ボディタイプは2種類
ドイツの自動車メーカーであるアウディは7月31日、ミドルサイズの新型EV「A6 eトロン」および「S6 eトロン」を欧州で発表した。最高出力550ps、航続距離750km以上を誇り、ライバルのBMW i5とメルセデス・ベンツEQEに戦いを挑む。
【画像】アウディ最新の高級EV、航続距離は最長756kmへ【アバントA6 eトロンの全モデルを写真で見る】 全60枚
A6としては第6世代に数えられ、シリーズ初のフル電動化を実現した。内燃機関を搭載する現行A6は、まもなく実施予定のマイナーチェンジに伴い「A7」へと名称を変更する。
新型A6 eトロンの外観は、2021年に公開されたコンセプトモデルを忠実に踏襲している。大型のエアインテーク、ヘッドライト、ADASセンサーなど、量産車に必要な装備が追加されたことでフロントエンドは軽くスタイリングが変更されているが、流麗で力強いプロポーションは健在だ。
ボディタイプはハッチバックの「スポーツバック」とステーションワゴンの「アバント」の2種類がある。
航続距離は最長756km
電動SUVのQ6 eトロンと同様に、新世代のEV用プラットフォーム「プレミアム・プラットフォーム・エレクトリック(PPE)」を採用し、800Vの高電圧アーキテクチャーと幅広いバッテリーおよびパワートレインの導入を可能にした。
注目すべき点は、A6スポーツバックeトロンで航続距離756km(欧州WLTPサイクル)を達成したことだ。競合相手のBMW i5(573km)やメルセデス・ベンツEQE(690km)を上回る。ワゴンボディのA6アバントeトロンは、エアロダイナミクスにやや劣る形状のため航続距離が720kmと謳われている。
スポーティモデルのS6スポーツバックeトロンの航続距離は675km、S6アバントeトロンは647kmとされている。
この航続距離は、高効率な94.9kWh(使用可能容量)のバッテリーによるものだ。PPE専用設計で、12個のモジュールと180個のセルで構成されている。また、発売後まもなく10個モジュールの79kWhバッテリーも導入される予定だ。
どちらも正極材にニッケル・マンガン・コバルト(NMC)を使用したリチウムイオンバッテリーで、Q8 eトロンやeトロンGTのユニットよりもセル密度を30%向上しているという。
家庭用のAC充電器で最大11kW(将来的に22kWへアップグレード予定)、DC充電器では最大270kWの急速充電に対応する。
大型OLED画面採用
パワートレインは2種類。エントリーグレードの「パフォーマンス」は、リアに永久磁石同期モーターを搭載し、最高出力367ps(270kW)、0-100km/h加速タイムは5.4秒となる。最高速度は210km/h。
スポーティモデルのS6 eトロンではフロントアクスルに非同期モーターを追加し、四輪駆動となり、通常時の合計出力は503psとなる。ローンチ・コントロール機能を使用すると、一時的に550psまでパワーアップし、0-100km/h加速のタイムは3.9秒に短縮される。最高速度は240km/h。
現時点では未発表だが、高性能モデル「RS6」もEVとしても生まれ変わる。既存のV8エンジン(最高出力630ps)よりも強力なパフォーマンスを発揮し、また14年ぶりにセダン(スポーツバック)とステーションワゴンの両方が用意される見込みだ。
ダイナミクスの面では、A6 eトロンは “ファーストクラス” の快適性を目指しており、エントリーグレードには従来のスチール製スプリング、S6 eトロンにはアダプティブ・エア・サスペンションが装備される。
S6 eトロンは走行中に車高を自動調整し、空力性能と航続距離を改善する。また、駐車時やロック解除時には車高が上がり、楽に乗り降りできるようになる。
インテリアでは、Q6 eトロンのレイアウトを踏襲し、大型のOLEDスクリーンが主役となっている。11.9インチのインストゥルメントパネルと14.5インチのインフォテインメント・タッチスクリーンを統合したものだ。
オプションで10.9インチの助手席ディスプレイも用意されている。オプションのカメラ式サイドミラー装着車では、ダッシュボード上に2つの小型ディスプレイが設置される。
A6 eトロンの納車は今年末頃から欧州で開始される。価格はまだ確定していないが、ライバルとなるBMW i5(日本向け税込み価格:998万円~)やメルセデス・ベンツEQE(同1248万円~)に近い設定になると予想される。
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