■ものすごく立派になった
フルモデルチェンジされた三菱アウトランダーが、ついにその勇姿を我々の前に現した。北米では2.5Lガソリンモデルが先行デビューしているが、PHEVの導入は日本が初。3代目となる新型は国内ではPHEV専用モデルとして、新たなスタートを切ったのだ。
ウワサは本当だった…サーキットで見せつけられた速すぎるRAV4 PHVの実力
外観は「威風堂堂」の開発コンセプトに違わない存在感を発揮。先代よりひとまわり拡大したボディサイズが数値以上に大きく見えるのは、「ボールド・ストライド(BOLD STRIDE)」と名付けられた新デザインコンセプトの効果だろう。「ダイナミックシールド」の三菱顔はもはや金太郎飴の感もあるが(三菱に限ったことではないが)、飛行機の垂直尾翼がモチーフのDピラーや20インチの大径タイヤを持つサイドビューは、なかなかユニークだ。
好調が伝えられる北米の売れ行きは、室内を見ればさらに合点がいく。水平基調のインパネをはじめとした造形はオーソドックスながら、ステッチ付きのソフトパッドを多用し、メーターは三菱初の全画面フルカラー液晶。最上級グレードのPはシフトパネルのリアルアルミニウム、セミアニリンレザーのシートが標準で、間違いなく上質な仕上がりだ。メーター表示のエンハンスモードや水平スライド操作のシフトレバーは、日産のノート オーラで覚えがある。
7人乗りも新型の注目点。後輪用モーターユニットの小型化で3列目シートの搭載を可能にしている。先代ガソリン車と同じく完全な緊急用ではあるが、イザというとき重宝する3列派にはうれしい設定だ。
■前後モーターが強力に!
そして、何といっても興味深いのが、三菱独自のパワー&ドライブトレーンと、ルノー・日産とのアライアンスで刷新したプラットフォームが織りなす走りだ。今回は袖ケ浦フォレストレースウェイでその感触を試した。試乗車はプロトタイプのPグレード。
先代で熟成の感があったPHEVシステムとツインモーター4WDは、さらに戦闘力を高めている。前後モーターはそれぞれ40%以上パワーアップ。フロントモーターはトルクも何と86%増しだ。
だいたいのシステム動力と考えていい両者の合算値は、先代の177馬力・33.9kgmから252馬力・45.9kgm(換算値)に向上。アクセルを踏み込んだ瞬間立ち上がる強烈な加速G、高速域まで力強さが持続するストレートの伸びは、まさにスペックどおりの迫力といっていい。車重はトップグレード同士の比較で200kgも増えているが、そんなことはみじんも感じさせない。
車両の骨格は、CMF-C/Dと呼ばれるアライアンスプラットフォーム。日産の次期エクストレイルも共用するが、新型アウトランダーPHEVで特徴的なのは足元の20インチタイヤだ。しかも、幅はかなりワイドな255である。
デュアルピニオン採用のステアリングは、ロック・トゥ・ロックが2.6回転のクイックなギヤ比。この素早い操舵入力とワイドタイヤのグリップを、サスペンションが懐深く受け止める。フロントはレスポンスよく向きを変え、バネ下はしなやかにストロークしながら頼もしいロール剛性を発揮。重厚でありながらスポーティ、そして洗練された走り味は、外観のイメージとピタリ一致する。
自在のハンドリングには、もちろん三菱が誇るS-AWCも大きく貢献している。新型では先代でフロントのみだったブレーキAYC(ベクタリング)をリヤにも採用。車両運動統合制御のポテンシャルをさらに広げている。
■トヨタRAV4 PHVを狙い撃ちの価格設定
その証が7つに増えたドライブモードだ。「ターマック」モードはステアリングが手応えを増し、アクセルオンで正確なトレース性を発揮。オンロードのワインディングにぴったりのハンドリング特性だ。かたや「グラベル」は、サーキットでもオーバーステア気味の大胆な姿勢づくりでコーナーを攻められる。WRCやパリダカなどで培われた三菱のラリー魂は、今なお健在。また、アクセル操作のみで加減速が可能なワンペダル制御、「イノベーティブペダルオペレーションモード」の搭載も見逃せない。
先進運転支援装備は、次期エクストレイルと同じであろう充実の内容。三菱は対応が遅れていたSOSコールも、ついに採用している。ほかの装備を見ても、アダプティブLEDヘッドライトやウインドシールド式ヘッドアップディスプレイに、ハンズフリー対応のパワーテールゲート、AC100V・1500Wのアクセサリーコンセント、スマートフォンのワイヤレス充電、BOSEプレミアムサウンドシステムといった快適・便利アイテムなどなど。プレミアムブランドを除くミッドサイズSUVとして、およそないものはない。
