はじめに C3がマイナーチェンジ
text:Wataru Shimizudani(清水谷 渉)
【画像】改良型C3、従来型C3、C3エアクロス、C5エアクロス【個性派フレンチ】 全118枚
グループPSAジャパンが、新世代ブランドフェイスをまとって各種装備を充実させた改良型「シトロエンC3」を日本発売した。
「モデルチェンジ」とアナウンスされているが、いわゆるフル・モデルチェンジではなく、ビッグ・マイナーチェンジというレベルにあたるだろう。
C3は、シトロエンのBセグメントに属するコンパクトカーだ。
2002年に発表された初代は、往年の名車2CVにインスパイアされた円形基調のデザインが特徴的だった。2代目は2009年に発表され、ルーフまでまわりこんだ「ゼニスウインドウ」と呼ばれるフロントウインドウが注目を集めた。
3代目となる現行型は2016年に発表され、日本では翌2017年から発売。それまでのコンパクトカーとは異なる、まったく新しいシトロエンのデザインとなった。
現行型のC3は、世界で累計80万台を超えるセールスを記録するベストセラーモデル。日本でも2020年12月末時点で、導入以来3年あまりながら7625台を販売し、国内マーケットにおけるシトロエンのビジネスの根幹をなすモデルに成長している。2代目C3の販売台数が日本では7年弱のモデルライフで6482台だったことをふりかえれば、現行型の人気ぶりが分かるだろう。
では、改良新型C3はどう変わったのか、その概要を紹介していこう。
改良新型C3 外観
改良新型C3のボディサイズは、全長3995×全幅1750×全高1495mm、ホイールベースは2535mm。従来型とまったく変わらない。
だが、フロントフェイスは大きく変わった。
2016年のパリ・モーターショーで発表されたコンセプトカー「CXPERIENCE」(Cエクスペリエンス)に直接的にインスパイアされたもので、このフェイスが今後はシトロエン車の新しいアイデンティティになりそうだ。
シトロエンのブランドロゴであるダブルシェブロンから伸びるクロームバーが、LEDデイタイム・ランニングライトにまで広がり、ワイド感を強調。
さらに下部のクロームバーは、新デザインのLEDヘッドライトまで伸びている。フォグランプは、ベゼル部分がカラーパックと呼応するようになった。
最近のシトロエン車のシグネチャーとして認知されたエアバンプは、デザインを一新された。
3つのカプセルのセットで構成されており、ボディワークを保護するとともに、新型C3の個性を補完。また、リアクオーターパネル、Cピラーのステッカーはこのエアバンプのパターンを反復し、サイドビューに統一感を持たせ、新フロントフェイスと相まって改良新型にダイナミズムと力強さを加えている。
ボディカラーは、新色のスプリングブルーやルージュエリクシールなど、4色が設定されている。
改良新型C3 内装
インテリアでは、運転者と同乗者にリビングのような居心地の良さとくつろぎを提供すべく、シトロエン・アドバンストコンフォートのコンセプトをさらに色濃く導入している。
これまでも、その快適性と気楽さで定評のあったインテリアの基本デザインは踏襲しつつ、さらなる快適性のためにアドバンスト・コンフォートシートをエメラルド内装仕様に初採用した。
このシートは、生地裏に特別なフォームを配することで、身体とシートの「当たり」感を改善。C5エアクロスSUVで導入されて好評を得たものと同様の考え方で作られた。
生地裏のフォームのボリュームも従来の2mmから15mmへと大幅にアップさせて、しっとりふっかりとした比類ない柔らかさを実現し、疲労につながる車体の微震動をシートが吸収してくれる。
なお、改良新型C3はSHINE(シャイン)とFEEL(フィール)の2グレードで展開。
このうちシャインは装備が充実したメイングレード。前述のアドバンスト・コンフォートシートとカラーアクセントの入った「エメラルド内装」、または従来型同様のシートの「スタンダード内装」が、それぞれのボディカラーと組み合わされる。
フィールはべーシックグレードで、モノトーンルーフ(ボディ同色)とスタンダード内装、従来型継続のシート、16インチ・スチールホイールを採用。
