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【試乗】見た目に差はないが走りに違いアリ! 新型シビックはCVTかMTか悩ましいその中身

掲載 更新 14
【試乗】見た目に差はないが走りに違いアリ! 新型シビックはCVTかMTか悩ましいその中身

 この記事をまとめると

■新型シビックEXのCVTと6速MTに公道試乗した

【試乗】新型シビックは「曲がり」がスゴイ! 中谷明彦がクローズドコースで試した

■CVTモデルはCVT特性が抑えられ静粛性にも優れるが、初期トルクに不足感を覚える

■6速MTの操作性はいいが、エンジンブレーキが弱くMT車としてはいささか魅力に欠ける

 ホンダ車デザインの流れを組むが他セダンとの差別化が曖昧

 11代目となる新型シビックに試乗する機会を得た。ただ、新型シビックにはホンダ栃木研究所のテストコースでプロトタイプにはすでに試乗していた。今回は一般道で量産モデルを試乗する最初の機会となる。

 試乗したモデルはEX、LXとあるふたつのシビックのグレードの中で、上級グレードであるEXのCVTと6速MTモデルの2台だ。この両車は外観の意匠やインテリアのデザインも含め見分けることができない設定で、エンブレム等も含め差別化が図られていない。

 まずはCVTモデルから試乗する。

 外観的には最近のホンダ車のデザインの流れを汲んでいて、先代シビックからの発展系であることがわかる。一方、現行のインサイトやアコードといったホンダのセダンモデルと非常に似通ったデザインとなっており、素人目にはこれらのクルマを区別するのは難しいともいえる。全長全幅などの差も非常に微小で、C~Dセグメントの中でのわずかな差でしかないために、よりキャラクター付けが難しくなっているのではと考えられる。

 新型シビックはホイールベースが35mm拡大され 2735mmとなった。全長は30mm長くなっている。一方全幅は1800mmでインサイトよりも20mm小さい。

 また、リヤトレッドが10mm拡大され、デザイン的にもしっかりと地面を踏ん張る安定感のあるフォルムとなっている。そのホイール位置をデザイン的に際立たせるために、リヤフェンダーの内側の造形などにも特殊な加工技術を用いて配慮し、フェンダーとホイールの面一化が図られているのも特徴的だ。

 この結果、リヤフェンダーまわりはボリューミーで、ボンネットサイドラインからサイドウインドウの下部ラインが直線的に配置されており、初代シビックが持っていたデザインアイデンティティの流れを感じとることができる部分もある。

 室内に乗り込んでみると、やはり水平基調のインストゥルメントパネルが特徴的だ。とくに ハミカムメッシュデザインのエアコン吹き出し口のデザインが目を引く。

 また、Aピラーが非常に細く前方の視認性を大きく向上させていて、「爽快感」のある見晴らし性の良い前方視界が確保されている。サイドウインドウスカートラインも直線的で後席に伸び、キャビン全体が明るく開放感に溢れて全席視界が良い。

 メーターは液晶パネルとなり、ステアリング右手スポークのトグルスイッチを操作することでさまざまな表示アイテムを選択することができる。

 また、ダッシュボード中央部分には7インチの大型タッチパネルモニターが備わる。このモニターに表示される文字はやや小さく、高年代で視力の落ちた筆者にとっては若干見にくい部分が気になるところではあった。

 センターコンソールに目を移すと、シフトレバーがドライバー右手方向に偏って設置され、その横に縦列のドリンクホルダーが配置されている。ドリンクホルダーとシフトレバーを並列にレイアウトすることは非常に難しい作業だったそうだが、シフトレバーをドライバー方向に偏ってレイアウトすることで可能としたという。

 シートは、運転席シート助手席シートともに電動のアジャスト機能が奢られ、装備的にも非常に充実した高級セグメントセダンのような運転席まわりである。

 ルーフライナーやAピラーカバーなども黒く統一されており、ダッシュボードもフロントウィンドウへの映り込みを低減するようなブラックアウトデザインで、黒く統一され引き締まったインテリアとなっていた。

