レクサスのラインアップに新たに加わった「UX」。2016年のパリモーターショーでコンセプトモデルを発表し、都会派コンパクトクロスオーバーとして注目を浴びた。UXは「アーバンクロスオーバー」の意で、2018年11月から国内で販売が始まった。初動の1カ月で月販目標900台を大幅に上回る10倍近くの8800台の受注があった注目のモデルだ。早速試乗してきたので、お伝えしよう。
試乗したのは2.0Lガソリンモデルで、ライバルの多くはダウンサイジングのターボ搭載モデルが多い。ライバルに遜色ないのか注目してみた。UXのラインアップは2.0Lの自然吸気エンジン搭載モデルとハイブリッドの2モデルで、ガソリンエンジンは新開発されたダイナミックフォースエンジンだ。出力は174ps(128kW)、209Nm/4000rpm-5200rpmとNAとしては高出力だ。これに発進ギヤを持つダイレクトシフトCVTを組み合わせている。パワートレーンの詳細はこちらを見て欲しい。
※関連記事:レクサス「UX」 コンパクトSUVに搭載されたパワートレーン
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NAのエンジンフィール
試乗車は2.0LガソリンのF-スポーツ。ドイラブモードはエコ、ノーマル、スポーツ、スポーツ+があり、主に、ノーマルとスポーツを切り替えて、高速道路を中心に試乗してみた。ボディサイズは全長4495mm、全幅1840mm、全高1540mm、ホイールベース2640mmでタワーパーキングにも収まる都会派クロスオーバーだ。
発進ギヤ付きのCVTは日常的な操作であればダイレクト感があり、CVTのネガはあまり感じない。ではCVTのネガとは何か?例えばダイレクト感が薄いとか、エンジン先行感がある、といったことで、アクセルを踏み込んだ時にエンジン回転の上昇と加速感がリンクしない現象を言うのだが、ノーマルモード、スポーツモードでもそうした目立ったズレはほぼ感じない。
しかし、気になったポイントとして、走行中、アクセルを抜くと車速に関係なく1200rpm付近まで回転が下がっている。そこから再加速のためにアクセルを通常の踏み方で踏むと、エンジン回転が2500rpmまで一気に上昇する。この時の車速は80km/h。一瞬エンジンの空ぶかしのように感じるわけだ。こうしたアクセル操作だとダイレクト感の薄さを感じてしまうのだ。また、アクセルの踏み込み速度を素早くした時、踏み始めの10%程度のアクセル開度に対して応答が鈍いのも気になった。もっとも、車速の低い40km/h付近であれば、エンジンの回転上昇幅が小さいので、あまり気にならない。
次に、スポーツモードに切り替えて走行してみると、アクセルを抜いたときの回転下がりはなく、車速に見合った回転を維持する。だが、スポーツモードで100km/hの車速だと2500rpmで回転が維持されている。エンジン音もそれなりの音がしているので、クルージングの気分にはならない。この辺りは2.0LNAが関係し、トルクバンドを維持しているということだろう。
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ダイナミック性能
サスペンションはしっかりとした印象で、高いボディ剛性と併せて欧州車のような印象。装着しているタイヤは225/50-18でダンロップのスポーツマックス。ロールも小さく、ヨーモーメントが感じやすいつくりになっている。乗り心地は滑らかで路面コンディションがいいと、滑るように走るのが印象的だった。
しかし路面が荒れた場所ではフロアからのロードノイズが気になった。高速道路でも風切り音が出ない遮音性、静粛性を持ちながらフロアからの音はもう少し抑えたいと感じた。またハーシュネスがきつい部分があり、入力は丸くいなされているものの、ダンパーのツッパリ感を感じるのが少しもったいない。もしかするとランフラットタイヤの影響も考えられるのだが。
ステア操作では、レクサスは「俊敏」を意識するのか、良く動くモデルが多いが、微小舵角の領域ではちょうどいい印象だった。従ってライントレース性も良く感じる。しかし、ステアリングを大きめに切るような舵角になると、舵角以上に切り込んでいく印象だ。仮にサーキットなどで試乗したとしたら、すこしステア操舵に気を遣うことになるだろうと想像してしまった。
これは全車に標準装備される「ACA」アクティブコーナリングアシスト機能の、味付け部分かもしれない。この機能はイン側フロントタイヤのブレーキを摘まみ旋回性を上げる機能なのだが、強めに摘まめばより旋回性は高くなるものの、ドライバーの意図したヨーモーメントとズレてくる可能性もある。
豪華で洗練されたインテリア
インテリア装備はプレミアムブランドの中でもトップクラスのレベルだ。ステアリングヒーターやシートヒーター、そしてテレスコピックも電動化されている。またエンジンを切ればシートは自動で下がり、ステアリングも持ち上がり降車しやすいようにドライバーエリアが広くなる。もちろん、エンジンのスイッチを入れれば、記憶しているドライビングポジションに自動設定される。こうした機能は他のプレミアムCセグメントでは見かけない、クラスを超えた装備と言える。
またマークレビンソンのオーディオも素晴らしく、高級車に乗っている満足感がある。インパネやセンターコンソールでの操作系もまとまりがあり、直感的な操作がしやすいようにインターフェイスもかなり洗練されてきている。
新型レクサスUXのインテリアの上質感はクラスを超えたものがあり、プレミアムCセグメントの中でもトップクラスだ。ダイナミック性能では走りこだわりのある人にはチグハグな部分を感じるかもしれないが、都会派のクロスオーバーというポジショニングからも、ワインディングを豪快に走るより、ゆったりとマークレビンソンを聞きながら、ゴージャスに走行すると魅力をたっぷりと発揮するモデルということだろう。<レポート:高橋明/Akira Takahashi>
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