マツダは、2023年3月に5年ぶりの社長交代を発表し、同年6月に毛籠勝弘(もろまさひろ)氏が率いることとなった。そこで、今回は、高級路線に舵を切り続けているマツダ経営が今後どうなっていくのか、考察していく。
文/桃田健史、写真/MAZDA、ベストカー編集部
ロータリー復活で沸くマツダ!! 新型CX-80の国内投入も期待大!! マツダ新社長体制で大変革の予感
■マツダ最新SUV「CX-60」から高級感がさらに加速!!
マツダのラージ商品群の第一弾として登場したCX-60。FRプラットフォームやマツダ初となるPHEVなど新技術をふんだんに盛り込んだモデル
マツダが最近、高級ブランドっぽくなってきた。そんなイメージを持つユーザーが、日本のみならずグローバルで増えている印象がある。
なかでも、2022年9月に国内販売が始まった「CX-60」は、直列6気筒エンジンや直列4気筒プラグインハイブリッドシステムを縦置きする新規プラットフォームを採用し、インテリアもプレミアム感が強い。
価格で見ても、上級グレードの3.3リッターディーゼル・マイルドハイブリッドである「XD-HYBRID Premium Modern」が547万2500円。またプラグインハイブリッド車の「PHEV S Package」が539万円となる。
そして2.5リッターガソリンエンジンのスタンダードモデルである「25S Package」の2WDが300万円をギリギリ切る299万2000円という幅広い価格設定。日本車としては高級車の部類に入るSUVだと言える。
今後も、マツダがラージ商品群と呼ぶ、中大型の高級モデルは日本国内では「CX-60」の3列シートである「CX-80」。また海外ではSUV需要が高いアメリカを中心に「CX-70」と「CX-90」を展開していく。
このように、マツダのラインナップ全体としては、より大きく、より高級なモデルが続々と登場していくわけだが、そうした経営方針は上手くいくのだろうか?
■コロナ禍で変化あり!! 欧米と日本市場の収益アップを目指す
北米ではオフロード色を強めたSUVモデル「CX-50」の販売が好調
まずは、直近でのマツダの経営状況を確認しておく。
2023年3月期・第3四半期の決算発表データによると、第3四半期累計で生産台数は80万9000台。
これは前年同期比で9%増であるが、販売台数で見ると、79万5000台で前年同期比では15%減となっている。
販売が落ちた大きな要因は中国だ。上海でのロックダウンに伴う現地生産の減少や販売活動の制限の影響で、中国だけで前年同期比が46%減を大きく落ち込んだ。
また、マツダにとって最も大きな市場である北米で、前年同期比15%減。アメリカではスモール商品群の「CX-50」の販売が順調ではあるが、SUV市場の競争環境が厳しくなるなか、「CX-90」の2023年春発売まで待つといった市場環境が影響したとみられる。
そのほかの市場では、日本が「CX-60」の新車効果に加えて、コロナ禍でスポーツカーの存在が広い世代で再認識されるトレンドに乗って「ロードスター」が「990S」の導入で販売に勢いが出た。
次に、2023年3月期通期見通しでは、グローバル販売台数は前期比7%減の116万3000台で、売上高は25%増の3兆9000億円とした。
営業利益は44%増の150億円とし、プラス要因は台数増と為替による差益、またマイナス要因はラージ商品群など成長分野への投資の減価償却費などを挙げた。
このように、マツダとしては既存モデルで足場を固めながら、アメリカや日本でラージ商品群の販売をさらに延ばすことで、収益性の向上を狙っている。
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■毛籠社長新体制でマツダ経営はどうなるのか?
