日本仕様のCX-60には4つのパワートレインが用意される
マツダがまったく新しいアーキテクチャに基づく新型SUV「CX-60」を発表、日本での先行受注を開始しています。
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エンジン縦置きのプラットフォーム、新開発の直列6気筒エンジンなどメカニズムのトピックス多数なCX-60ですが、日本仕様のパワートレインを整理すると次のようになります。
eーSKYACTIV PHEV:直列4気筒ガソリン+モーター(PHEV)e-SKYACTIV D:直列6気筒ディーゼル+モーター(48Vマイルドハイブリッド)SKYACTIV-D 3.3:直列6気筒ディーゼルSKYACTIV-G 2.5:直列4気筒ガソリンエンジン海外向けにはガソリンの6気筒エンジンも発表されていますが、日本仕様のガソリンエンジンは4気筒のみで、ディーゼルは純粋なエンジン仕様とマイルドハイブリッドの2タイプを設定するということになります。そして、2022年9月から先行販売が始まるのはe-SKYACTIV D搭載モデルで、その他モデルの販売開始は2022年12月予定ということで、メインはe-SKYACTIV Dということがいえそうです。
ディーゼルが欧州向けなのは過去の話になっている
e-SKYACTIV D:直列6気筒ディーゼル+モーター(48Vマイルドハイブリッド)クルマ好きの中には「ディーゼルエンジンは欧州向け」という印象があるかもしれません。日本向けの主役がディーゼル・マイルドハイブリッドになるというのは偶然であって、グローバルには欧州市場がメインターゲットと考えるのが妥当と思っているのではないでしょうか。
しかし、それは少々古い認識と言わざるを得ません。欧州の自動車市場のトレンドにおいてディーゼルは過去のパワーユニットとなりつつあるからです。
筆者は市場トレンドは数字が示すと考えていますが、欧州市場については現地に本拠を置く調査会社JATOのデータを見るのがもっとも信頼できるとも考えています。
では、ガソリン/ディーゼル/プラグイン(EVとPHEV)と3つのカテゴリーに分けて、直近3年のシェアを見てみることにしましょう。定点観測的に毎年4月のデータを並べると以下の通りです。
2020年4月:ガソリン58%/ディーゼル31%/プラグイン11%
2021年4月:ガソリン59%/ディーゼル24%/プラグイン15%
2022年4月:ガソリン59%/ディーゼル19%/プラグイン19%
それぞれ小数点以下を切っているため合計で100%にならない年もありますが、トレンドとしてガソリン車のシェアは変わっておらず、プラグイン車のシェア拡大分だけ単純にディーゼルが減っている状況がひと目で理解できるはずです。
余談ですが、プラグインよりもガソリンハイブリッドに注力しているトヨタの判断は、欧州のトレンド的にいえば現時点では正解といえることも、この数字からはわかります。
欧州では軽油はガソリンよりも高価な燃料
欧州ではディーゼル離れともいえる流れが加速しているのは間違いありません。その背景には、欧州各国ではガソリンより軽油のほうが高価な燃料であることが影響しているでしょう。日本のように軽油が税制的に優遇されているわけではなく、燃費性能まで含めて計算するとディーゼルのほうがランニングコストが抑えられるという理由でディーゼルブームとなっていた部分があります。
参考までにイギリスの燃料平均価格は以下となっています。
ガソリン:311.2円/ℓ(2.176€/ℓ)
軽油:324.6円/ℓ(2.270€/ℓ)
いまや、補助金も含めてコストでの優位性ではプラグイン車が上回ってしまっている状況があれば、ソロバンを弾いてディーゼルを選んでいたようなユーザーがプラグイン車に流れるのは自明です。
つまりマツダCX-60のディーゼルエンジン搭載車は欧州においてど真ん中に位置できるパワートレインになるとは考えづらいのです。
逆に軽油が安く、ランニングコストメリットを実感しやすい日本市場はディーゼル推しになるというのは販売方針としては当然の判断といえるでしょう。日本ではディーゼル・マイルドハイブリッド仕様を先行してローンチするというのは、意外でもなんでもありません。
現状では電気自動車に対して補助金のメリットが感じづらいプラグインハイブリッドについては、割高感があるのも事実です。日本でのローンチにおいて、ディーゼル推しなのは新しいモデルのブランディングとしては正解とべきでしょうし、他ブランドとの差別化という点でも有効な判断といえそうです。
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