2024年シーズン中盤以降、ライバルからの接近を許すレッドブル。陣営内からはこれが「当然のことだ」という声が聞こえてくるが、ドライバーで3度の世界王者であるマックス・フェルスタッペンの考えは少々異なるようだ。
レッドブルは現行レギュレーションが導入されて以降、2年にわたって圧倒的なシーズンを過ごした。今季もRB20を投入し、再び先頭をひた走るかと思われたが、シーズン中盤になるとマクラーレンが接近。メルセデスやフェラーリも、マシン特性に合ったサーキットでは高い競争力を発揮している。
■フェルスタッペンまさに完勝。マクラーレン勢のプレッシャーも交わして最後は独走優勝。角田裕毅は13位|F1オーストリアGPスプリント
レッドブルでチーフエンジニアを務めるポール・モナハンは、チームがRB20から開発で引き出せる改善幅がますます小さくなっていると語り、チーム代表のクリスチャン・ホーナーも時間の経過と共に他チームが遅れを取り戻すのは普通のことだと感じていると語った。
「2023年を抜きにすれば、我々は素晴らしい年を過ごしている」とホーナー代表は語った。
「2023年が際立っていただけで、今が普通のことだ。これがF1なんだ」
「素晴らしいチームがいて、素晴らしいドライバーがいる。競争があるのは普通のことだ。安定したレギュレーションの利点は、常に収束が起こることだ」
しかしオーストリアGPでフェルスタッペンは、レッドブルにその新常識を受け入れたり、もしくは最速のマシンではなくても直近5戦で3勝を挙げたことに満足したりしてほしくはないと語った。
「一般的には、誰もが接近してきている」とフェルスタッペンは言う。
「もちろん、昨年は最終戦まで圧倒的な強さを発揮することができた。現状、全てが少し難しくなっているのは確かだ。それに関して僕らは正直でいる必要があると思う」
「僕らは『それが普通だ』と言うこともできる。でも僕はそれが普通だとは思わない。常にもっと良くなりたいと思っているし、この話を持ち出しているのもそれが理由だ」
「僕は『勝ったからいいんだ』とも言える。でも、もちろん、僕はそういう見方をしない」
「僕らはハードワークを続けなければならない。これが普通だと思ったら、みんなに追い抜かれてしまう」
また、現状のマクラーレンはどこが強みかと訊かれたフェルスタッペンは次のように答えた。
「僕らに足らないモノがあるのは明らかだ。マクラーレンはバランスが良くて、フロントエンドが強く、タイヤがオーバーヒートすることなくコーナーで攻めることができていると感じる」
「それに、市街地サーキット、高速サーキットと、彼らはどこでも速いんだ。見ての通り、僕らは市街地サーキットで劣っている」
「縁石とバンプに関しては、僕らが本気で取り組むべきことがふたつある。マシンのドライバビリティやバランスもそうだけど、一朝一夕には解決できないことだ」
「現時点では、他のチームが僕らよりも大きなステップを踏んでいるのは明らかだ」
そしてフェルスタッペンは、夏季にできるだけ早くアップデートを投入してもらうため、レッドブルのファクトリースタッフにも個人的に働きかけているという。
「そうだね。僕はそのことでとても忙しくしている」とフェルスタッペンは説明した。
「毎日エンジニアたちと一緒に仕事をしているし、アップデートが早く来るように働きかけている。それは普通のことだよ」
「僕は批判を言うことが許されている。僕が『全部大丈夫だよ。来週の木曜日にまた会おうね』なんて言っていたら、長くは上手くいかないだろう」
「もちろん、全体的にマシンが進化し続けているという自信はある。でも、それが実を結ぶのは、マシンにアップデートを施す今後の週末だ」
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