現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 「200万円台」の中身じゃない! カミソリハンドリングで恐れられた「インテR」が笑えるほど高性能だった

ここから本文です

「200万円台」の中身じゃない! カミソリハンドリングで恐れられた「インテR」が笑えるほど高性能だった

掲載 更新 64
「200万円台」の中身じゃない! カミソリハンドリングで恐れられた「インテR」が笑えるほど高性能だった

メーカー謹製のレーシングスポーツであった「タイプR」を身近に!

「もっと身近なタイプRが欲しい」

中古価格は1000万円オーバー! 10分で完売した「シビック無限RR」は採算度外視の本気すぎるマシン

 1992年のNSXタイプR登場以降、マーケットで高まる要望に応えて、1995年8月に3代目インテグラのマイナーチェンジと同時にリリースされたのがインテグラタイプR(3ドア・DC2/4ドア・DB8)だ。

高性能エンジンの代名詞であるVTECユニットをさらにファインチューン

 既存車種だったのでゼロからの開発ではなかったが、ボディ各所に最適な板厚増しやパフォーマンスロッドを追加して補強するとともに、エアコンやオーディオ、リアワイパーレスのみならず、薄厚フロントウィンドウ、防音材の廃止、バッテリーの小型化といった多岐におよぶ軽量化をおこない、ベースの「SiR」に対して40kgのダイエットに成功。またサスペンションはブッシュ類を含めて専用のハードタイプに変更。ギアレシオは2~5速までクロスレシオ化。コーナリングマシンとしての資質を高めた。

 レーシングマシンに近いハンドリング性能を持たせるとともに、高性能エンジンの代名詞であったVTECエンジン(B18C型)をさらにファインチューニング。自然吸気エンジンのパフォーマンスアップの基本に順じ、専用ハイコンプピストンによる圧縮比アップ(10.6→11.1)をし、クランクやコンロッドも強化。フリクションロスを低減するとともに吸排気系の損失低減を行うため、最適化された専用のエキマニ、インマニを装着。さらにインマニには熟練の職人の手で研磨加工が施された(初期型のみ)。 その他、スロットルバルブ径拡大、カムプロフィールの変更点は60点以上と、メーカーが作る量産エンジンとしては異例といえるほどコストがかかっている。

本格的なメーカーチューンドカーが200万円代で手に入ることで爆発ヒット

 結果、自然吸気エンジンながら、排気量を変えることなく20馬力(200馬力/18.5キロ)も高めるなど、メーカーの本気を感じさせるチューンドカーに仕上がった。

 しかも、これだけの内容を盛り込みながら価格は222.8万円(3ドア)と、若者でも手に入れられる価格に抑えられたこともあり、当時ミニバンやRVの人気が高まり、スポーツモデルの低迷が叫ばれていた中でも、スポーツユーザーから支持され、大ヒットとなった。またインテグラのブレイクにより、リクライニング式ながらサポート性の高い赤のレカロシート、チタン製のシフトノブ、赤いエンブレムは、その後のタイプRのアイデンティティとして定着してくことになる。

 ただ、タイプRの登場で「タイプR以外はインテグラにあらず」の傾向が強まり、スペシャリティカーであるベースモデルの販売が低迷することに……。この流れがインテグラシリーズの寿命を縮めることとなったのはなんとも皮肉な話である。

 ここで一つ疑問がある。量産型タイプRはなぜ、ホンダのスポーツモデルの代名詞であるシビックではなくインテグラに設定されたのだろうか? 

B16A型VTEC、B18C型「96spec」、最強のスポーツエンジンを次々と搭載

 これはあくまでも想像の域を超えないのだが、1980年代から2000年頃のホンダのスペシャリティ路線のクルマには先進機構を積極的に盛り込もうとしたのではないだろうか? しかも、しっかりと役割分担があり、上級のプレリュードはABSや4WS、さらにはATTS(左右駆動輪分配システム)などの革新的なメカニズムが投入され、インテグラは最新のスポーツエンジンを搭載する流れだったと思う。

 こう書くと「タイプRのB18C以外は2代目に搭載された1989年のB16A型VTECエンジンしかないじゃないか?」との声が届きそうだが、じつは1984年にシビック/CR-Xに採用された名機ZC型ツインカムエンジンは当初クイント・インテグラ用(初代)として開発されており、レースホモロゲーションの関係で前倒しでシビックに搭載されたそうだ。