乗り心地や実燃費などについては公道試乗の機会を待ちたいが、ハードウェアの出来映えは相当なレベルと見た。しかも、価格設定はトヨタRAV4 PHVを狙い撃ちしているのだ。動力性能、一充電EV航続距離、WLTCモードの燃費・電費はRAV4 PHVがリード。一方、新型アウトランダーPHEVは同等グレード比で数万円安いうえ、7人乗りの設定や急速充電器への対応など、コストパフォーマンスで上をいく。
SUV型PHEVの先駆けとして、さらには三菱の今後を占う最重要モデルとして、絶対に負けられない戦いなのだ。それは海外勢が相手でも同じこと。とにかく12月16日の発売が楽しみでならない。
■価格&スペックを確認する
■アウトランダーPHEV P(7人乗り) 主要諸元 ※[ ]内はM(5人乗り)
全長×全幅×全高:4710mm×1860mm×1745mm
ホイールベース:2705mm
トレッド:前1595mm/後1600mm
最低地上高:200mm
車両重量:2110kg[2050kg]
エンジン種類:直4DOHC
ボア×ストローク:88.0mm×97.0mm
エンジン総排気量:2359cc
圧縮比:11.7
エンジン最高出力:98kW/5000rpm
エンジン最大トルク:195Nm/4300rpm
燃料種類・タンク容量:レギュラー・56L
モーター最高出力:前85kW・後100kW
モーター最大トルク:前225Nm・後195Nm
駆動用バッテリー種類・総電圧・総電力量:リチウムイオン・350V・20kWh
WLTCモード燃費:16.2km/h
一充電走行距離(WLTCモード):83km
駆動方式:4WD
最小回転半径:5.5m
サスペンション形式:前ストラット/後マルチリンク
ブレーキ:前後Vディスク
タイヤサイズ:255/45R20
■アウトランダーPHEV 価格
P(7人乗り):532万700円
G(7人乗り):499万6200円
G(5人乗り):490万4900円
M(5人乗り):462万1100円
■RAV4 PHV ブラックトーン 主要諸元
全長×全幅×全高:4600mm×1855mm×1695mm
ホイールベース:2690mm
トレッド:前1595mm/後1615mm
最低地上高:200mm
車両重量:1920kg
エンジン種類:直4DOHC
ボア×ストローク:87.5mm×103.4mm
エンジン総排気量:2487cc
圧縮比:ー
エンジン最高出力:130kW(177ps)/6000rpm
エンジン最大トルク:219Nm(22.3kgm)/3600rpm
燃料種類・タンク容量:レギュラー・56L
モーター最高出力:前134kW(182ps)・後40kW(54ps)
モーター最大トルク:前270Nm(27.5kgm)・後121Nm(12.3kgm)
駆動用バッテリー種類・総電圧・総電力量:リチウムイオン・355.2V・18.1kWh
WLTCモード燃費:22.2km/h
一充電走行距離(WLTCモード):95km
駆動方式:4WD
最小回転半径:5.7m
サスペンション形式:前ストラット/後ダブルウイッシュボーン
ブレーキ:前後Vディスク
タイヤサイズ:235/55R19
■RAV4 PHV 価格
ブラックトーン:539万円
G Z:499万円
G:469万円
〈文=戸田治宏 写真=山内潤也〉
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みんなのコメント
三菱のドメイン(生存領域)は、ニッチ市場。
市場寡占企業のトヨタと同コンセプトでユーザーに選ばせていては勝敗は見えている。
トヨタに飽き足らないユーザーが敢えて三菱の特長ある車をチョイスする(自分もそれ)から、価格帯を並べて価格競争するのは間違い。
そもそも当方がチョイスする時にトヨタの燃費命のつまらない(失礼)HVは、選択肢には無かった。
むしろ高くても、トヨタが出せない車を作るべき。PHEVはその点ではトヨタはHVに拘って、メンツもあるから絶対に出してこないから、REX仕様を前面に出すべき。
EV走行距離は100㎞を超えてきて欲しかったなあ。
5人乗り仕様でその分バッテリー搭載スペースに使って、日産の可変ストロークターボエンジンで発電効率を上げて600万円でも良いから100㎞越えを目指すグレード用意すべきだろう。