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PHEVってホントにエコなの? 燃費・CO2排出量に「疑問」の声 EUで規制強化も

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PHEVってホントにエコなの? 燃費・CO2排出量に「疑問」の声 EUで規制強化も

WLTPは非現実的? 試験手順強化を検討

プラグイン・ハイブリッド車(PHEV)の燃費について、欧州でメーカーが公表しているWLTPサイクルの数値と実燃費のミスマッチが発生し、EU当局が燃費試験手順を厳格化しようとしている。電動化促進で注目を集めているPHEVだが、厳しい目で見られるようになってきた。

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EUと英国は2020年1月から、より正確なCO2排出量を算出できるよう、すべての新車で燃費データ(電力使用量も含む)を測定・保存し、当局が検査できるようにすることを義務付けた。実際の状況と試験結果を照らし合わせるためだ。

PHEVは、バッテリーとエンジンを組み合わせることで、多くの場合でCO2排出量を50g/km以下に抑えられ、従来のハイブリッド車を大きく下回るとされている。その結果、さまざまな税制上の優遇措置が受けられるようになり、例えば英国では現物給付税の割引が最も手厚くなっている。

しかし、最近の調査では、PHEVの試験手順が現実からかけ離れており、実は「間違った技術」を奨励しているのではないかという疑問が投げかけられている。

これは、昨年12月に環境シンクタンクの国際クリーン交通委員会(ICCT)が発表した調査結果に基づくものだ。ICCTは、2020年モデルのBMW X1 xドライブ25eで「代表的」な試験を行い、現行のWLPTテストサイクルのどこが間違っているのかを調べた。

その結果、試験時の周囲温度23度(摂氏)というのは、あまりにも余裕のある設定であることが判明。X1 xドライブ25eの公式CO2排出量は43g/kmだが、例えばマイナス5度の低温環境では、バッテリーを主に使用する走行モードでも94g/kmと大きく上昇した。さらにバッテリー残量を維持するモードでの走行を加えると、充電のためにエンジンの稼働が増え、122g/kmに近くなるはずだという。また、エンジンを積極的に稼働し、バッテリー残量を増やす充電モードについては、CO2排出量を246g/kmまで増加させるとして厳しく批判している。

メーカーにとっては「頼りの綱」だが……

こうした主張がEUに対する圧力となっている。2月のロイター通信の報道によると、EUは2025年からPHEVの試験手順を変更する計画について「議論」しているという。

すでに2023年6月1日までに、PHEVを含むすべての自動車から収集したデータの評価を行うことになっている(英国もこれに倣っている)。万が一、排出ガスデータに過度の抜けがあると判断した場合(ほぼ確実にそうなるだろう)、EUは2027年に「2030年時点でのメーカー平均CO2排出量を調整する仕組み」を導入する予定である。

つまり、PHEVが排出量削減のための有用なツールではなくなるのだ。PHEVは自動車メーカー、特に高級車ブランドにとって、平均CO2排出量を抑えるために非常に重要な製品になっている。

英国の業界団体、自動車製造販売協会(SMMT)の統計によると、昨年、英国で最も売れたPHEVの上位10車種のうち8車種がBMWやメルセデス・ベンツなどの高級車ブランド製であった。また、フォードも排出量削減でPHEVに大きく依存している。

英国フォードの責任者であるリサ・ブランキンは、3月23日に開催されたSMMTのカンファレンスで、同社の主力クロスオーバー車のクーガPHEVについて「リスクなく電動化できる方法」と主張。路上ではメーカーの意図したとおりに製品が使用されており、「大半の人は仕組み上、ほとんどバッテリーで走っている」と語った。

PHEVは、突然の法改正に驚くほど弱い。例えばノルウェーでは、1月1日から税制優遇措置が撤廃されたことを受けて、今年1~2月の売上が2021年の同時期と比較して78%激減した。一方で、バッテリーEVのシェアは50%から80%に上昇している。

英国でも、PHEVの税制優遇措置が縮小している。例えば、2018年には購入補助金が打ち切られたほか、2021年10月25日からロンドンの超低排出ガス地帯(ULEZ)に無料で入る資格が失われた。

消費者には「現実的」な選択肢

自動車メーカーは、意図した通りに適切に充電・運転されれば、排出量削減の有用なツールになることを当局に証明しようとしている。すでに多額の税金を節約している場合は、そうもいかないのだが。

シトロエンのヴァンサン・コベCEOは、新型C5 Xの発表会において、「当社は累計2億kmの実績に基づいて、燃費と、充電する人の数に影響を与えるものを知っている」と語った。それは、充電ケーブルを取り出せというリマインダーだという。「充電の頻度が低ければ低いほど、リマインダーの頻度が高くなる」とのことだ。

一方、BMWは、2020年に運用を開始した英国市街地における「eドライブ・ゾーン」の数を13に拡大した。これは、ユーザーにBMWと連携した充電ステーションで利用できるポイントを付与することで、都市中心部でのバッテリー使用率と充電量を増やし、大気環境の改善を促すものだ。

また、自動車メーカー各社はPHEVの搭載バッテーリーを大型化し、電気のみの航続距離を伸ばしている。例えば、新型レンジローバーのPHEV仕様は電気のみで113km走行可能で、税制面でのメリットも大きい。

だが、PHEVにまとわりつくデメリットはこれまでと同じ。ICCTによると、2020年に販売されたPHEVの車両重量は平均1921kgと、バッテリーEVの1686kg、内燃エンジン車の1457kgに比べて大幅に重い(大型SUVがPHEVに多いことも一因であるが)。

また、バッテリーのパッケージングにより、トランクルームのスペースが失われるのが一般的だ。しかし、多くの消費者にとっては、PHEVは節税と実用的な航続距離を確保するための「唯一の現実的解決策」なのである。

EU当局の支持を得られるかどうかは、ユーザーがいかに質素な運転をするかということにもかかっている。もし、ごく一部の人でも充電器によるバッテリー補充をしなかった場合、燃料使用量の増加が記録され、罰則によってPHEV市場が早々に衰退する可能性がある。

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みんなのコメント

25件
  • PHEVの燃費計測については、やはり日本方式の方が消費者には優しい。
    電気で走ればどうか、燃料で走ればどうか、別々に書かれた方が、実際の使い方に即して性能がわかる。

    EUの優遇策の、謎の計算式で「1Lで100km走れます」ってカタログに書かれたら、中には信じる奴が出てきちゃうし、何より、車重増加による本当の燃費の悪化が隠蔽されてしまって、効率追求されないのは良くない。
  • 面白そう。フォローしてほしい。
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