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試乗 新型BMW 1シリーズ(F40型)プロトタイプ FF化もハンドリング維持

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試乗 新型BMW 1シリーズ(F40型)プロトタイプ FF化もハンドリング維持

もくじ

ー 駆動方式の変更
ー トップモデルも4気筒に
ー 新システムが貢献
ー テストコースと公道で試乗
ー ウエットでも扱いやすい
ー 1シリーズらしいハンドリングを維持
ー 番外編:M135 xドライブ サーキットでの印象

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駆動方式の変更

BMWの新型1シリーズ(メイン画像はAUTOCARオリジナルの予想イラスト)について語るなら、まずはリアではなくフロント部分に触れるべきだろう。なぜなら、このモデルでは駆動軸がフロントに置かれているのだ。これは非常に大きな変化といえる。2004年に初代1シリーズが発売されて以来、後輪駆動であることはBMWの「究極のドライビングマシン」という理想の実現のために欠かせない要素であると考えられてきたのだ。

BMWのドライビングダイナミクスを統括するピーター・ランゲンは、「わたしはこのクルマがFFかFRかということは議論したくありません」と語る。それよりも、この新型1シリーズがどのように進化したかに重点を置きたいとのことだ。「すべての新型BMWは、ドライバビリティにおいて先代を上回らねばなりません」と彼はいう。

BMWの調査によれば、1シリーズの購買層の多くは駆動方式について気にしない、もしくはそもそも知らないという結論が出ている。彼らは単にBMWのプレミアム感と快適性のみを求めているということだ。

彼らがより重視するのは室内空間の広さだ。今までの1シリーズは、後輪駆動レイアウトゆえメルセデス・ベンツAクラスやアウディA3などのライバルたちに対して後席空間や荷室容量などについて後塵を拝していた。これを解決すべく、今回のF40型は前輪駆動化されたというわけだ。

トップモデルも4気筒に

新型1シリーズは2シリーズやX2、さらにミニ・カントリーマンに用いられているBMWのFAAR前輪駆動プラットフォームの最新版が採用されている。これにより、車体寸法自体は先代とほぼ変わらず、後席のニールームは30mm、荷室容量は20ℓ拡大しているとのことだ。

BMWによれば、1シリーズの潜在顧客の大半は、このことが後輪駆動らしいハンドリングよりも重要だとのことだ。もちろん、1シリーズのオーナーの中でもハンドリングを重視するひとは多数存在しているし、AUTOCARの読者は大半がそちら側に属していると考えている。

そしてこのグループに属するひとびとは、FAARプラットフォームのエンジンが縦置きでなく横置きであることも気にするだろう。このレイアウトによりボンネットを短くすることができるが、現行M140iに搭載される340psの6気筒ユニットは収まらないだろう。

したがって、トップモデルは310psの2.0ℓ4気筒を搭載するM135i xドライブが最上位となるだろう。このM135i xドライブにはBMW製のAWDシステムが搭載される。これは前輪駆動をベースとし、最大50%のトルクが後軸に分配されるものだ。

新システムが貢献

荷室容量を追求することは、しばしばその対価としてパフォーマンスが犠牲になるものだ。しかし、ランゲンは新型1シリーズは1シリーズらしいハンドリングを維持していると語る。「われわれは(初代1シリーズが登場した)15年前よりもはるかに高い技術力を持っており、前輪駆動車でもBMWらしいハンドリングを実現することができます」と彼はいう。

BMWは5年間をかけ、1シリーズ用にランゲンのチームの要求を満たすシステムおよびハードウェアを開発している。特に時間を要したのはサスペンション、デフ、そして新ソフトウェアだ。ホイールのトレッドは拡大され、ボディ剛性は高められている。リアアクスルにはブーメラン型ストラットが採用され、F40型それぞれに専用のマウントが用意されるとのことだ。

i3Sで初めて採用されたARBと呼ばれる新しいトラクションコントロールの要は、トルセン式リミテッド・スリップ・デフだ。このシステムはコントローラーがエンジンに直結されることにより、信号の伝達遅延を低減しているのが特徴だ。

