新型は「見た目<性能」の大幅進化
初代XVはインプレッサの派生モデルとして誕生するが、クラッディングの追加などSUVらしいドレスアップを施したモデルだった。
【画像】話題の新型クロストレック【内外装や走りを詳しく見る】 全177枚
2代目からは専用サスを採用し、最低地上高も200mmに拡大。悪路対応力をフォレスターに近いレベルにまで向上させている。
4代目、つまり新型は車名を海外向けに用いていたクロストレックに変更しているが、クルマの成り立ちはXVと同じくインプレッサをベースとする。
ちなみに先代(XV)の車両型式は現行インプレッサと同じである。
フルモデルチェンジ(FMC)とはいえ新型の側面形は先代と極めて近く、基本骨格構造を先代から引き継いでいる。
しかし、スバル車の新世代骨格構造となるフルインナーフレーム構造にアップデートされた。
その要点は車体組立方法にある。
従来型ではアウターパネルを接合してから骨格部の接合をおこなっていたが、新型では骨格部を先に接合した後にアウターパネルを接合。
これにより骨格接合部の溶接打点の自由度が高まり、フレーム剛性向上に効率的な溶接が可能になったとのこと。
見た目は同じでも性能が違うのだ。
これは新型の象徴的な部分。
見た目は大きく変わっていないが、着実かつ有効な進化を遂げているのがクロストレックのFMCの特徴なのだ。
パワートレイン 先代よりも余力増す
搭載パワートレインは従来車と同じeボクサー。
直噴NA 2Lのフラット4とCVTのパワートレインに駆動回生用電動モーターを組み合わせたパラレル式ハイブリッドシステムである。
スペック表を見た限りでは動力性能は現状維持かとも思ったのだが、従来車と比べると余力が増した印象。
試しに全開で加速させてみたが、これは従来車とほぼ同じ。
つまり中間アクセルでの加速性能が改善されているのだ。
余力を感じさせるポイントの1つが変速。
登坂加速で踏み込み量が増えても、3500-4500rpmくらいですます。全開近くなるとダウンシフトで回転を上げて加速を稼ぐようになるが、それまでは回転控え目で力強いのだ。
電動アシストもモーター出力やバッテリー容量を考えればドライバビリティ改善が主眼であり、余力アップの効果は期待できない。
実用域重視のスロットル開度先行制御の効果だ。
全開加速の性能を考えればトルクの余裕は錯覚だが、走りの質を高めるには効果的である。
もう1つのポイントはエンジン騒音。騒音の減少だけでなく、音質もマイルドになった。使用回転域が高くなっても唸らないので心理的ストレスも減少。
前述のパワートレイン制御もそうだが、乗員を圧迫するストレスコントロールが上手い。
巧みな抑制 振動騒音&走りが穏やかに
先代モデルのハンドリングはスバル4WD車群では穏健派。
SUV系は切れ味よりも挙動の滑らかさや安心感を重視した設計になっているが、XVはとくにその感が強く、後継となるクロストレックにも引き継がれている。
ただし、鈍重とかルーズというわけではない。
SUVとしては低全高/低重心/低アイポイントの長所をいかし、穏やかながら従順なラインコントロール性を示す。
加減速による方向性の乱れも少なく、速度制御によるラインコントロールも容易。あれこれ小技を労せずとも速度と舵角に応じたコーナリングラインを描く。
装着タイヤはオールシーズン(M+S)だが、急加減速を伴うようなコーナリングにも不安はない。
フットワークの改善点は乗り心地。細かな振動の抑制が巧みである。
ひび割れや補修跡などの細かな凹凸からの振動の遮断がいい。
正しくは「遮断」というよりは「均し」という感じなのだが、当たりが穏やかさは速度感などの圧迫感も減少する。
また、ロードノイズなどのサスや骨格から伝わる振動騒音も減少し、耳当たりも穏やか。
前項で述べたパワートレインまわりの騒音とあわせて走りの質感向上に役立っている。
加速性能にしても操安性にしても大きく変わっていないのに、走りの肌触りが随分と良くなっている。
引き締まった挙動望むなら「FF車」
先代から継承したハードが多いせいか、FMCとしてはインパクトが薄いのだが、その中で1番印象に残ったのがFF車の設定だ。
姉妹車ともいえるインプレッサに設定されているのだから、クロストレックにあっても不思議ではないが、4WD推しのスバル、しかもSUVならば「意外」以外の何物でもない。もちろん、先代は4WD車のみの構成である。
4WD車に対しては価格と燃費の経済仕様と考えることも可能だが、それだけですますのは些か早計である。
1つの視点はインプレッサFFのステップアップモデル。4WDの必要性はないがSUVの雰囲気が好きなユーザーを対象とするにはちょうどいい。
もう1つはドライブフィール。
基本的な特性は前項で述べた4WD車と変わらないのだが、フットワークに多少引き締まった印象を受けた。
ハンドリングの方向性は同じ。過敏な反応を抑えて操舵や加減速の修正少なくすませる素直なタイプ。
コーナーの立ち上がりで大きめの駆動力を掛けてもよく粘る。前後サスとも荷重変動を抑えるようによく踏ん張っている。
だからといってスポーツ仕様というほど締まっているわけではないのだが、小気味よさや締まった挙動を望むなら4WD車よりFF車のほうが好まれそうである。
オールラウンダー 街中でも悪路でも
隙間商品といっては語弊があるかも知れないが、クロストレックはSUVとしてはアンバランスである。
基本車体設計はインプレッサ5ドアで、乗用車型プラットフォーム車ではトップクラスの悪路踏破性を備える。
だからといって、キャビンをアウトドア趣味のレジャーで使いやすくすれば、それはフォレスターである。
例えば沢山の、あるいは大きなレジャーギア満載で出掛けるなら本格SUVは必須だが、そこまでの積載性を求めなければ高全高の車体は不便だ。
タウンユースでも使いやすいパッケージングに本格SUVの悪路対応力を融合。
キャビン実用性や車窓からの見晴らしは本格SUVに及ばないが、タウン&ツーリングとラフ&オンロードを高レベルで対応。
隙間商品的な存在ではあるが、クロストレックの特徴を並べて見ると意外と現実的だ。
走りは肌身感覚の洗練感を増し、アイサイトは単眼カメラを追加して都市部で多い対人事故や対二輪車事故の回避能力を向上。
これらも前述のクロストレックの想定ユーザーニーズに沿ったもの。正常進化で魅力を深めている。
価格は未発表だが、経済現況を鑑みれば値上げは避けられないだろうが、先代同様に相対的には買い得感のある価格が予想される。2名乗車基本でSUVを検討しているなら狙い目である。
スバル・クロストレックのスペック
価格:未発表
全長:4480mm
全幅:1800mm
全高:1580mm
ホイールベース:2670mm
車両重量:1540-1620kg
パワートレイン:水平対向4気筒2000cc+モーター
最高出力:未発表
最大トルク:未発表
ギアボックス:リニアトロニックCVT
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みんなのコメント
よりバンパーのヒゲ感が…
これは無理かな。