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【PHEVのエレガント・ワゴン】フォルクスワーゲン・アルテオン・シューティングブレークへ試乗

掲載 更新 15
【PHEVのエレガント・ワゴン】フォルクスワーゲン・アルテオン・シューティングブレークへ試乗

利便性を高めたシューティングブレーク

text:Greg Kable(グレッグ・ケーブル)

【画像】アルテオン PHEVの欧州ワゴン 全89枚

translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)


フォルクスワーゲンCCの後継モデルとして、2017年に登場したアルテオン。シャープなルックスをまとい、さらなる販売拡大を目指していた。

一方、4ドアクーペのファストバックは、多くの潜在的ユーザーが求めた実用性を得られずにいた。その問題を解決すべく登場したのが、シューティングブレーク。クーペ風のエレガントさと、ステーションワゴンの利便性を兼ね備えるボディだ。

アルテオンはフェイスリフトを受け、ファストバックでもわずかにデザインが変更されている。シューティングブレークでは、ルーフラインを伸ばしリアエンドを拡大。リアガラスやテールゲートは大きく寝かされ、大胆に傾くDピラーが特徴的なリアビューを構成する。

ファストバックのアルテオンと、ボディサイズの違いは全高のみ。標準が1428mmなのに対し、シューティングブレークでは1447mmとなる。

フェイスリフトに合わせて、エンジンにも手が加えられた。150psの1.5Lガソリンターボと、190psの2.0Lガソリンターボ、150psと199psの設定が与えられる2.0Lディーゼルターボがラインナップされる。いずれも直列4気筒だ。

すべてのモデルが前輪駆動のみ。一部を除き、6速マニュアルか7速デュアルクラッチATが選べる。

2021年の春には、アルテオンRだけでなく、アルテオン・シューティングブレークRも登場する。エンジンはおなじみのEA888型2.0L4気筒ターボガソリンで、320psを得る見込み。

13.0kWhのバッテリーを積んだPHEV

今のご時世、多くの読者が注目するのは、Rではなく今回試乗したeハイブリッドと呼ばれるモデルだろう。パサートGTEにも採用される、1.4L 4気筒ガソリンターボによるプラグイン・ハイブリッドだ。

エンジンは156psを発生し、トランスミッションに内蔵された電気モーターが114psを生み出す。荷室の床下に搭載されるバッテリーの容量は、13.0kWhある。

EVモードとして最大で53kmの航続距離を得ており、140km/hの速度域までをカバー。カタログ値でのCO2排出量は、わずか25g/kmでしかない。

パサートGTE同様、アルテオン eハイブリッドも、今までのクルマのように運転できる。バッテリーが充電されていれば、常に電気モーターだけで、とても静かに発進する。

一方、プラグイン・ハイブリッドを最大限に活用するなら、複数あるドライブ・モードに慣れたいところ。アダプティブダンパーを装備するアルテオンに共通して、エコ、コンフォート、ノーマル、スポーツというモードが用意されている。

さらにeハイブリッドには、PHEVとして3種類が追加されている。Eモードは、電気だけで走行するもの。ハイブリッドは、エンジンと電気モーターをシステムが上手に活用してくれる。そして、最大のパフォーマンスを引き出すGTEモードだ。

Eモードでも、都市部の流れなら加速は充分に力強い。下り坂に入ると回生ブレーキが効き始めるが、機械的な抵抗も感じず、スルスルと走る。

印象的な力強さと信頼感の高いハンドリング

強めのアクセル入力をするか、タッチモニターで選び直せばハイブリッド・モードになり、エンジンが滑らかに目を覚ます。電気モーターからエンジンへのバトンタッチは、完全にシームレスというわけではないものの、2つが組み合わさった力強さには感心する。

最大トルクは40.7kg-mまで高まり、活発さを強めるだけでなく、ハーフスロットル時にはとても安楽な走行も許してくれる。エンジンと車内との隔離性も高く、モーターの滑らかさや洗練性を邪魔することもない。

GTEモードは、ハイブリッド・モード以上のパワーが得られるわけではなく、最高速度が高くなることもない。しかしエンジンは停止しなくなり、トランスミッションもフリーな状態にはならない。レスポンスは鋭くなる。

アルテオン・ファストバックでeハイブリッドを選ぶと、車重は1734kg。かなりの重量増になっているが、運転は楽しい。

可変レシオのステアリングは、操舵感が軽く極めて正確。切り始めからとても良い反応が得られる。街なかでの運転も難しいところはない。フィードバックや感触は、豊富ではないけれど。

速度域が上がると、ステアリングはダイレクト感が増すものの、軽いまま。アダプティブダンパーを引き締めることで、コーナーでの姿勢をタイトに保ってくれる。ボディロールの発生も漸進的だ。

グリップもトラクションも優秀で、ハンドリングは信頼感が高い。ガソリンと電気が生むエネルギーを同時に活用しながら、ハイペースのまま確実に先を急いでくれる。

リアシートと荷室に生まれる空間の余裕

試乗車はオプションの19インチ・ホイールに扁平タイヤを履いていたが、乗り心地に良い影響はないだろう。低速域では落ち着きなく、路面の凹凸の揺れをドライバーへ届けてしまう。速度域が上がればしなやかさが増し、乗り心地は良くなる。

フェイスリフトに伴い、インテリアもアップデートされている。タッチセンサーを備える、新デザインのレザー巻きステアリングホイールを獲得。素材は上質になり、メーターパネルは最新のモニター・タイプに。

エアコンの操作系も、デジタルなものに一新された。人間工学的にもよく設計され、運転環境として好印象。知覚品質も高水準といえる。

ファストバックと比較して、シューティングブレークの強みの1つが、長いルーフが生む空間的な余裕。リアシート側では、頭上空間が48mmも高くなっている。

荷室容量も、110L大きくなる。しかしeハイブリッドの場合、バッテリーの搭載により、追加の荷室容量が食われてしまう。リアシートを畳めば、1497Lに広げられるが。

車内空間でアドバンテージを与えてくれる、シューティングブレーク。動的性能には、ほとんど影響はない。

滑らかに続くルーフラインを気に入り、EVモードでの走行にも魅力を感じるなら、アルテオン・シューティングブレーク eハイブリッドは検討すべき1台だ。もちろん、ファストバックより広い荷室も付いてくる。

フォルクスワーゲン・アルテオン・シューティングブレーク1.4 TSI eハイブリッド DSG Rライン(欧州仕様)のスペック

価格:4万1485ポンド(560万円)
全長:4866mm
全幅:1871mm
全高:1447mm
最高速度:222km/h
0-100km/h加速:7.9秒
燃費:90.9km/L
航続距離:53km
CO2排出量:25g/km
乾燥重量:−
パワートレイン:直列4気筒1395ccターボチャージャー+電気モーター
使用燃料:ガソリン
最高出力:221ps/5000-6000rpm(システム総合)
最大トルク:40.7kg-m(システム総合)
ギアボックス:7速デュアルクラッチ・オートマティック

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みんなのコメント

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  • ひと昔前のまだクリーンなデザインだった頃のアウディから出てきそうなデザイン。車としての出来はよさそうだけど、VWブランドとの組み合わせがね…
    10年後くらいに「売れなかったけど攻めたVW車」的な記事で出てきそう。
  • 運転してツマラナイのに乗り心地が硬くて不快なことと、ワーゲンなのに異様に高い価格設定と、ステータスはないのに想像以上にデカいボディで取り回しが悪いことがネック。

    パサートのまんまな地味な内装は好みだが、ステアリング中央に鎮座するVWマークが目に入ると萎える。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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