 一方、ホイールベースが拡幅されたことで後席の居住性は向上し、とくに後席の足もとまわりのゆとりが増え、ヘッドクリアランスも従来モデルと同等となっている。ルーフラインがややクーペ形状でボディ後方へとなだらかな曲線を形成しているのに対し、後席ヘッドクリアランスが犠牲となっていないのは、リヤゲートヒンジを特殊な構造として両端にレイアウトすることで可能となった。そうした細かな部分にも配慮した車体設計を行っていると言える。

 硬めの足と拡幅されたトレッドの効果で4輪が路面を捉える

 エンジンを始動すると非常に静かで振動の少ない回転特性を感じ取ることが出来た。液体封入式のエンジンマウントが採用され、車内への遮音性も大幅に高めることで高級車レベルの静粛性を実現しているといえる。

 搭載するエンジンは1.5リッター直列4気筒直噴ターボエンジンで、ターボチャージャーを新設計して微低速から過給レスポンスを高め、優れた出力特性を可能としている。その最高出力は182馬力で最大トルク240N・mは1700回転という低回転から幅広いレンジで発揮される。

 ただ、それはハイオクガソリン仕様ということで可能となった側面もある。従来のシビックセダンはレギュラーガソリン仕様であったがハッチバック5ドアモデルはハイオク仕様として高出力特性を誇っていた。今回の新型シビックではその手法が引き継がれ、5ドアハッチバックに統一化されたことにより燃料もハイオク使用であることが継承されたと言えるのだ。

 走り始めるとCVTのトルコンスリップロスが極めて少なく、エンジンが先行して回転が上がり、車速はあとから追いかけるといった CVT的特性は大きく抑えられている。

 かなり低速からロックアップクラッチが作動するかのように、一定の回転を保ったまま車速をゆるやかに高めていくことが可能で、エンジン回転が大幅に先行しないので静粛性にも貢献しているといえる。

 一方、動力性能で言うとアクセルの踏み込みに対してエンジンのトルクのピックアップに合わせるかのようにCVTが変速していくが、それでも強力な動力性能が発揮できるとは言い難い。1.5リッターターボと考えてもやや力不足感は否めないのだが、それは1370kgに達する車両重量が影響していると言えなくもない。

 近頃は、電気自動車やハイブリッド車の電動アシストなどにより、とくに走り始めの電動モーターのトルクピックアップの良さが一般的に認知されている傾向が高まっているので、純粋なガソリン車の初期トルクの出方に不足感を感じてしまう人もいるのではないかと思う。

 操縦性は拡幅されたトレッド効果もあり、4輪が路面をしっかりと捉えている感覚が伝わる。コーナーではロールが非常に少なくステアリングの操作性も極めて高い。

 今回、電動パワーステアリングの制御が見直され、操舵初期の応答性と正確性が改善されたこと、また直進時の操舵力が増して直進安定感が高まったことなどが特徴的だ。

 ただ、サスペンションは全般的に設定が硬めで、とくにショックアブソーバーの微低速域の動きが固く、路面の段差や凸凹など、少しハーシュを強く車体に伝える傾向が感じられた。一方で、ボディ剛性はねじり剛性なども含めて向上させられており、ハーシュが高まってもそれを瞬時に収束させていくので乗員が不快に感じるレベルにまで増幅されることがない。より速度の高い領域で巡航して走れば、路面のそうした微低速でのNVHは気にならなくなる方向のセッティングであると言えると思う。

 若者に向けた新型シビックがどう評価されるかが気になる

 次は6速MT車に乗り換えてみる。

 6速MT車もエンジンは同じでトランスミッションがマニュアルとなったこと以外に差はない。インテリアには赤いステッチが縫い込まれていたり、ドアにイルミネーションが埋め込まれていたりするが、大きな差はない。

 シフトレバーの位置は同じくドライバー側に偏っていて、より近い位置に配置されている。ステアリングから少し手を離せばシフトレバーノブに手が届き、非常に操作性の良いレイアウトがなされている。

 クラッチペダルを踏み込みギアをローに入れてみると、シフトストロークの少なさ、そしてカチッとしたシフトゲートのしっかり感に嬉しさを感じる。

 シフトストロークは前後方向だけでなく横方向も小さく設定されていてリターンスプリングの働きも良く、まるでフォーミュラカーのシフトレバーを操作するように手首を少し捻るように動かすだけで操作できる。1速から6速までストロークはほぼ前後左右同一の間隔で操作でき、コーナリング中でも極めて操作性が良い。

