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10年前の観客が一番時計/フェラーリが“ジョーカー”投入/IMSAのマシンを活用【WECサンパウロ金曜Topics】

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10年前の観客が一番時計/フェラーリが“ジョーカー”投入/IMSAのマシンを活用【WECサンパウロ金曜Topics】

 7月12日(金)、ブラジル・サンパウロのアウトドローモ・ホセ・カルロス・パーチェ(インテルラゴス)で、開催されるWEC世界耐久選手権第5戦『サンパウロ6時間レース』のフリープラクティスが始まった。第4戦ル・マンから4週間を経て迎えた第5戦は、雨上がりのFP1と晴れ間の広がったFP2を終え、予選/決勝への熱を高めつつある。

 そんな金曜日のインテルラゴスのパドックから、各種トピックスをお届けする。

トヨタが初日首位スタート。2台ともに順調も「前回とは路面が変わっている」と可夢偉が警戒/WECサンパウロ

■10年越しの最速タイムはかなりのギャップ

 サンパウロで行われたFIA世界耐久選手権第5戦初日のラップタイムは、10年前に同シリーズが最後にインテルラゴス・サーキットを訪れた時と比べてかなりギャップのあるものだった。

 8号車トヨタGR010ハイブリッドのセバスチャン・ブエミは1分25秒727のベストタイムをマークしたが、2014年時の金曜日の練習走行でポルシェ919ハイブリッドに乗るマーク・ウェバーが記録したベストは1分18秒349だ。

 この差は、ハイパーカーが当時のLMP1クラスよりもスピードが抑えられていることに加え、2014年のイベントの前にはインテルラゴスのアスファルトが新しく敷き直されていたという事実も要因となったと思われる。新敷設以降、路面はかなり劣化しており、またいくつかの新しい縁石も設置されている。

 7号車トヨタのクルーであるマイク・コンウェイは、1カ月前のル・マン24時間での負傷から復帰を果たした。この日の2回の練習走行で42周を走行し、身体的な問題はないと報告した。

 コンウェイはSportscar365に「基本的には大丈夫だった」とその感覚を語った。

「最初の練習走行では少し痛みを感じたが、2回目の練習走行は良くなったので、クルマにふたたび慣れるだけだったのかもしれない」

「残りのレースウイークエンドも大丈夫だろう。レースで2時間のスティントを走るのは別の挑戦になるかもしれないが、今のところは順調だ」

■フェラーリのジョーカー投入を確認

 フェラーリの耐久レースカー責任者フェルディナンド・カンニッツォは、今週末フェラーリ499Pに導入されたアップデートに“エボ・ジョーカー”がひとつ使用されていることをSportscar365に確認した。カニッツォはそれは当初の予想に合ったマシン前部でなく、後部ブレーキの新たな冷却ダクトであることを明らかにしている。

 マシンバランス調整のための空力のマイナーチェンジを含むアップデートは、3月に初めてトラックでテストされたが、ル・マン24時間レースの前に2レース分のデータを用意するというFIA国際自動車連盟とACOフランス西部自動車クラブの要件に従い、イタリアのメーカーはイモラで変更をデビューさせる必要があった。

 カンニッツォは「これを推し進める理由はなかった」とし、次のように語る。

「ル・マンはブレーキにそれほど負担がかからないので、これを推し進める理由はなかったんだ」

「これが、私たちが当時『ここから始めて、経験を積めるかどうか見てみよう』と言った理由のひとつなんだ。ただこれから先、ブレーキに非常に負担のかかるトラックでレースをするときには、間違いなくこのアップデート後の方が良いはずだ」

 フェラーリ499Pの今後のアップデートについて尋ねられたカンニッツォは、「もちろん、すでにさらなる改善に取り組んでいる」とコメントしている。

「しかし、マシンの変更については非常に慎重に行っている。まずは本当のところで何が必要なのかを理解したい。なので、いつ新しいものが登場するかはわからないが、新たな部品を投入しても競争力を維持できることが分かったなら、FIAおよびACOはさらなる変更を承認することになるだろう」