 もちろん、支流であるインテグラで磨き上げ、熟成した上で本流のシビックに搭載する意味合いもあったのではないだろうか。

「98spec」で完成度を高め、FF車最速モデルとして人気は不動のものになる

 話を戻すと、初代タイプRの人気を得たのは、圧倒的なパフォーマンスもさることながら、専用のB18C型エンジンには「96spec」のサブネームが付けられているとおり、のちにバージョンアップモデルが登場するのが謳われていたこともある。そしてデビューから2年半後に進化した「98spec」が登場する。 ブレーキ径の拡大、4in1のステンレス製マニホールド、タイヤの大径&ワイド化、ボディの剛性アップなど「96spec」で指摘された部分を徹底的に見直し、洗練されたモデルへと磨き上げられたことで、速さと人気は不動のものとなっていく。

 1999年末には最後のマイナーチェンジとなる「00spec」がデビュー。 平成10年の「アイドリング規制」に対応するもので、性能面の改良は施されなかったが、オーディオや電動格納ミラー、キーレスエントリーなどの装備を組み込んだ豪華仕様の「タイプR・X」が追加。特化型のピュアスポーツだけではなく、幅広いユーザーを取り込むためのモデルも加わった。

 FF車最速モデルとして、スポーツカー乗りから高い評価を受けたインテグラタイプRは2001年7月にベースとなるインテグラのフルモデルチェンジにともない、2代目へと進化。

 プレリュードの生産中止にともない、ホンダのスペシャリティカーを一手に引き受けることとなり、ボディサイズが3ナンバーとなり、4ドアセダンは廃止された。

「2L化」「6速MT」「ブレンボブレーキ」などポテンシャルを高めた2代目

 エンジンは新開発のK20A型の2LDOHCをベースに吸排気効率が高められ、20馬力アップの220馬力(トルクは21キロ)を発揮、ミッションも6速MTへとバージョンアップ。 ブレーキにブレンボと共同開発の4ポット/2ポットブレーキを組み合わせるなど、ポテンシャルを一段と高め、2代目FF最速モデルとしてストリートからサーキットまでパフォーマンスを見せつけた。ただ快適装備も盛り込まれたことで、初代モデルのような走りに特化したピュアスポーツとしてのイメージはやや薄れた。 また、同じ2LのS2000よりエンジン性能で劣っていたことから、最強のタイプRとしてユーザーがやや物足りなさを感じていたのは事実だ。

 2004年にサスペンションの取り付け部やステアリングコラムの剛性アップ、ブレーキのコントロール性を向上させるなど、進化の手を緩めることなくブラッシュアップしているが、クーペ市場の人気低迷により、2007年に市場からフェードアウトした。

 スポーツカーとしての人気を得るにはバックボーンにある程度のストーリー性が必要ということだろう。実際、中古車市場では2代目よりも初代のほうが人気は高く、前者が200万円以下で多く存在しているのに対して、後者は250万円前後の予算が流通の中心必要。距離の薄いものは400万円代と新車以上のプレミア価格となっている。FFでもスポーツできることを証明した初代の功績は今も燦然と輝いているのだ!

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油5円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

