愛車からの異音は、愛車からの大事なサイン。ただ、その異音の対策を早急にしないといけないのか、少しだけ猶予があるのか……知っておくことは非常に重要である。そこで今回は「愛車の出す異音」について解説していこう。
文/今坂純也(DIRT SKIP)、写真/写真AC
「キーキー」「ガラガラ」クルマからのSOSに耳を傾けよ!! 異音が発生したらどうすればいい?
音で異常を察知できる箇所は3つ
異音にもいろいろあるが、「バキバキバキ!」みたいな音は、あからさまに「ヤバイ音!」と思えるのでクルマを即停止させるだろうが、どこからかかすかに聞こえる音は、「どの辺から出ているのか?」に耳を傾けよう。
愛車からの異音は、大きく分けると次の3箇所から出ていることが多い。
1.エンジン(クルマの前方から)
2.排気系(クルマの前方、下、後方から)
3.足回り(クルマの下から)
その多くはできるだけ早く対処しないと取り返しがつかなくなることも多く、まずはその異音がどこから出ているのかをつきとめるべき。
エンジンからの異音
オルタネーターを稼働させるベルトの緩みを放置するとベルトが外れたり破損することがある。プーリーのベアリングから音が出ている場合も……
●「キュルキュル」
道路を走行中、たまに他車から聞こえてくることもある異音で「ベルト鳴き」と呼ばれる。アイドリング時に異音がする場合は、カーエアコンやオルタネーター(発電機)などを動かすVベルトが劣化して硬くなって滑っている、または緩んで滑っていることが多い。
緩んでいる場合は張り具合を適正値にするだけでいいが、摩耗している場合は即交換。オートテンショナー付きのクルマも要交換だ。
また、ベルトがかかっているプーリーのサビなどが原因の場合はプーリーも同時に交換すべき。このキュルキュル音は市販されている「鳴き止めスプレー」で一時的に消える場合もあるが、あくまで応急処置にすぎない(筆者経験済み)ことを知っておこう。
ちなみに、同じ「ベルト」と名の付くタイミングベルトは、歯車と噛み合っている構造上、ベルトが滑ることで起こるキュルキュル音はまず出ない。
タイミングベルトは予兆なしに突然切れることもあるので10万kmごとに要交換とされ、10万kmごとの交換履歴がないものは即交換すべき。万が一これが切れるとエンジン損傷で多額の修理費がかかるはめに……。
●「ガラガラ・ジャラジャラ」
タイミングチェーンからの異音が考えられるが、タイミングベルトの寿命と比べて3倍程度の30万kmはもつとされるため、適切なオイル管理を行なっていれば異音はまず出ない。
逆に、ほとんどオイル交換をしたことがないクルマでは早期にチェーンが伸びることがあるので、この異音が出たら即タイミングチェーンを交換。
●「カリカリ→カンカン、キンキン」
カリカリ音の後、カンカン、キンキンといった金属音がするときはオーバーヒートの可能性大で、かなり末期的状態。
このまま走行するとエンジンにパワーがなくなる、エンジン回転が不安定になるなどが起こり、最悪の場合はエンジン損傷で多額の出費に!
