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三菱「ギャランクーペFTO」は黄金レイアウトの本気仕様! デザインも優れた隠れた名車でした【国産名車グラフィティ】

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三菱「ギャランクーペFTO」は黄金レイアウトの本気仕様! デザインも優れた隠れた名車でした【国産名車グラフィティ】

理想的なトレッド&ホイールベース比とパワフルな1.6Lエンジン

コンパクトなボディにハイパワーエンジンを搭載するライトウエイトスポーツ「ギャランクーペFTO」。ワイドなトレッドとホイールベースの比率は、じつは高い運動性能を司る黄金レイアウトだ。「ファストノッチ」という先進的なフォルムには、このような機能美が秘められていたのである。

三菱の本気! 「ギャランクーペFTO」とは? 安全対策のためにオーバーフェンダー仕様が廃止になった過去も

機能性重視の設計にデザイン性が加わり魅力的なクーペが登場

1960(昭和35)年に発売した三菱500に始まる新三菱重工業のクルマづくりは、凝ったメカニズムを採用し、機能を重視した設計が特徴だった。メカニズムに強いこだわりは持っていたが、デザインに対するこだわりは薄かった。この流れが変わるのは、1965年に久保富夫が自動車事業部の部長に着任してからである。戦前に三菱の航空機開発に関わり、後に三菱自動車工業の社長にまで上り詰める久保富夫は、デザインの重要性を説き、社内改革に乗り出している。

その成果が現れるのは1969年10月に発売されたコルトギャランからだ。1970年春にセンターピラーレスの2ドアハードトップを加え、秋にはダックテールのクーペ、ギャランGTOを送り出した。余勢を駆って、1971年春にGTOを軽自動車サイズにスケールダウンしたミニカ・スキッパーも発売している。

三菱のクーペ戦略は止まらない。11月、GTOの弟分とも言える「ギャランクーペFTO」を放つ。車名は、イタリア語のFresco Tourismo Omologareの頭文字3文字で、フレッシュなクーペスタイルのツーリングカーという意味だ。

ボディサイズは、GTOよりひとまわり小さい。全長は3765mm、ホイールベースも2300mmと、今のコンパクトカーより小ぶりだった。だが、ロングノーズとショートデッキを強調したおしゃれなクーペデザインにより新鮮な感じを与える。ウェッジシェイプを基調としたキレのあるフォルムが特徴だ。GTO風の顔つきだが、ヘッドライトは2灯式とした。最大の見どころはリアまわりのデザインだ。ファストバックとノッチバックのいいとこ取りをした「ファストノッチ」スタイルをチャームポイントにしている。また、楕円形に絞り込んだサイド面のタンブルフォームも注目を集めた。

パワーユニットは「ネプチューン」のニックネームが与えられた直列4気筒だ。GTOの「サターン」に続く惑星シリーズで、海王星の意味になる。デビュー時は1378ccの4G41型OHVだったため、ライバルに対し優位性は薄かった。そこで1973年3月のマイナーチェンジを機に、パワーユニットを一新している。選ばれたのは、排ガス対策を施したMCAシステムを用いた4G30系のSOHCエンジンだ。

ムード派の1400シリーズもあるが、主役を張るのは1600シリーズである。搭載するのは、モータースポーツでも実績のある4G32型直列4気筒SOHCだ。2種類のメニューがあり、シングルキャブレター装着のSL-5が積む4G32型は、最高出力100ps/6300rpm、最大トルク14.0kgm/4000rpmを発生する。

ドライバーの気持ちを高ぶらせるギャランファミリーらしいスポーティな内装

フラッグシップとして加わったスパルタンな性格の1600GSRが搭載するのは、SUツインキャブ装着の4G32型だ。スペックは110ps/6700rpm、14.2kg-m/4200rpmまで引き上げられている。ロングストローク設計だが、DOHCエンジン並みに高回転まで軽やかに回った。実用域のトルクもそれなりにあり、回していくとエンジン音も気持ちいい。トランスミッションは節度があり、小気味よく入る5速マニュアルを採用する。

GSRは出で立ちも精悍だ。前後のバンパーをカラードタイプとし、渋いシルバーの砲弾型フェンダーミラーを装備した。それだけではただのスポーツクーペだが、GSRは4輪にリベット留めのオーバーフェンダーを装着している。全幅は1655mmまで広げられ、タイヤも当時としてはファットな175/70HR13ラジアルタイヤを装着していた。

サスペンションは、信頼性の高いコルトギャラン16Lから受け継いだ。平凡なレイアウトだが、味付けとバランス感覚が絶妙だから意のままの痛快な走りを楽しむことができた。フロントはストラット、リアはリーフスプリングによるリジッドアクスルだ。ハードに引き締め、時代に先駆けてリミテッドスリップデフも標準装備する。その効果は絶大で、意のままの鋭い走りを見せた。

インテリアは、ギャランGTOの流れを汲むスポーティなデザインだ。ソフトパッドを使ったT字型デザインのダッシュボードを採用し、ドライバーの前には4つの計器盤とベンチレーションルーバーで5連メーターと感じさせるようなデザインを採用している。

中央の大きな丸型メーターは200km/h表示のスピードメーターと、7200rpmからレッドゾーンのタコメーターだ。その左右に燃料計と水温計を配した。

センターコンソールはオプション設定だが、追加しただけでグッと車格感がアップした。ステアリングはGTOと同じ3本スポークのスポーツタイプだ。コラムには三菱自慢のマルチユースレバーを装着。サッシュレスドアのため乗降性は良好だ。GSRのオーバーフェンダーは好評だったが、1974年秋の保安基準改正で取り外された。その半年後、ランサーセレステに座を譲り静かに消えていく。いぶし銀の走りが光る隠れた名作がFTOのGSRだ。

ギャランクーペ FTO 1600GSR(A63) ●年式:1973 ●全長×全幅×全高:3765mm×1655mm×1320mm ●ホイールベース:2300mm ●車両重量:875kg ●エンジン:4G32型直列4気筒SOHC ●総排気量:1597cc ●最高出力:110ps/6700rpm ●最大トルク:14.2kgm/4800rpm ●変速機:5速MT ●サスペンション(前/後):ストラット/リーフスプリング ●ブレーキ(前/後):ディスク/リーディングトレーリング ●タイヤ:175/70HR13

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みんなのコメント

3件
  • モスグリーンにオーバーフェンダー。当時流行ってましたな。
  • 当時流行のクーペだが、FTOは窓枠のないドア形状から、当時増えつつあった2ドアハードトップと言っても差し支えないものだったのだが、案外知られていないように思う。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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