破格の約90万円!! ダイハツ・[コペン]は今こそ買い時でしょ!
破格の約90万円!! ダイハツ・[コペン]は今こそ買い時でしょ!
ベストカーWeb
[BEV]計画着々と進行中!? トヨタが福岡県に[BEV]電池工場を新設
[BEV]計画着々と進行中!? トヨタが福岡県に[BEV]電池工場を新設
ベストカーWeb
アストンマーティン・ヴァルキリーのデビュー戦とふたりのドライバーが決定。IMSAはデイトナを欠場へ
アストンマーティン・ヴァルキリーのデビュー戦とふたりのドライバーが決定。IMSAはデイトナを欠場へ
AUTOSPORT web
モリゾウがトヨタを激励。豊田スタジアム新コースでの“人力パワー”に観客から拍手/WRC写真日記
モリゾウがトヨタを激励。豊田スタジアム新コースでの“人力パワー”に観客から拍手/WRC写真日記
AUTOSPORT web
「エニカ(Anyca)」サービス終了…カーシェアはどこへ向かうのか?
「エニカ(Anyca)」サービス終了…カーシェアはどこへ向かうのか?
ベストカーWeb
オジエが豊田スタジアムステージの苦手意識を明かす「僕たちはいつも遅い」/ラリージャパン デイ1コメント
オジエが豊田スタジアムステージの苦手意識を明かす「僕たちはいつも遅い」/ラリージャパン デイ1コメント
AUTOSPORT web
オヤジむせび泣き案件!! ホンダの[デートカー]が帰ってくるぞ!! 新型[プレリュード]は究極のハイブリッドスポーツだ!!!!!!!!!
オヤジむせび泣き案件!! ホンダの[デートカー]が帰ってくるぞ!! 新型[プレリュード]は究極のハイブリッドスポーツだ!!!!!!!!!
ベストカーWeb
ラリージャパン2024が開幕。勝田貴元が新レイアウトのスタジアムステージで3番手発進/WRC日本
ラリージャパン2024が開幕。勝田貴元が新レイアウトのスタジアムステージで3番手発進/WRC日本
AUTOSPORT web
N-VANより安い200万円以下!? スズキ新型[エブリイ]は配達業を助ける!! 航続距離200kmのBEVに生まれ変わる
N-VANより安い200万円以下!? スズキ新型[エブリイ]は配達業を助ける!! 航続距離200kmのBEVに生まれ変わる
ベストカーWeb
実録・BYDの新型EV「シール」で1000キロ走破チャレンジ…RWDの走行距離はカタログ値の87.9%という好成績を達成しました!
実録・BYDの新型EV「シール」で1000キロ走破チャレンジ…RWDの走行距離はカタログ値の87.9%という好成績を達成しました!
Auto Messe Web
8年目の小さな「成功作」 アウディQ2へ試乗 ブランドらしい実力派 落ち着いた操縦性
8年目の小さな「成功作」 アウディQ2へ試乗 ブランドらしい実力派 落ち着いた操縦性
AUTOCAR JAPAN
RSCフルタイム引退のウインターボトム、2025年は古巣に復帰しウォーターズの耐久ペアに就任
RSCフルタイム引退のウインターボトム、2025年は古巣に復帰しウォーターズの耐久ペアに就任
AUTOSPORT web
ハコスカ!? マッスルカー!?「ちがいます」 “55歳”ミツオカ渾身の1台「M55」ついに発売 「SUVではないものを」
ハコスカ!? マッスルカー!?「ちがいます」 “55歳”ミツオカ渾身の1台「M55」ついに発売 「SUVではないものを」
乗りものニュース
スズキ、軽量アドベンチャー『Vストローム250SX』のカラーラインアップを変更。赤黄黒の3色展開に
スズキ、軽量アドベンチャー『Vストローム250SX』のカラーラインアップを変更。赤黄黒の3色展開に
AUTOSPORT web
元ハースのグロージャン、旧知の小松代表の仕事ぶりを支持「チームから最高の力を引き出した。誇りに思う」
元ハースのグロージャン、旧知の小松代表の仕事ぶりを支持「チームから最高の力を引き出した。誇りに思う」
AUTOSPORT web
本体35万円! ホンダの「“超”コンパクトスポーツカー」がスゴい! 全長3.4m×「600キロ切り」軽量ボディ! 画期的素材でめちゃ楽しそうな「現存1台」車とは
本体35万円! ホンダの「“超”コンパクトスポーツカー」がスゴい! 全長3.4m×「600キロ切り」軽量ボディ! 画期的素材でめちゃ楽しそうな「現存1台」車とは
くるまのニュース
リアウィンドウがない! ジャガー、新型EVの予告画像を初公開 12月2日正式発表予定
リアウィンドウがない! ジャガー、新型EVの予告画像を初公開 12月2日正式発表予定
AUTOCAR JAPAN
最近よく聞く「LFP」と「NMC」は全部同じ? EV用バッテリーの作り方、性能の違い
最近よく聞く「LFP」と「NMC」は全部同じ? EV用バッテリーの作り方、性能の違い
AUTOCAR JAPAN

みんなのコメント

64件
  • ほんとあの頃は20代前半でも手の届くこの手の車がいっぱいあった・・・・
    さすがに今、中古に手を出すのは厳しいけど
    どこか安全基準取っ払ってあの時代のような軽量で電子デバイスないボンネットの低い高回転の車を新車で出してくれないかなあ・・・
    高くなって売れんだろうけど、願望です
  • 当時のジムカーナの上位勢はこいつとシビック(EK9)で常に独占されてたなぁ
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村