 一方でエンジンのトルク特性から非常に低い回転数で走り出すことが可能だ。アイドリングにプラス300回転ほど足せば十分に発進することが可能で、坂道発進でも多くの半クラッチ操作を必要としない。逆に低速回転から走り始められるので、一気に車速を乗せようとするとやや加速感が鈍く感じられてしまう部分もある。

 より高い回転でクラッチを一気にミートするレーシングスタートなどを行っても、最大トルクが1700回転で発揮されているのでそれは意味がないのだ。そういう意味ではフラットなトルク特性は逆に高回転まで引っ張ってもパワーの高まり感がなく回転の頭打ちを感じてしまうので、レブリミットの6000回転まで引っ張るような気持ちになれないのである。

 それでもこまめにシフト操作しながら走るのはとても楽しい。コロナ禍でステイホーム時間が長引く中で、日々の歩数も減少しているような最近の生活パターンの中にあっては、走りながら両足が適度に運動を行える3ペダルというのもまた魅力として見直されても良いと言えるだろう。

 高回転まで引っ張ったとしてもエンジンはじつに静かで振動も少ない。これは単純に液体封入マウントの効果だけでなく、今回新たに見直しを受けたクランクシャフトの高剛性クランクケースなどの効果も大きいと言える。

 減速区間はエンジンブレーキを多用することができ、またシフトダウンにより減速比を変化させることができる訳だが、今回のエンジンではアクセルを戻した時の回転落ちがあまりよくない。燃料カットでエンジンブレーキをかけている時も減速感が非常に少ない。

 それは気筒休止エンジンのバルブを閉じた状態で回転抵抗をほとんどなくしている時のようなフィーリングで、せっかく6速ギアから5、4速とこまめにシフトダウンしていっても、ブレーキを踏まないかぎり減速度を高めていけないというのは、マニュアルトランスミッション車としてはいささか魅力に欠ける部分と言えなくもない。

 サスペンションの設定は逆に6速MT車はフロントのステアリングの切り込みに対する応答性に優れ、しなやかながロードホールディング感となっていて、足まわりが一段階ソフトな印象を受ける。ワインディングなど曲がりくねったコースで積極的にステアリング操作する場面に適した設定になっているとえる。高速道路をただ巡航するよりも山道を得意とする印象だ。

 時速100kmの巡航では6速ギヤでエンジン回転数が2400回転となっており、これは近年のハイブリッド車やディーゼルエンジン車、欧州の直噴エンジン車など100km/h巡航回転数が1200~1800回転という低回転で巡航燃費を稼ぐようなモデルに乗り慣れている者にとっては、いささか回転が高く感じる。

 6速を日本の最高速度120km/hの道路環境で実用的に使用しようすると、各ギヤ間で使用の割り振りが難しくなるため、現在のステップ比に落ち着いたのだと言う。

 今回の新型シビックは1990年代中盤以降に生まれたジェネレーションZ、いわゆる「Z世代」の人々に、より訴求できるキャラクタライズが施されているという。

 我々の世代から見るとそのジェネレーションZというのはいささか理解不能な面があるのだが、バブル期を経験しておらず、またさまざまな経済的な危機、そして自然災害も多く経験している世代なだけに、意味のない贅沢は求めず質実剛健で実用的なものに価値観を見出しつつ、その中でより優れたファッション性や自己アピールできる表現方法を模索する世代といえる。

 そうした世代にこの11代目新型シビックはフォーカスしているというが、果たして彼らは本当にこの新型シビックを選んでくれるのだろうか。これから販売上のマーケットリサーチで購入者の年齢層が明らかになってくれば、ホンダが目指したところの是非が明確になってくると言えるだろう。

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みんなのコメント

14件
  • このご時世にMT車選ぶ人はそもそもMT車に強いこだわりがあるので悩む事は無い。
  • レヴォーグと同じくらいの値段なんだよなあ。
    なら1.8LターボAWDのレヴォーグにしちゃうかも。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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