■歴代フェアレディZのなかでも特別なモデルを振り返る
日産グローバルのYouTube公式チャンネルで、2020年5月28日に公開された動画には、次期「フェアレディZ」と思われるクルマが映し出されています。
ついに出る!? 日産新型「フェアレディZ」!? 次期型Z35は原点回帰か?
ほぼシルエットのみの公開なため詳細は明らかになっていませんが、どうやら初代のデザインをインスパイアしているようにも見えます。
そこで、これまで販売されてきた歴代フェアレディZのなかから、特別なモデルを5台ピックアップして紹介します。
●フェアレディZ 432R
初代フェアレディZは1969年に発売され、それまで2シーターオープンカーだったダットサン「フェアレディ」からすべてが刷新された3ドアファストバックスタイルに生まれ変わりました。
初代の標準仕様には2リッターと2.4リッターの直列6気筒SOHCエンジンが搭載されましたが、「スカイラインGT-R」と同じエンジンを搭載した高性能モデルの「フェアレディZ 432」をラインナップ。
フェアレディZ 432には160馬力(グロス、ハイオク仕様)を発揮する2リッター直列6気筒DOHC24バルブの「S20型」が搭載されており、「432」というネーミングは「4バルブ・3キャブレター・2カムシャフト」に由来しています。
そして、フェアレディZ432には、100kg以上の軽量化が施されたモータースポーツベース車「フェアレディZ 432R」が存在しました。
軽量化の手法として、フロントウインドウ以外の窓がすべてガラスからアクリルに変えられ、内装はラジオやヒーターだけでなく時計すらも省略。
また、始動するための鍵はシフトレバーの後方に移設されており、ハンドルロックも付いていません。当然ながら下回りのアンダーコートもなく、音や熱は容赦なく室内に侵入してくる仕様となっています。
FRP製ボンネットの下にあるエンジンにはエアクリーナーボックスが無いため、キャブレターのファンネルもむき出しの状態です。
なお、本来ならばフェアレディZ 432Rは、レースに出場するユーザー以外には販売されないはずでしたが数十台が流通しており、現存数は10台ほどといわれ、歴代フェアレディZのなかで、もっともレアなモデルです。
●ダットサン「280ZX 10th Anniversary」
1978年に、日産は2代目となるS130型フェアレディZを発売しました。
フェアレディZの主戦場だった北米での展開は1979年からで、車名はダットサン「280ZX」です。
直列6気筒エンジンを収めるロングノーズとファストバックスタイルは初代を踏襲しながら、ボディサイズは全長4420mm×全幅1690mm×前高1295mm(日本仕様)と、GTカーにふさわしい伸びやかなフォルムを実現。
1980年には、ルーフのセンター部分を残し、左右独立の脱着式グラスルーフを持つ「Tバールーフ」もラインナップされました。
Tバールーフが加わると同時に、北米のみで販売された「280ZX 10th Anniversary」が登場。初代の「240Z」が発売されてから10周年を記念したモデルです。
ボディカラーはブラックとゴールド、またはブラックとレッドのツートーンカラーが2タイプ設定され、内装もレザーシートなど専用の装飾が施されていました。
280ZX 10th Anniversaryは合計3000台が販売され、内訳はブラック/ゴールドが2500台、ブラック/レッドが500台で、いまも高い人気を誇っています。
●300ZX 50th Anniversary
1983年に3代目となるZ31型フェアレディZが発売されました。
外観は2代目から一新され、エンジンは従来の直列6気筒に代わって、新世代のV型6気筒の「VG型」を搭載。
北米では1984年に「300ZX」という名で発売され、同年に日産自動車創立50周年を記念する「300ZX 50th Anniversary」が北米専用モデルとして登場します。
ベースは2シーターの「300ZX TURBO」で、カラーリングは専用のシルバー/ブラックのツートーンカラーを設定。
外観は日本仕様よりもワイドなフロントフェンダーに、リアにはオーバーフェンダーが装着され、16インチホイールを標準装備し、運転席側フロントフェンダーには、「50th Anniversary」のバッジが装着されています。
また、内装は50周年記念ロゴが刺繍されたレザーシートとフロアマットが採用され、デジタルメーターやコンパス、ハイエンドオーディオなどが装備されるなど豪華仕様です。
300ZX 50th Anniversaryは人気を博し、最終的に約5000台が販売されました。
■スタイリッシュなフェアレディZが、より華やかに変身!?
●フェアレディZ コンバーチブル
Z32型 4代目フェアレディZは1989年に発売。それまでのロングノーズ・ショートデッキという古典的スポーツカーのフォルムを捨て、ワイド&ローな新世代スポーツカーへ変貌しました。
ボディは2シーターと4シーターの2タイプを設定。どちらも巧みにデザインされており、先代までのような明らかなフォルムの差は見られません。
また、内装も洗練されており、ドライバーを包み込むようにラウンドしたインパネまわりは、上質なスポーツカーにふさわしいデザインとなっています。
そして、1992年にシリーズ初のオープンモデル「フェアレディZ コンバーチブル」が登場。優れたデザインと評された4代目のなかでも、ひと際華やかなモデルでした。
ルーフは手動式のソフトトップが採用され、ボディ剛性の確保と万が一の場合の乗員保護を目的としたロールバーが備わっています。
4代目フェアレディZは2000年まで生産されましたが、コンバーチブルは1998年で販売を終了。その後、5代目と6代目で「フェアレディZ ロードスター」としてオープンモデルが復活しました。
●フェアレディZ Version NISMO Type 380RS
2002年に、5代目となるフェアレディZが登場するとターボエンジンが廃止され、自然吸気ながらも280馬力を発揮する3.5リッターV型6気筒DOHCエンジンの「VQ35DE型」を搭載。
外観は初代をオマージュするかのようなイメージとなり、歴代フェアレディZにあった4シーターは廃止されて、全車2シーターのみとなります。
2003年以降は、ラインナップの拡充が図られ、2007年にはニスモの手によって作られた、最高出力350馬力を発揮する3.8リッターエンジンを搭載する「フェアレディZ Version NISMO Type 380RS」を300台限定で発売。
このモデルは、スーパー耐久参戦用モデル「フェアレディZ Version NISMO Type 380RS-Competition」を公道走行仕様に変更したもので、エンブレム以外の前後バンパーやフロントスポイラー、リアスポイラーは同じくニスモが開発した「Version NISMO」と同様の仕様なため、外観での主張は控えめです。
300台のみの販売とあって、現在ではかなりレアなモデルとなっています。
※ ※ ※
フェアレディZは、2019年に発売50周年という大きな節目を迎えました。
歴代モデルに一貫して共通するのは、6気筒エンジンをフロントに搭載してリアを駆動する2シーター車ということですが、こうしたコンセプトを長年継承しているのは、ほかにはポルシェ「911」くらいです。
そして冒頭にあるとおり、いよいよ新型が登場間近。
フェアレディZのデザインはすでにアイコン化されているため、大きくイメージを変えることはありませんが、新型には果たしてどんなパワーユニットが搭載されるのでしょうか。いまから楽しみで仕方ありません。
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みんなのコメント
Z32のコンバーチブルはカッコ良かった!今またZ32の評価が見直されているので将来は高価になるかもしれません。
クルマを降りて、振り返ってほくそ笑む。そんなクルマに毎日乗れることに感謝です。