このような異音が出たらすみやかにクルマを停止させ、アイドリング状態のままボンネットを開けてエンジンルームの風通しを良くしてロードサービスなどへ連絡を。
ただし、冷却ファンが動いていない、冷却水が漏れていることがわかったら即エンジンを停止させて、同じくロードサービスなどを呼ぶ。エンジンさえ冷えれば動けることもあるが、お薦めしない。
排気系からの異音
マフラーの寿命は10年10万kmといわれているが、社外品などの場合はそれよりずっと短いこともある
●「大きなブォーやボー、バリバリバリ……」
段差通過時などにマフラーやエキゾーストパイプ、触媒が損傷した、腐食で排気系に穴が空いている場合に出る異音。
外部からの力ではなく、エンジンの異常燃焼(この場合はエンジン不調も起こる)によって触媒が損傷している場合もあり、いずれの場合も排気ガスの浄化機能が失われている可能性大。環境にも悪く、車検にも通らないので交換もしくは修理する。
アイドリング中に金属音がする場合はゆがみや劣化で遮熱板が振動している、ゴム製のマフラーハンガーが劣化してマフラーやエキゾーストパイプなどに遮熱板が接触している可能性もある。
足回りからの異音
ブレーキローターが破損してしまうと、1輪あたり2万円~3万円はかかってしまう。さらに工賃も含めると大出費に……。つい放置しがちなブレーキの鳴きだが、早めの処置が必要だ
●「キーキー」
ブレーキパッドやブレーキローターの摩耗、ブレーキローターとブレーキパッド間に異物を噛み込んでいるときに出る異音。すぐに深刻な事態となるわけではないが、放置すると出費がかさむ方向なので、出始めたら早めに点検・交換。
●「シャーシャー、シャッシャッ」
かすかな「シャーシャー、シャッシャッ」音で、ブレーキをかけると消える場合はブレーキパッドとブレーキローターが擦れて異音が出ていることが多い。
原因はブレーキピストンの動きが悪い、ローターがゆがんでいるなどで、いきなり大ごとになることはない。だが、ブレーキピストンの動きが悪い場合は、片利きとなって危険。オーバーホールをお薦めする。
ブレーキ関係以外ではハブベアリング(多くは「ゴロゴロ、ゴー」などの異音)の可能性もあるが、ブレーキ同様即大ごとになることはない。しかし、放っておくと大出費につながるので早めに点検・交換。
●「コトコト、ゴトゴト」
段差を越えるときに異音がする場合は、サスペンションアームのブッシュ劣化によるガタやダンパーの寿命の可能性もある。
ハンドルを切ったときに異音がする場合は、ドライブシャフトのジョイント部の摩耗やタイロッドエンド部の摩耗が考えられる。
いきなり走れなくなるものではないが、放置するとハンドル操作と実際のクルマの動きに遅れが発生する、「思ったほど曲がらない」といった支障が起こるようになる。
こうなると大事故につながりかねないので、早めにカーショップなどで点検・交換を行うこと。
自然治癒はない…だから迅速な対処を
筆者は以前、足回りからの異音を「そのうち直そう」と放置していて、大事故を起こしかけたことがある。
愛車のクロカン4駆(フルタイム)で自宅からかなり遠方の高速道路を走行中、下回りから「ゴーゴー」という異音が。
少し前から音はしていたが、この日は少し大きめだった。イヤな予感がして低速走行で近くのサービスエリアに行ってクルマを停め、下回りへ潜って各部をゆすってチェック。
そしてプロペラシャフトを掴んでゆすってみた。するとリア側プロペラシャフトのジョイント部が驚くほどガタガタ!
即ロードサービスを呼び、サービスエリアから最寄りの工具専門店へ。必要な工具を買って、問題のあったリアのプロペラシャフトを外してFF状態でなんとか帰宅。
その後その状況をプロショップで話すと、走行中にリアシャフト後部が締結されたまま前部が地面に脱落した場合、「棒高跳びのようにクルマが前に投げ出されますよ!」と言われたのだった。
「そのうち」をあのまま放置していたら、大変な大事故を起こすところだった……。
ここで紹介した代表的な異音以外にも異音は存在する。大事なことは、愛車からの異音には常に耳を傾け、確認したら即対処するのが安心してクルマに乗るための基本。放っておいても、自然に直ることは絶対にないのだから……。
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みんなのコメント
俺の車は車体下からカラカラ音がする。どうも触媒から音がしているよう。昔から親との付き合いがある整備工場で、俺の車はその辺の中古屋で買ったけどみてもらってる。
触媒からの音は内部で溶接箇所が取れたんだろうと、走行には問題ないから大丈夫だと。それで車検も2回通ってる。