フロントソナーやバックカメラ、ブラインドスポットモニターの有無などが相違点となる。
改良新型C3 パワートレイン
パワートレインは、基本的に従来型のものをキャリーオーバーしている。
つまり、グループPSAのピュアテック1.2L 直列3気筒ガソリンターボ(アイドリングストップ付き)にアイシン・エイ・ダブリュとの共同開発による電子制御6速トルクコンバータAT「EAT6」という組み合わせを継続採用した。
最高出力は110ps/5500rpm、最大トルクは20.9kg-m/1750rpmというパワースペックも、従来型と発生回転数まで変わっていない。駆動方式も現行型と同じ、2WD(FF)のみの設定だ。
グループPSAで他のコンパクトモデルにも搭載されて定評の高いピュアテック1.2Lエンジンは、4年連続エンジン・オブ・ザ・イヤーを獲得し、パワー&トルク、アクセルに対するツキ、レスポンス、燃費性能、環境性能などの各要素において、コンパクトクラスの名機と評される。
しかも今回はエンジンマネジメント・ソフトウェアの最適化により、JC08モード燃費を15%も向上。JC08モードで21.0km/L(従来型は18.2km/L)、WLTCモードでは17.2km/Lを達成している。
改良新型C3 装備/ADAS
改良新型C3では、運転支援や安全装備も充実されている。
ヘッドライトは新デザインのLEDヘッドライトを全グレードで標準装備。
それも、マルチファンクション・カメラが常に前方の状況を分析し、先行車や対向車の有無により、ハイビームとロービームを自動的に切り替える「インテリジェント・ハイビーム」機能を有するもの。
対向車を幻惑することなく、常に最適な前方視界を確保する。
また、前方車両や障害物を検知し、ドライバーが回避操作を行わない場合に自動的にブレーキを作動させる「アクティブ・セーフティブレーキ(作動範囲は5-80km/h)」を全グレードに。
走行中、斜め後方のブラインドスポット(死角)に存在する後続車を超音波センサーが感知して、ドアミラー内にオレンジ色の警告灯を点灯する「ブラインドスポット・モニターシステム」を「シャイン」に。
車載カメラが車線を検知し、ウィンカー操作がない状態で車線からはみ出しそうになると警告を発する「レーンデパーチャー・ウォーニング」を全グレードに標準装着する。
他にも、制限速度に関する道路標識をマルチファンクションカメラが読み取り、インストルメントパネルに表示する「トラフィックサイン・インフォメーション」。マルチファンクションカメラにより、車線に対するふらつきを検知して居眠り防止の警告を発する「ドライバーアテンションアラート」。さらに、フロント&バックソナーやバックカメラなど、必要十分なレベルの装備が充実している。
快適装備では、バックカメラに対応する7インチのタッチスクリーンを備え、アップル カープレイやアンドロイド オートというスマートフォン連携機能も搭載した。
改良新型C3 価格/特別仕様車
なお、新型C3の導入記念として、特別仕様車の「EDITION 2021(エディション2021)」が設定された。
これは、シャインをベースに、1インチアップの17インチ・ホイールとルーフステッカー、さらにインテリアにテックウッド(1台1台木目の異なるプリント)をあしらった、より温かみのある雰囲気が魅力的なモデルだ。
消費税込みの車両価格は、下記のとおりとなっている。
C3フィール:235万円
C3シャイン(スタンダード内装):257万5000円
C3シャイン(エメラルド内装):259万5000円
C3エディション2021:269万9000円
改良新型C3 スペック
シトロエンC3シャイン(スタンダード内装) スペック
車両価格:257万5000円
全長×全幅×全高:3995×1750×1495mm
ホイールベース:2535mm
車両重量:1160kg
エンジン:1199cc直3ターボ
最高出力:110ps/5500rpm
最大トルク:20.9kg-m/1750rpm
トランスミッション:6速オートマティック
WLTCモード燃費:17.2km/L
駆動方式:横置きFF
タイヤ:205/55R16
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