新型車の発表会 開催4日前の決断
text:Kenji Momota(桃田健史)
【画像】インターネット中継のみで発表された日産ルークス【ディテール】 全40枚
緊急事態によって結果的に、メーカーからユーザーに対する情報発信のあり方について新たなる可能性が見えてきた。
2020年2月21日、日産グローバルコミュニケーション本部からメディア関係者にメールが届いた。
表題は、「新型日産ルークス発表披露会 開催方法の変更について」
新型コロナウイルス感染症の国内感染拡大リスクを考慮し、2月25日午前10時から日産グローバル本社(神奈川県横浜市)で行う予定だった発表披露会を、インターネット中継のみにするとした。
この時点では、政府から新型コロナウイルスに関連して、国内イベント等への自粛に対する方針は定まっておらず、日産としては早い段階で対応を決断したものといえる。
筆者(桃田健史)は、2月25日の午前中、長距離を列車で移動しており、新型ルークス発表披露会のインターネット中継全編を、手元のスマートフォンでリアルタイムで視聴した。
冒頭、執行役副社長の星野朝子氏は「諸般の事情を鑑み、日産として本邦初のインターネットでの発表会とさせていただきます」と挨拶した。
次いで商品企画担当者が説明した後、司会進行の女性が実車を使って、エクステリアデザイナー、インテリアデザイナー、そしてチーフエンジニアと会話形式で新型ルークスの説明をした。
キーポイントとなったのはこの後の出来事だ。
「メディア6:ユーザー3」 今後の課題は
インターネット発表披露会の最後は、質疑応答となった。
中継の中、司会者が質問については「メディア関係者は事前にご案内しておりますメールアドレスに、一般の皆様はユーチューブのチャット欄にコメントをお願いします」と案内した。
質疑応答ではメディアから6つ、ユーザーから3つ、合計9つの質問を紹介した。
一般的に、新車発表関連の記者会見での質疑応答は、メディア側が「質問に関する前提としての事実確認など」が長くなり、限られた時間のなかで質疑応答を進めることが難しい場合も多い。
そうした観点では、インターネット中継による質疑応答が効率的に行われ、またユーザーの生の声が中継にのったことは、今後の新車発表のあり方に大きな影響を与えたと思う。
他方、主催者側が事前に質問を見て、主催者側にとって都合が悪い内容には対応しないという可能性も考えされる。
対応策としては、すべての質問の内容をインターネット中継参加者に透明化することだ。
最近開催されている各種シンポジウムなどで使用されている、質疑応答用のソフトウエアを使う方法だ。
すべての質問が投稿順に会場内の画面に映し出され、その質問の相乗りする人はチェックを入れることで、質問の要求度合いが会場内でひと目でわかる。
こうした方式はユーザー向けに採用可能だと思う。
ユーザーとメーカーとの関係に変化が
今回のインターネット中継記者会見で、改めて明らかになったのは、自動車メーカーとユーザーが直接つながる時代が本格的に到来しているという点だ。
メーカーとユーザーがいて、その中間にメディアがいる。そうして情報伝達の図式が具現化したのは、今回だけではない。
例えば、マツダのロードスター(4代目ND)。2014年9月、日本(幕張メッセ)とアメリカ、スペインで開催されたロードスターファンのイベントで、ワールドプレミアした。
通常の新車発表のように、メディア専用の記者発表会を先行することなく、ファンとメディアが同じ場所で、同じ時間に新車アンヴェールを見た。
ロードスターという、日本車のなかでもファンを最優先するという、ある意味で特異なクルマであることが、メーカーとユーザーがダイレクトに情報共有する場を設けた理由である。
もうひとつの例が、2018年6月26日行った「ザ・コネクテッド・デー」だ。実質的には新型クラウンと新型カローラの発表会である。
トヨタの複合施設メガウェブ(東京都江東区)会場の主役は、ネット応募したユーザーだ。豊田章男社長と友山茂樹副社長がユーザーに直接説明する様子がインターネット中継された。
こうしたメーカーとユーザーとのコネクティビティが今後、さらに進化することは間違いない。
ディーラーとメディア、これからどうなる?
自動車産業界はいま、100年に一度の大変革期と言われて久しい。
独ダイムラーのマーケティング用語CASE(コネクテッド/自動運転/シェアリング・新サービス、電動化)がメディアで一般名詞化されている。
CASEがもたらす様々な影響の中、もっとも大きなインパクトがあるのが、メーカーとユーザーが直接、情報をやり取りするという観点での、コネクティビティだ。
その一環として、新車発表会のインターネット中継での質疑応答に今回、スポットがあたったのだ。
これまで、メーカーとユーザーは大きく離れていた。クルマ本体で見ると、メーカーは製造したあとディーラーに卸販売し、ディーラーはユーザーに小売り販売してきた。
クルマ関連の情報という側面では、メーカーはメディアに対して、新車発表会や新車症状会を開催し、メディアがユーザーに対して情報を再発信するかたちだ。
こうした、商品ありきのプロダクトアウト型から、ユーザーの需要ありきのマーケットイン型へと、商流の考え方が大きく転換しようとしている。
そうなると、ディーラーもメディアも旧来の方式では今後、継続することが難しくなるのは明らかだ。
今回、偶発的に行われた、無メディア状態でのインターネット中継新車発表。
時代変化の1ページとして歴史に残るかもしれない。
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