VWグループで最多売EVのID.4 航続は最長545km
フォルクスワーゲンのバッテリーEV、ID.シリーズの中で、最も重要なポジションにあるのが「4」だ。フォルクスワーゲン・グループ全体で見ても、1番多く売れている電動モデルとなっている。
【画像】シンプルで親しみやすい フォルクスワーゲンID.4 選ぶなら?近似サイズの電動SUVたち 全177枚
ID.4の寸法は、全長4584mm、全幅1852mm、全高1634mmで、人気のフォルクスワーゲン・ティグアンと大きくは違わない。クーペ風シルエットで僅かに全長が伸ばされた、兄弟モデルのID.5と合わせると、2024年に約18万2000台がラインオフした。
登場は2021年だが、このクラスの競争は厳しさを増している。韓国勢のキアとヒョンデが台頭し、欧州ではステランティス・グループのプジョーやオペル、北米からはテスラが、競争力の高いライバルを投入している。
フォルクスワーゲンも静観することなく、ID.4はアップデート。駆動用バッテリーの容量は52kWhと77kWhの2種類から選べるようになっている。航続距離は、前者で最長355km、後者では最長545kmが主張される。
駆動用モーターは、サルーンのID.7から導入の始まった新ユニットへ更新。ソフトウエアも、同じタイミングでアップデート済みだ。
そのAP550ユニットは、従来のモーターより遥かに強力で、後輪駆動のID.4 ピュアは169ps、ID.4 プロ・パフォーマンスでは286psを発揮。ツインモーターで四輪駆動のID.4 プロ 4モーションでは290ps、ID.4 GTXでは339psに達する。
他のID.で既視感ある内装 練られたパッケージング
スタイリングは、ID.シリーズらしく緩やかにカーブした親しみやすいもの。プラットフォームはMEBで、ID.3よりホイールベースとトレッドが拡大されている。
インテリアも、他のID.での既視感がある。ダッシュボードの形状はフォルクスワーゲン・ゴルフに似ているものの、デザインはミニマリスティック。実際に押せるハードスイッチは、殆ど見当たらない。
ステアリングホイールは、スポーク部分にクルーズコントロールやオーディオなどを操作できる、タッチセンサーが備わる。反応が悪く、誤って触れてしまうことも多いが。
インフォテインメント・システムは最新版。直感的に一新したわけではないが、大幅に安定性は増している。温度調整などを行うタッチセンサーのスライダーには、イルミネーションが内蔵された。
内装の素材は、全体的に納得できるもの。シートは座り心地が良く、ドアパネルのデザインは有機的。従来のフォルクスワーゲンとは、異なる雰囲気が醸し出されている。
ダッシュボードには、IDライトと呼ばれる、光と色を用いたインターフェースを実装。カーナビの方角や駆動用バッテリーの充電状態など、多くの情報を点灯パターンで教えてくれる。
人間工学は良好。フロントガラス下端が低く、前方視界が広く、居心地は良い。シフトセレクターは、メーターパネル横からステアリングコラム側へ移動した。
後席側は広々で、パッケージングが入念に練られたことは明らか。荷室容量は543Lあり、同クラスでは有利な側にある。
充分にパワフルでスムーズ 直感的な操縦性
走りの第一印象は、充分にパワフルでスムーズ。169psのエントリーグレードでも、0-100km/h加速は9.0秒で処理し、迅速とまではいえないものの、市街地で遅さを感じることはない。
英国の場合、主力となるのは286psの駆動用モーターと77kWhのバッテリーが組み合わされた方だろう。こちらは、ゴルフ GTIと同等のダッシュ力を披露する。いずれにしても、駆動用モーターのパワーは調整しやすく、快適な移動を叶えている。
回生ブレーキの効きは、2種類から選択可能。ブレーキペダルを踏まずに済む、ワンペダルドライブには対応していない。
操縦性は非常に直感的。可変レートのステアリングにはダイレクト感があり、軽く操れ正確性が高い。姿勢制御はフラット。調子に乗ってカーブへ突っ込むと、重心位置は低いものの、背の高いボディであることを実感するが。
トラクションに優れ、軽快な身のこなしも叶えている。車重は軽くなく、連続するカーブを活発に走らせると、グリップ力が最終的に追いつかなくなる。それでも、スタビリティ・コントロールが介入する領域は、かなりの速度域に到達してからだ。
シングルモーター版は後輪駆動で、運転する楽しさを特に感じる。これで手のひらへ伝わる情報量が多ければ、魅力的な運転体験になることだろう。
殆どの路面で滑らかな乗り心地 充実装備
小回りは良く利き、最小回転直径はひと回り小さいコンパクトカー並みの10.2m。市街地での取り回しに効果的なだけでなく、機敏な回頭性にも繋がっている。
乗り心地は全体的に滑らか。20インチという大きなアルミホイールを履いていても、殆どの路面を巧みに処理し、落ち着きを失うことはない。ダンパーは通常のパッシブ仕様だが、アダプティブダンパーはオプションで利用可能。予算が許すなら、選びたい。
今回のアップデートでは、そのアダプティブダンパーが組まれるダイナミック・シャシー・コントロールも改良を受けた。ソフトウエアが書き換えられ、センサーが追加され、一層優れた乗り心地が追求されている。
ID.4の英国価格は、約4万ポンド(約780万円)から。ライバルより僅かに安く設定されつつ、シートヒーターにバックカメラ、ワイヤレスでのスマートフォン連携など、装備は充実している。通常の急速充電は、110kWまでだ。
ID.4 プロ・パフォーマンスは約4万5000ポンド(約878万円)へ上昇するが、オートワイパーにパワーテールゲート、LEDマトリックス・ヘッドライト、175kWの高速充電などが盛り込まれる。こちらが、スイートスポットといえるだろう。
現実的な航続距離は、77kWhの後輪駆動で385kmから435kmといったところ。現在のこのクラスのバッテリーEVへ期待される能力といって良い。
見た目通りシンプルで親しみやすい運転体験
見た目通り、シンプルで親しみやすい運転体験を与える、ID.4。日常生活へすんなり馴染むような印象は、多くの人が気に入るものだといえる。優しい乗り心地や、テスラより扱いやすい車内デザインも好ましい。
ドライバーとの一体感は強くないものの、走りには冷淡ではない、特有の個性も感じられる。一貫性の高いレスポンスとパフォーマンスには、フォルクスワーゲンらしい熟成感が滲む。細部にまで拘られた、デザインにも。
◯:実用的な車内 市街地では抜群に扱いやすい 充分に速い
△:航続距離は目立つ数字ではない 薄味な運転体験 実際に押せるハードボタンがもっと欲しい
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