 最後にカンニッツォは今週末のタイヤ選択について、ハイパーカーのオプションとしてミシュランのミディアムとハードのタイヤが検討されているが、タイヤの劣化は気温の変化によるものよりも、インテルラゴスのアスファルトの『非常に悪い』状態によって左右される可能性があると示唆した。

■レース後にはIMSAチームも参加のテストを実施

 36号車アルピーヌA424(アルピーヌ・エンデュランス・チーム)のクルーであるニコラ・ラピエールはSportscar365に対し、ターボの問題でFP2の大部分で走行不能になったことを認めた。この車は41周しか走行しなかったが、姉妹車の35号車アルピーヌは73周を走行している。ちなみに、初日最速のトヨタ8号車は83周でセッション最多ラップを記録している。

 IMSAウェザーテック・スポーツカー選手権でGTPクラスのポイントリーダーであるフェリペ・ナッセが、今週末ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツのリザーブドライバーを務めている。

 マネージングディレクターのジョナサン・ディウグイドは以前、チームは残りのシーズンに向けて10人のドライバーをローテーションでリザーブとして活用することを説明している。

 サンパウロのレースのすぐ後、7月25日から27日まで、アメリカ・テキサス州のサーキット・オブ・ジ・アメリカズ(COTA)でハイパーカーチームの3日間のテストが予定されている。テスト最終日はミシュランのタイヤテストに充てられ、残りの2日間はフェラーリがスポンサーの合同テストとなる。

 このテストにはフェラーリとAFコルセのオペレーションのもと、トヨタ、キャデラック、ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツ、ハーツ・チーム・JOTA、プジョーが参加予定で、BMWはIMSAのパートナーチームであるレイホール・レターマン・ラニガン・レーシング(RLL)とともに参加する。

 BMW Mモータースポーツのディレクター、アンドレアス・ルースは、運送上の理由からRLLがテストを実施するが、現地にはWECでの活動に関わっているWRTのスタッフがいると説明した。

 ルースはSportscar365に対し「アメリカにレイホールのマシンがあるのに、ヨーロッパからマシンを送るのは意味がない」と説明している。

「理屈は簡単で、コスト効率が良いんだ。我々はアメリカでテストを行う場合なら、現地にあるマシンをテストで使用するのが理にかなっている」

■ル・マンで横転のアストンマーティンが復活

 ハート・オブ・レーシングチームの27号車アストンマーティン・バンテージGT3エボは、先月のル・マン24時間レースでダニエル・マンチネリが横転クラッシュを喫した後、シャシーを再調整した。チーム代表兼ドライバーのイアン・ジェームスは、車両はわずか3日間で再構築を完了し、シルバーストンでシェイクダウンを終えたと明かしている。

 LMGT3クラスの選手権首位タイに立つマンタイEMAの91号車ポルシェ911 GT3 R LMGT3に乗るヤセル・シャヒンは、姉妹車であり最大のライバルでもあるマンタイ・ピュアレクシングの92号車ポルシェと、コース上で互いにぶつからないようにという以外の特別なチームオーダーはないと語った。

 10年ぶりのWECブラジル戦に出場するふたりの地元ドライバーのうち、ユナイテッド・オートスポーツのニコラス・コスタ(59号車マクラーレン720S LMGT3エボ)は、2014年の当時22歳だった彼はレースのチケットを持っていなかったため、前回のWECレースを隣接するカートトラックから観戦したと明かした。

 そのコスタは金曜日のフリープラクティスセッションで、LMGT3クラスの最速タイムを記録している。

 キャデラック・レーシングは、イベントのスタッフ申告の締め切りを守らなかったため、500ユーロ(約8万6000円)の罰金を科せられたという。チップ・ガナッシ・レーシングが運営するキャデラック・レーシングは、サンパウロでのレースに参加するスタッフのリストを7月4日に申告したが、締め切りは7月3日だった。

 一方、イソッタ・フラスキーニは、同じ違反で1000ユーロ(約17万円)の罰金を科せられたが、イタリアのチームはリストを2日遅れの7月5日に提出した。

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