クルマの購入時に施工するオプションとして、もはや当たり前になりつつあるボディコーティング。フロアマットやサイドバイザーなどと同程度に装着率が高く、ディーラーでも強く勧めるオプションの一つだ。
こうしたなか、気になるのはディーラーで販売しているボディコーティングの料金。最もベーシックなものでも10万円近くになり、最上級品では40万円になるものも。
元営業マンが解説! ディーラーのボディコーティング価格設定が高いワケと厳しい現実
なぜ、ディーラーオプションで提供されているボディコーティングは高額なのか。その理由を考えていく。
文/佐々木亘
アイキャッチ画像/Aleksei – stock.adobe.com
写真/Adobe Stock、ベストカーWeb編集部
ディーラーオプションのコーティングはどのくらい高いのか
ボディコーティングはきれいなボディを手間をかけずに維持したい人にピッタリ(romaset – stock.adobe.com)
まずはディーラーオプションのコーティングと、コーティング専門店(KeePerラボ)の価格を比較していく。車体の大きさにより金額が変わるため、今回はクラウンやカムリ、カローラクロスなどがカテゴライズされるLサイズカーを例にした(価格は筆者調べの一例)。
トヨタ系のディーラーオプションで最も高かったのはボディーアーマーマキシムで37万4000円、次いでスーパープレミアムコーティングが26万4000円、プレミアムコーティングが15万4000円、ガードコスメSPが8万300円、最もベーシックなペイントシーラントが5万5000円だった。
対するキーパーラボの価格を見ていこう。新車専用のEX KEEPRプレミアムが23万5000円、EX KEEPRが15万200円だ。新車に限らず施工しているWダイヤモンドキーパーが8万7600円、ダイヤモンドキーパーが6万400円、最廉価のクリスタルキーパーが2万1800円となる(※今回3カ月繰り返し施工が必要なピュアキーパーは除外した)。
ディーラーオプションの最上級品には、ガラス被膜を3層にしている商品が多い。そのため価格が上がるのは分かるが、そのほかの商品で比べると、被膜の数は同じ、対応年数などにも大きな差はないように見える。
なぜ、ディーラーオプションのコーティングは、専門店の1.5倍から2倍近く高いのだろうか。
価格差を生み出すのは施工台数と人件費
ボディコーティングにかかる経費は、薬品の仕入れと施工する人の人件費が主である。施工台数が増えれば増えるほど、コーティング薬剤の仕入れが一括で大量になり、1個当たりの単価が安くなるのだ。その分、提供価格も安くできる。
基本的には新車への施工が大多数を占めるディーラー。コーティング専門店やカー用品店に比べると、コーティングを施工する台数が少ない。そのため、部材の仕入れ単価が高くなり、価格競争では不利だ。
また、施工にかかる人件費も高い。ディーラーの整備士にコーティングを施工させようとすれば、専門の技能が必要となり、教育に費用がかさむ。さらに、コーティング施工中には、他の仕事(整備や検査)が出来なくなり、ディーラーのサービス提供体制を圧迫してしまう。
そのため、コーティングには外注業者を使うことが多いのだが、外へ頼む分、人件費も相応に高い。
こうした経費を価格に転嫁しなければならず、ディーラーが提供するボディコーティングの価格は高くなっていくのだ。
ディーラー施工するメリットは? 営業マンがボディコーティングを勧める意味
最近はボディコーティング等の契約件数に応じて、インセンティブを支払うディーラーが出てきたため、新車販売時にコーティングを勧めてくる営業マンが多い(anko – stock.adobe.com)
標準的なボディコーティングでは量販店に負けてしまうため、ある時期からディーラーのボディコーティングは高級志向に変わってきた。量販店が扱わない商品に注目し、輝きやはっ水力などにこだわっている。5年超の長期間効く高価なコーティングを探しているなら、ディーラーで高額なコーティングを施工してもらうのも悪くない。
ただ、ノーメンテで1年から2年、メンテナンスを行っても3年程度で期限が来るコーティングに関しては、量販店や専門店で行う方が良いだろう。価格が安く、施工時間も早い。さらに専門をうたっているだけあって、仕上がりもきれいだ。
筆者は現役営業マン時代、コーティングの施工を勧めてきた側の人間である。ユーザーのクルマへの興味度合いによって、勧めるものを分けていた。クルマはディーラーにお任せという人には、少し高いが自社のコーティングを勧め、クルマが好きという人には専門店での施工を勧めていたものだ。
当時はボディコーティングに対するインセンティブがほとんどなく、筆者はこのような方法を取っていたが、今は少し様子が違う。
新車の契約が取れても納車が1年後という状況。営業マンのインセンティブは登録(納車)ベースで支払われていくため、営業マンの報酬は厳しい状況が続いている。
そこで、ディーラーの中にはボディコーティング等の契約件数に応じて、特別インセンティブを支払うお店が出てきた。そのため、営業マンは自社ボディコーティングの獲得に躍起になっている。
コーティング選びは難しい。高いものには高いだけの理由があるが、そのメリットを自らが享受できるのかどうかが重要である。選択基準を一点に絞り、どこでどのコーティングを施工するのかを考えてほしい。
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みんなのコメント
知り合いでコーティング業者がいるが、仕事の半分以上はディーラーから来てるって言ってるけどな。
ちゃんと取材してんのかな?
それとも想像だけで帰ってんのかな?
あれか!1を聞いて10を書くって手法かな?
専門の店に丸投げで請求に対してお客に上乗せですよ