」

「お客様の求める機能性は異なります。どれだけの広さが必要なのか。6気筒や8気筒は必要なのか。ホイールベースは長い方が良いのか。そこでV6、V8、V12エンジンを用意し、フロント・ミッドシップかミッドシップかを選べ、ハイブリッドの有無や駆動方式、シートレイアウトなど幅広い選択肢を準備しています。ホイールベースの長さも自由です。最小限の影響で、ドライブトレインやレイアウトを変更できるのです」

フェラーリのデザイン部門の主任、フラビオ・マンツォーニによれば、ブランドとしても物議を醸すであろうSUVのために、デザイナーは当初からエンジニアリング部門とともに仕事を進め、より最適なプロポーションを目指してきたという。

「最初のステップでクルマのデザインが定義されますが、エンジニアと協力しながら方向性を決めていきます。プロポーションとボディサイズを決定することで、優れたデザインのベースが生まれるのです。それはSUVの場合でも同様です」

「SUVは多くのモデルの中での派生車種です。デザイナーは技術要件での制約をクリアしなければなりません。フェラーリの場合、妥協は許されないのです。エンジニアと一緒にデザインを進めなければ、パッケージの決定段階で問題が発生します。新しいプロジェクトを始める時は、(他部署との)コラボレーションを推奨しています」

プロサングエのライバルたち

ランボルギーニ・ウルス

恐らくフェラーリ製SUVの一番の競合モデルとなるだろう。2018年に発売されたウルスは、今までのランボルギーニよりも2倍以上の販売台数を稼いでいるため、フェラーリも無視できないはずだ。4.0LのV8ツインターボエンジンは650psを発生させ、0-100km/h加速3.6秒、最高速度305km/hを誇る。

アストン マーティンDBX

DBX はメルセデス製の V8 を搭載して発売されたが、将来的にはハイブリッドとアストン独自のV12が導入される可能性が高い。販売台数増加を目指す同社にとって、大きな希望だ。

ベントレー・ベンテイガ・スピード

プロサングエの価格面でのライバルはロールス・ロイス・カリナンとなるが、より自然なライバルというと、ベントレー・ベンテイガ・スピードが挙げられるだろう。軽量なシャシーには635psの6.0L V12気筒ツインターボが搭載され、ダイナミックなドライビングを実現している。インテリアの品質や室内空間、長距離運転でも快適な乗り心地は、フェラーリの目指すところか?

ロータスのSUV

プロサングエと同時期に、ロータスもSUVに参入すると見込まれている。フェラーリより安く、価格は10万ポンド(約1400万円)程度になるようだが、ドライビング重視のSUVという点では共通。ジーリーの影響も受ける、フラッグシップ・グレードのハイブリッド仕様の価格はフェラーリに迫る可能性もある。

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みんなのコメント

11件
  • フェラーリでなければ誰も買わない
  • 作りたく無いけど現代のSUVの需要考えたら作らないわけにはいかないんだろうな…

※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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