2030年までを3つのフェーズに分け電動化を推進。2030年時点のグローバル販売におけるEV比率は25%から40%を想定している
中長期の事業計画については、マツダは2022年11月22日に「中期経営計画のアップデートおよび2030年の経営方針」を公開した。
概要としては、共創・共生による「人と共に創る」をベースに、マツダ独自のブランド価値を社会の大きな変化に対応しながら進めるとしている。
中核にあるのは、2050年カーボンニュートラルをにらんだ電動化戦略だ。
2030年までを大きく3つのフェーズに分け、第1フェーズで既存のスモール商品群とラージ商品群を軸に基盤づくりをする。
続く第2フェーズでは、EVシフトが顕著でありマツダの主要市場のひとつである中国で既存技術を活用したEV専用車を導入し、さらにグローバルで展開。そして第3フェーズでは、バッテリーEV専用車をグローバルで導入するという想定だ。
そのうえで、2030年時点でのグローバル販売台数におけるEV比率を25~40%と表現する。
目標値に幅を持たせた理由について、「国や地域による規制の動向、ウクライナ情勢、コロナ禍など、まだはっきりと先読みできない要因が少なくないため」とマツダは説明している。
この2022年11月発表内容を、2023年6月1日付で始まった、毛籠勝弘(もろまさひろ)氏が代表取締役社長 兼 CEO(最高経営責任者)となり、率いる新経営陣も継承することになるだろう。
新経営陣の主要メンバーは、前社長の丸本明氏の体制と大きくは変わっていないからだ。
■これまでのマツダが経験した挑戦と挫折
マツダの生き残りをかけてロータリーエンジンに挑戦。1967年に量産初のロータリーエンジン搭載車「コスモスポーツ」を送り出した
毛籠社長体制における「これからのマツダ」を考えるうえで、「これまでのマツダ」について少し振り返ってみたい。
マツダは創業以来、50年代の三輪車トラックから60年代の四輪事業へと転換という大きな転機があった。そのなかで、マツダの独創性を強調するため、ロータリーエンジンに挑戦した。
その後、70年代のオイルショック後の経営再建、80年代の企業体質の転換と国際化への挑戦。
90年代にかけてバブルと国内販売5チャンネル体制、90年代から2000年代にかけて経営危機と米フォードとの協調、2000年代後半にかけてモノづくり革新。
そして2010年代から今に向けた新たなる技術とデザインを効果的に活用したブランド価値の育成へとつながっていく。
■マツダ全員野球の精神はこれからも変わらない
今後もマツダならではの魅力を持つモデルの登場に期待! 写真はロータリーエンジンを発電機とする独自のPHEV「MX-30 e-SKYACTIV R-EV」
こうしたマツダ史の中で、筆者(桃田健史)はマツダに係るさまざま人たちと、日本、アメリカ、欧州、中国、東南アジアの経営、研究開発、商品企画、実験、そして販売などの場で触れ合ってきた。
そのなかでいつも感じていたのは、皆がマツダを「私事」として捉えているという点だ。
職種や社内での立場が違っても、「いまのマツダに対して、自分はこう思う」。「これからのマツダには、こうあって欲しい」という命題に対して、「あくまでも私見だが…」という前置きがある場合が多いにせよ、自分自身の言葉で語ることができるのが、マツダの強みだと思う。
むろん、他の日系自動車メーカーでも、自社についてしっかりとした考え方を持っている人は少なくない。
だが、マツダの場合、マツダ愛ともいえる強い意志をマツダに係る人たちから受ける機会がとても多いのだ。
そうした想いは、マツダの経営陣になれば当然、さらに強くなり、また業務執行役としての責任が重大になる。
それでも、毛籠新社長をはじめ、マツダの役員の方々と直近で触れ合う場面で、皆さんが何事に対してとても自然体で接しているのが印象的だ。
いっぽうで、経営陣がチームとして、覚悟を持って経営にあたるという、時代変化に対する強い緊張感があることも同時に感じる。
チャレンジし続けるマツダ。2030年、さらにその先に向けて、より魅力あるマツダへと進化することを期待したい。
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バブル期の失敗を繰り返さなければいいけど・・