motorsport.comでは毎年、年末に読者投票企画を実施。今回はカテゴリーに関わらず、2024年シーズンに繰り広げられた熱戦の中から、特に得票数の多かったベストレースをランキング方式で紹介していく。
5位:スーパーフォーミュラ第5戦もてぎ
■F1特集|不当な評価か、それとも真の懸念か。レッドブルの“角田裕毅懐疑論”を紐解く
クリーンなチームメイトバトルの末、劇的な結末を迎えたのがこのレースだった。
主役となったのはDOCOMO TEAM DANDELION RACINGの牧野任祐と太田格之進だった。
全車がピットストップを終えた時点で、太田が後続に10秒以上の差をつけて首位。戦略の違いからより新しいタイヤを履く牧野がそれを猛然と追い上げていった。残り4周でテール・トゥ・ノーズになると、チームからも「クリーンファイトでお願いします」との無線が飛んだ。
ふたりは限界ギリギリながらもクリーンなバトルを見せていたが、残り2周の90度コーナーのブレーキングで太田のマシンが悲鳴を上げスピン。真後ろにいた牧野はなんとかそれを避けてトップチェッカーを受けた。
まさかの結末に牧野は「太田のレースだった」と無線で語り、悔しさを噛み締めるような表情でマシンを降りた。
このトラブルで号泣してしまった太田ファンも話題に。太田とシリーズ側の働きかけにより、富士大会にそのファンが招待されたほっこりエピソードが印象に残った方も多かったのではなかろうか。
4位:F1日本GP
2024年から4月の開催となった日本GP。桜が咲く中でのレースは実に映えた。フリー走行では岩佐歩夢がRBのシートに座り、角田裕毅と共演する、日本のファンにとっては特別なシーンもあった。
このレースで最も印象深かったのは、角田が10位入賞を果たしたことだろう。日本人ドライバーが日本GPでポイントを獲得するのは、2012年に小林可夢偉(当時ザウバー)が3位表彰台を獲得して以来12年ぶりだった。
何度も入賞を逃す危機に陥りながらも、その度にチームの力も借りながら挽回を繰り返すというレースを見せた角田。中でも、5台が同時ピットインする中でごぼう抜きを見せ、集団のトップでピットレーンを出る角田の姿を見て、感動したファンも多いだろう。
逆バンクの外側から豪快な追い抜きを見せ、終盤は後続のマシンを抑えきる柔剛一体の走りは角田の成長を示したレースだった。
上位では、レッドブルがワンツーフィニッシュ。その圧勝ぶりは、モータースポーツアドバイザーのヘルムート・マルコをして、「フェルスタッペンはタイヤが4つ付いていれば勝てる」と言わしめたほど。
それほど勢いのあったレッドブルが、シーズン後半はすっかりライバルチームに追いつかれ、7人のウイナーが生まれる群雄割拠のシーズンとなったのだから、実に面白いシーズンだったとも言える。
3位: F1イギリスGP
このレースは何と言っても、ルイス・ハミルトンが久々の優勝を果たしたレースだという点で特別だった。
2021年にフェルスタッペンと激しくタイトルを争ったハミルトンだが、2022年からグラウンド・エフェクトを活用したマシンに変更されるとメルセデスは大苦戦。ハミルトンは勝利から遠ざかってしまった。
しかし徐々にパフォーマンスを取り戻したメルセデスはシーズン中盤に4戦3勝をマーク。そのうちの1勝がハミルトンの母国優勝だった。
雨が降ったり止んだりのブリティッシュ・ウェザーの下、レース中に最速のチームが上記3チームの間で目まぐるしく移り変わる“不思議”な展開に。2024年シーズンを通して話題となった、ピレリタイヤの使い方の難しさが良く現れたレースだったとも言えよう。
ライバルの猛追を逃げ切ったハミルトンが2年半振りの劇的優勝を飾ると、まさにお祭り騒ぎ。7度のF1王者が久々の勝利の美酒に酔いしれた。
2位:ル・マン24時間レース
101回目のル・マン24時間レースは近年稀に見る大接戦となった。リードラップでフィニッシュしたのが9台もいたということからもそれがよく分かるだろう。
レースを通じて、周期的に雨が降り誰が勝つのか全く分からないレースとなったが、残り数時間のところでリードしていたのはフェラーリ50号車だった。
トヨタは2台共が優勝争いに残っていたが、8号車はフェラーリ51号車との接触で後退。7号車もホセ・マリア・ロペスがスピンを喫し、詰めの一手が打てなかった。
フェラーリ50号車はドアが走行中に開いてしまうトラブルにも見舞われ、燃費走行でなんとかフィニッシュ。2位のトヨタ7号車とはわずか14.221秒差だった。
1位: F1サンパウロGP
週末を通じて雨に見舞われたインテルラゴス。予選が日曜日の朝に実施される変則的なフォーマットとなった。赤旗が5回出される波乱となった予選で、素晴らしいパフォーマンスを見せたのが、RBの角田裕毅。自己ベストグリッドを更新する予選3番手を手にしたのだ。
決勝では少しずつポジションを下げた角田だったが、チームは最適なタイミングでフルウエットタイヤを履かせた。表彰台どころか優勝も狙えるペースだったものの、レース継続は難しいと判断され赤旗中断となった。
もし赤旗が出ていなければ、角田が首位に躍り出る可能性も十分にあっただけに7位は喜べない結果だった。
このレースで勝ったのはレッドブルのマックス・フェルスタッペン。予選はアタックをまとめられず17番手からのスタートとなったが、赤旗が味方して優勝。振り返ってみれば、この勝利でランド・ノリスとのポイント差が広がったことが、タイトル争いでも大きな意味を持っていたと言えよう。
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