■「鈴鹿8耐」に参戦した唯一のハーレーを手掛けた「サンダンス」
ハーレーダビッドソンをベースにしたカスタムといえば、タンクやフェンダーといった外装を変え、ノーマルからガラリとスタイルを変更したものにスポットが当てられがちなのですが、「バイク」という要素に重きを置いた場合、最も追求されて然るべきもの……それは「走りの要素」に他なりません。
なぜ彼女たちはバイク屋で働くのか? 「ハーレー・ダビッドソン南大阪」萩ゆきみさんの場合
ハーレーのカスタム業界において於いてそうした部分で世界的な第一人者といっても過言ではない人物が、東京にある“サンダンス”の柴?“ZAK”武彦氏であることに異論を挟む人はきっと少ないでしょう。
1982年、東京は港区の高輪でオープンして以来、40年もの間、同店では数々のオリジナルパーツやカスタムが生み出され、ハーレーカスタム業界にエポックメイキングな話題を提供し続けているのですが、その中で一貫しているのが人間の五感を刺激する「走りの楽しみ」を追求するという部分です。
たとえば一般的に「バイクでパフォーマンスを追求する」ということを耳にすると「馬力」や「トルク」、「最高速」などのスペックで語られる場合が多いのですが、それよりもサンダンスが重きを置くのが「バイクのテイスト・アップ」とでも言えばいいでしょうか。
これまで数々のハーレーダビッドソンをチューニングし、カスタムを生み出してきたサンダンスですが、その中である種の究極形といえるのが、ここに紹介する「スーパーXR-TC」です。
■4カムエンジン「スーパーXR」のノウハウをビッグツインに
1992年に開発とテストをスタートし、95年にリリースされた「スーパーXR」はスポーツスターの腰下(クランク周り)にサンダンス・オリジナルのヘッドとシリンダーを組み合わせたマシンなのですが、そのノウハウを活かし、ビッグツイン系ハーレーに独自のテクノロジーを注ぎ込んだのが1999年に登場した“スーパーXR-BT”シリーズです。
このラインナップは1984~1999年まで生産された1カムの“エボリューション”モーターをベースとしたものや、それ以降の“ツインカム”モーターをベースにしたもの、更には時代を遡り1970~1984年に生産された“ショベルヘッド”をベースにしたものまでが用意され、これまでで数十台が製作されたのですが、ここに見る“シルバーファントム”と名付けられた1台に搭載されたユニットは、柴?“ZAK”武彦氏というエンジニアにとって、ひとつの結実と呼べるものとなっています。 これ以前、サンダンスが生み出した「スーパーXR-TC」といえばボア4-1/8インチ、ストロークは4-5/8インチというセットアップの2030ccという仕様が定番だったのですが、このマシンではストロークをあえてショート化し、4-1/2″のクランクを採用。その上でオリジナルのコンロッドを更に延長し、低速ではトルクフルに、そして高回転域では更に伸びやかなフィールとなるよう味付けが施されています。
これまでの「スーパーXR-TC」のレブリミットが5500rpmなのに対して、この「シルバーファントム」は6000rpmに実用上限回転が設定されているのですが、これは先程述べたコンロッドの延長によってシリンダー内壁にかかるピストン・サイドフォースが軽減され、高い耐久性も狙った仕様が与えられているゆえ。そうした部分はハーレーで唯一、「鈴鹿8時間耐久ロードレース」を走った「デイトナウエポン?」を生み出した柴?氏の経験と技術が息づくものとなっています。
また、スペックにしても後軸で152馬力、トルクで19kg/mを発揮する上、低速域ではハーレーらしい“鼓動感”を味わえ、高回転域では強大なパワーを発揮するこのマシンのフィーリングは、ハーレーのみならず数ある「バイク」の中でも掛け値ナシに究極です。 たとえば鋭い切れ味を追求した名刀が見る者を魅了する光を放つように……あらゆる意味で「リアルなパフォーマンス」を追求したマシンには必然的にクールさが宿るということを、この「シルバーファントム」という存在が如実に指し示しているのかもしれません。
スタイルとパフォーマンスの二刀流……それを40年に渡り、貫くサンダンスの流儀には脱帽です。
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みんなのコメント
ここのオーナーの柴崎氏というものかなり独創的な発想力を持つ者日本人らしからぬところがひじょうに面白い人物である。
ハーレー乗りが嫌われる所以はこの爆音、