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「自転車横断帯」がクルマを惑わせる? 横断歩道に併設のアレ、撤去進むワケ

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「自転車横断帯」がクルマを惑わせる? 横断歩道に併設のアレ、撤去進むワケ

6年間で3万か所以上が撤去

 ゼブラ柄の横断歩道に並行し設けられた「自転車横断帯」。自転車のマークとともに「じてんしゃ」と書かれていることの多いものですが、この自転車横断帯が数を減らしています。

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 警察庁は2011(平成23)年10月、全国の警察などに対して自転車道や自転車専用通行帯を整備し、「自転車本来の走行性能の発揮を求める自転車利用者には歩道以外の場所を通行するよう促す」「歩道を通行することがやむを得ない場合には、歩行者優先というルールの遵守を徹底させる」ことなどを通達しました。つまり、自転車は「車道が原則、歩道は例外」(自転車安全利用五則)というルールの徹底を促したものです。

 そのなかで、幅3m未満で「自転車通行可」としている歩道はこれを見直すとともに、その「自転車通行可」の歩道をつなぐ自転車横断帯を撤去するという原則を打ち出しています。

 一方、道路交通法第63条の6には「自転車横断帯がある場所の付近においては、その自転車横断帯によつて道路を横断しなければならない」と定められています。歩行者と自転車の通行を分離するためのものですが、それをなぜ撤去しているのでしょうか。警察庁に話を聞きました。

――自転車横断帯は2011(平成23)年以降、どれほど撤去されているのでしょうか。

 2010(平成22)年度末時点で全国に20万6780か所ありましたが、2016年度末時点で3万2230か所撤去され、17万4550か所となっています。

撤去の理由は?

――なぜ自転車横断帯を撤去するのでしょうか?

 車道を通行する自転車が、交差点部においても直進的に進行するために実施しています。

※ ※ ※

 自転車横断帯の撤去は、歩道を通行している自転車ではなく、原則に従って車道の左側を通行する自転車に向けた措置であるようです。これまでの問題点と撤去後の変化について、「自転車のまち」をうたう栃木県宇都宮市の道路建設課に聞きました。

――自転車横断帯には、どのような問題があったのでしょうか?

 交差点で横断歩道に並行して自転車横断帯が設けられている場合、車道の左側を通行する自転車がいったん左に寄り、自転車横断帯を通って再び右に寄って車道に戻るようなケースがあります。左に寄ることで、クルマのドライバーはその自転車が左折するものと勘違いし、結果的に巻き込み事故につながる恐れがありました。

――撤去後はどのように変化したのでしょうか?

 自転車は車道を走るものと認識している方にとっては、それがわかりやすくなったといえるでしょう。宇都宮市の場合、自転車横断帯を撤去した交差点についてはさらに、車道の左端に「矢羽根」と呼ばれるガイドを表示し、直進する自転車の走行位置と方向を示しています。これにより、左側通行であることも明確になり、逆走の防止にもつながっています。

※ ※ ※

 しかしながら、自転車横断帯の標識や標示、あるいはそれにまつわる道路交通法の条文そのものは廃止されていません。警察庁によると、次のような場所で自転車横断帯が設置されているといいます。

・自転車が通行できない構造の歩道橋や地下道付近で、自転車の通行が多い交差点
・自転車道または「普通自転車通行指定部分」(編集部注:たとえば自転車が通行する部分が白線などで分けられている歩道)がある道路と接続している交差点で、自転車の通行を連続して確保する必要がある場所
・自転車の横断が多いなど、自転車の安全を確保するうえで特に必要と認められる交差点など

 自転車の通行環境を整備するうえで、自転車横断帯を活かすべきところもあるようです。

 ちなみに、撤去された自転車横断帯のスペースは「原則として、横断歩道の拡幅などに活用されている」(警察庁)といいます。

【写真】自転車横断帯、撤去の様子

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