BMWによれば、このシステムは以前のものよりも10倍速く動作し、より適切なパワーマネジメントができるという。そしてこれはBMWのダイナミック・スタビリティ・コントロール(DSC)やヨーコントロールシステムとも協調して動作し、各輪のブレーキを独立して操作することによりトラクションとスタビリティを確保する。

テストコースと公道で試乗

DSCおよびARBの効果により、前輪駆動車にありがちなアンダーステアが劇的に減少しているという。これはBMWがいう「1シリーズらしいハンドリングをさらに改善」という言い分に合致する。

これを確かめるべく、今回われわれは内外装に厳重な偽装が施された新型1シリーズをBMWがフランス・ミラマに所有するテストコースおよびその周辺の公道で試乗した。今回試乗したのは142psの1.5ℓ3気筒ガソリンエンジンを搭載するエントリーレベルの118i、そして193psの2.0ℓ4気筒ディーゼルを搭載する120d xドライブだ。別件だが、われわれは最上位のM135i xドライブもテストを行っている(後述)。

われわれが今回公道で試乗した118iに装備されていたスタンダードサスペンションは非常によくバランスが取れているように感じられた。段差をうまくいなし、高速走行でも低速コーナーでも安定した走りを見せた。

BMWの得意分野のひとつであるステアリングも、非常にダイレクトかつ安心できるものであった。もちろん、コーナーを攻め込めばアンダーステアの兆候を感じることがあるだろうが、BMW車に想定される運動性能の水準は十分に満たしていると感じられた。

ウエットでも扱いやすい

1.5ℓ3気筒エンジンと7速ATの組み合わせは、他の一部のライバルほどの鋭さはなく、スリルについても一歩譲るところがある。しかし、ある程度速度が乗ってくればそのレスポンスは満足のいくものになる。

1シリーズに採用された新しステムの能力を示すべく、BMWはわれわれにウエットのハンドリングコースを用意し、スポーツサスペンションを装備した新型118iと、F20型の118iでの比較をさせてくれた。

当初の想定とは異なり、グリップが不足する状況での操作性は新しい前輪駆動モデルの方がよりニュートラルかつ扱いやすいものであった。

新しいDSCシステムはステアリング入力にも対応する。通常の前輪駆動車では大幅なアンダーステアが発生するような速度でコーナーに進入すると、このシステムがパワーを制御しグリップを確保してくれるのだ。

1シリーズらしいハンドリングを維持

8速のステップトロニックATを搭載し、より多くのパワーをもつ120d xドライブはより鋭い加速を見せた。xドライブシステムの動作も自然であり、フロントアクスルからリアへの出力配分の変化を感じ取るのは難しい。

118iと比較してみても、後輪を駆動するためにドライブトレインに追加された部品による運動性能の変化は感じられなかった。最終調整がまだ完了していないにも関わらず、良好な印象を受けた。

新型1シリーズの出来栄えについて、厳密な評価を下すにはまだ時期尚早といえる。しかし、車内スペースの拡大や快適性の向上により、プレミアムハッチ界において他の強力なライバルたちと対等に渡り合えるだけの実力を備えていることは確かだろう。

前輪駆動への変化は依然として注目に値する点であるが、今後おもに語るべき点は、「それだけの大きな変革があったにもかかわらず、1シリーズは1シリーズらしいハンドリングを維持している」ということであろう。

番外編:M135 xドライブ サーキットでの印象

最上位のM135i xドライブは、先代のF20型のM140iから2気筒減らされ、さらにパワーも約30ps減じている。しかし、BMWによれば、より扱いやすいパワーを手に入れたことによりその最高速度や加速性能は変わっていないという。

新モデルはM235iグランクーペにも搭載される新設計の4気筒エンジンの搭載により、先代にくらべ20kg軽量化されたという。F40世代の各モデルに専用のセッティングが施されているほか、M140iとは異なりAWDが標準設定される。

テストコースにおいてはパフォーマンスに不満はなく、安心できるハンドリングを見せてくれた。エンジンの回転上昇もスムーズであり、サウンドも良好だ。

M135iはフォード・フォーカスSTやメルセデス-AMG A35にも十分対抗可能な実力を備えている。

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