利便性を高めたシューティングブレーク
text:Greg Kable(グレッグ・ケーブル)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)
フォルクスワーゲンCCの後継モデルとして、2017年に登場したアルテオン。シャープなルックスをまとい、さらなる販売拡大を目指していた。
一方、4ドアクーペのファストバックは、多くの潜在的ユーザーが求めた実用性を得られずにいた。その問題を解決すべく登場したのが、シューティングブレーク。クーペ風のエレガントさと、ステーションワゴンの利便性を兼ね備えるボディだ。
アルテオンはフェイスリフトを受け、ファストバックでもわずかにデザインが変更されている。シューティングブレークでは、ルーフラインを伸ばしリアエンドを拡大。リアガラスやテールゲートは大きく寝かされ、大胆に傾くDピラーが特徴的なリアビューを構成する。
ファストバックのアルテオンと、ボディサイズの違いは全高のみ。標準が1428mmなのに対し、シューティングブレークでは1447mmとなる。
フェイスリフトに合わせて、エンジンにも手が加えられた。150psの1.5Lガソリンターボと、190psの2.0Lガソリンターボ、150psと199psの設定が与えられる2.0Lディーゼルターボがラインナップされる。いずれも直列4気筒だ。
すべてのモデルが前輪駆動のみ。一部を除き、6速マニュアルか7速デュアルクラッチATが選べる。
2021年の春には、アルテオンRだけでなく、アルテオン・シューティングブレークRも登場する。エンジンはおなじみのEA888型2.0L4気筒ターボガソリンで、320psを得る見込み。
13.0kWhのバッテリーを積んだPHEV
今のご時世、多くの読者が注目するのは、Rではなく今回試乗したeハイブリッドと呼ばれるモデルだろう。パサートGTEにも採用される、1.4L 4気筒ガソリンターボによるプラグイン・ハイブリッドだ。
エンジンは156psを発生し、トランスミッションに内蔵された電気モーターが114psを生み出す。荷室の床下に搭載されるバッテリーの容量は、13.0kWhある。
EVモードとして最大で53kmの航続距離を得ており、140km/hの速度域までをカバー。カタログ値でのCO2排出量は、わずか25g/kmでしかない。
パサートGTE同様、アルテオン eハイブリッドも、今までのクルマのように運転できる。バッテリーが充電されていれば、常に電気モーターだけで、とても静かに発進する。
一方、プラグイン・ハイブリッドを最大限に活用するなら、複数あるドライブ・モードに慣れたいところ。アダプティブダンパーを装備するアルテオンに共通して、エコ、コンフォート、ノーマル、スポーツというモードが用意されている。
さらにeハイブリッドには、PHEVとして3種類が追加されている。Eモードは、電気だけで走行するもの。ハイブリッドは、エンジンと電気モーターをシステムが上手に活用してくれる。そして、最大のパフォーマンスを引き出すGTEモードだ。
Eモードでも、都市部の流れなら加速は充分に力強い。下り坂に入ると回生ブレーキが効き始めるが、機械的な抵抗も感じず、スルスルと走る。
印象的な力強さと信頼感の高いハンドリング
強めのアクセル入力をするか、タッチモニターで選び直せばハイブリッド・モードになり、エンジンが滑らかに目を覚ます。電気モーターからエンジンへのバトンタッチは、完全にシームレスというわけではないものの、2つが組み合わさった力強さには感心する。
最大トルクは40.7kg-mまで高まり、活発さを強めるだけでなく、ハーフスロットル時にはとても安楽な走行も許してくれる。エンジンと車内との隔離性も高く、モーターの滑らかさや洗練性を邪魔することもない。
GTEモードは、ハイブリッド・モード以上のパワーが得られるわけではなく、最高速度が高くなることもない。しかしエンジンは停止しなくなり、トランスミッションもフリーな状態にはならない。レスポンスは鋭くなる。
アルテオン・ファストバックでeハイブリッドを選ぶと、車重は1734kg。かなりの重量増になっているが、運転は楽しい。
可変レシオのステアリングは、操舵感が軽く極めて正確。切り始めからとても良い反応が得られる。街なかでの運転も難しいところはない。フィードバックや感触は、豊富ではないけれど。
速度域が上がると、ステアリングはダイレクト感が増すものの、軽いまま。アダプティブダンパーを引き締めることで、コーナーでの姿勢をタイトに保ってくれる。ボディロールの発生も漸進的だ。
グリップもトラクションも優秀で、ハンドリングは信頼感が高い。ガソリンと電気が生むエネルギーを同時に活用しながら、ハイペースのまま確実に先を急いでくれる。
リアシートと荷室に生まれる空間の余裕
試乗車はオプションの19インチ・ホイールに扁平タイヤを履いていたが、乗り心地に良い影響はないだろう。低速域では落ち着きなく、路面の凹凸の揺れをドライバーへ届けてしまう。速度域が上がればしなやかさが増し、乗り心地は良くなる。
フェイスリフトに伴い、インテリアもアップデートされている。タッチセンサーを備える、新デザインのレザー巻きステアリングホイールを獲得。素材は上質になり、メーターパネルは最新のモニター・タイプに。
エアコンの操作系も、デジタルなものに一新された。人間工学的にもよく設計され、運転環境として好印象。知覚品質も高水準といえる。
ファストバックと比較して、シューティングブレークの強みの1つが、長いルーフが生む空間的な余裕。リアシート側では、頭上空間が48mmも高くなっている。
荷室容量も、110L大きくなる。しかしeハイブリッドの場合、バッテリーの搭載により、追加の荷室容量が食われてしまう。リアシートを畳めば、1497Lに広げられるが。
車内空間でアドバンテージを与えてくれる、シューティングブレーク。動的性能には、ほとんど影響はない。
滑らかに続くルーフラインを気に入り、EVモードでの走行にも魅力を感じるなら、アルテオン・シューティングブレーク eハイブリッドは検討すべき1台だ。もちろん、ファストバックより広い荷室も付いてくる。
フォルクスワーゲン・アルテオン・シューティングブレーク1.4 TSI eハイブリッド DSG Rライン(欧州仕様)のスペック
価格:4万1485ポンド(560万円)
全長:4866mm
全幅:1871mm
全高:1447mm
最高速度:222km/h
0-100km/h加速:7.9秒
燃費:90.9km/L
航続距離:53km
CO2排出量:25g/km
乾燥重量:−
パワートレイン:直列4気筒1395ccターボチャージャー+電気モーター
使用燃料:ガソリン
最高出力:221ps/5000-6000rpm(システム総合)
最大トルク:40.7kg-m(システム総合)
ギアボックス:7速デュアルクラッチ・オートマティック
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
愛車管理はマイカーページで!
登録してお得なクーポンを獲得しよう
「中古車を買いに来たら『支払総額表示』で売ってくれませんでした、詐欺ですよね?」 「別途費用が必要」と言われることも…! 苦情絶えないトラブル、どんな内容?
トヨタ新型「ミニアルファード」登場は? 「手頃なアルファードが欲しい」期待する声も!? 過去に"1代で"姿消した「ミドル高級ミニバン」があった!? 今後、復活はあるのか
もう待ちきれない! [新型GT-R]はなんと全個体電池+次世代モーターで1360馬力! 世界が驚く史上最強のBEVスポーツカーへ
「子供が熱を出したので障害者用スペースに停めたら、老夫婦に怒鳴られました。私が100%悪いですか?」質問に回答殺到!?「当たり前」「子供がいたら許されるの?」の声も…実際どちらが悪いのか
「財布を忘れて帰ろうとしたら、免許不携帯で捕まりました。今取りに帰るんですよ。私が悪いんですか?」質問に回答殺到!?「事実でしょ」「非常識」の声も…「うっかり」でも許されない理由とは
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!
みんなのコメント
10年後くらいに「売れなかったけど攻めたVW車」的な記事で出てきそう。
パサートのまんまな地味な内装は好みだが、ステアリング中央に鎮座するVWマークが目に入ると萎える。