90年代に巻き起こったクロカン(クロスカントリー)ブームはいつの間にやら終焉を迎え、今や、SUVやミニバンが台頭し、クロカンというカテゴリーは影のうす~い存在に……。
しかし! どんな悪路も難なく突き進み、市街地でもスポーツカー顔負けの力強い走りを見せてくれる。そんなマルチで骨太なクロカンの魅力は捨てがたい。ランクルが超ロケットスタートを切ったことからも、まだまだ潜在的なクロカン好きは多いはず。今回は、逆境にもめげることなく頑張っているクロカンをピックアップ。その魅力を改めて考えてみたい。
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文/藤原鉄二、写真/スズキ、トヨタ、Jeep(FCA)、ジャガー・ランドローバー・ジャパン、メルセデスベンツ、FavCars.com
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クロカンとSUVの違いは?
岩などに接触してボディや足回りが破損したとしても、破損個所を載せかえれば問題なし。この堅牢さがクロカンの魅力
本来は、街乗りも考慮されているSUVとは異なり、クロスカントリー車はあくまでもオフロード走行のために設計されたクルマ。
なかでもクロカンの必須条件は、ラダーフレームと言われている。ラダーフレームとは、ハシゴのような形状を持ったフレームにエンジンやサスペンションなどを取り付け、その上に車体を載せる構造だ。とてもシンプルなしくみで、もともとはすべてのクルマがラダーフレームを採用していた。
ラダーフレームのデメリットは、ボディ、フレーム、駆動系シャシーが別々のために構成部品が多く、生産工程も増えることから、生産コストがかかるという点だ。
そのいっぽうで、ボディが損傷しても、フレーム自体に問題がなければ、ボディのみを交換すれば走行ができる。極端な話、足まわりを損傷しても、床に穴が空いたとしてもフレームさえ無事ならば損傷した部分のみを交換すれば走行できるのだ。この堅牢さが大きなメリットだ。それゆえ、いまだダカールラリーなどのタフなシーンでのラダーフレームの使用率は高い。
しかし、近年ではラダーフレームを採用する量産車はごくわずかとなっていて、ほとんどはモノコックフレームを採用している。
ちなみに、モノコックフレームとは、独立したフレームを持たず、シャシーとボディが一体化した構造。軽量さと剛性を両立できる、フレーム全体で衝突時の衝突を吸収できるといったメリットを持つ。ただし、どこかに強い衝撃が加わるとボディ全体に歪みが生じる可能性が高いというデメリットがある。
クロカンではいまだディーゼルエンジンが人気のワケ
ランドクルーザーは今回のフルモデルチェンジでディーゼルエンジンを復活させた。強大なトルクと高い環境性能とを両立させたクリーンなディーゼルエンジンに注目が集まる
オフロードでは、スピードよりも悪路を力強く突き進めるパワーが重視される。そこで重視されるのがトルクのあるディーゼルエンジン。ディーゼルエンジンはガソリンエンジンよりも低回転から強いトルクを発生させることが可能なため、低速でもラクに悪路を走破することが可能となる。
こうした理由から、昔からのクロカン好きの間では圧倒的にディーゼルエンジンの人気が高い。
ディーゼルエンジンと言われると、この脱炭素の時代に! と目くじらをたてる人も多いかもしれないが、近年では、低燃費・低排出ガスのクリーンディーゼルエンジンが開発され、搭載しているクルマも増えているため、以前ほど、ディーゼルエンジン=悪というイメージは払拭されている。
ここからは、絶滅危惧種と言われるなかで奮闘する、いま新車で購入できる国産クロカンの魅力を探っていこう。
スズキ・ジムニー&ジムニーシエラ(2018年7月~)
コンパクト4WDの市場を牽引してきたジムニー。日々の生活からレジャー用途まで幅広く活躍している
軽自動車では唯一の本格的なクロカンであるジムニー。1970年に、当時としては軽自動車で唯一の四輪駆動車として誕生した。クロカンブームの時には、パジェロミニに押され、陰が薄くなってしまったものの、逆境にめげることなくおよそ半世紀に渡り踏ん張り続け、いまだその血統を絶やすことなく生産が続けられている。
ジムニーの息の長い人気の秘密は、取り回しが良く、オフロードのみならず街乗りでも不便を感じることがない、オールラウンドな実力を発揮してくれるところだろう。
そして、2018年7月5日になんと20年ぶりのフルモデルチェンジを迎えた。ランクル然り、このモデルチェンジサイクルの長さもクロカンの魅力と言えるだろう。
パワーユニットは専用チューニングが施された直列3気筒インタークーラーターボDOHC12バルブエンジンを採用。最高出力64ps、最大トルク9.8kgmを発揮する。
もういっぽうのジムニーシエラは、新開発の1.5リッターの直列4気筒DOHC16バルブエンジンを搭載。最高出力102ps、最大トルク13.3kgmと、ジムニーを上回るパワー持つ。
ボディサイズもジムニーが全長×全幅×全高=3395mm×1475mm×1725mmに対して、シエラは全長×全幅×全高=3550mm×1645mm×1730mmと、若干サイズアップしている。
両車とも新開発ラダーフレームを採用し、X(エックス)メンバーと前後にクロスメンバーを加えたことで、ねじり剛性を約1.5倍(先代モデル比)向上。堅牢さに一段と磨きがかかった。
さらに、車体とラダーフレームをつなぐボディマウントゴムを新設計することで、乗り心地の改善と操縦安定性を向上させている。
他に、スズキの予防安全技術「スズキ セーフティ サポート」を搭載するなど、安全装備も充実させている。
ランドクルーザー 300系(2020年8月~)
ラダーフレームは重くなるという問題があったが、今回のランクルはその問題をクリア。200kgもの軽量化を果たした
2021年6月、14年ぶりのフルモデルチェンジを発表、8月の発売を待たずして受注殺到! 現在は納期は4年とも5年とも言われる状況となっている、トヨタのフラッグシップモデルのひとつであるランクル。
今回は、伝統のラダーフレームを刷新。最新の溶接技術の活用などにより、従来型と比較して剛性が20%アップしたと同時に、衝突安全性能、静粛性も向上。加えて、フレームの軽量化とボディの一部をアルミニウムとすることで、約200kgもの軽量化にも成功している。
パワートレーンの搭載位置を車両後方に70mm、下方に28mm移動することで、大幅な低重心化や前後重量配分も改善され、操作性も向上させている。
パワーユニットは、3.5リッターV6ツインターボ ガソリンエンジンと3.3リッターV6ツインターボ ディーゼルエンジンの2タイプを用意。最大トルクが、ガソリンエンジンは66.3kgmに対し、ディーゼルエンジンは71.4kgmと、その差は小さく、ガソリン車でも低速域からディーゼル車と遜色のない力強い走りを見せてくれる。
プラットフォームの刷新に伴い、サスペンションも新開発。さらに、ショックアブソーバーの減衰力を4輪独立で制御するリニアソレノイドタイプのAVS(Adaptive Variable Suspension)を採用することで操縦安定性と乗り心地を両立。
他にも、低速時の取り回しを向上させると同時に悪路走行時のキックバックを低減する操舵アクチュエーター付きパワーステアリング、ブレーキペダルの操作量をセンサーで検出して最適かつリニアな制動力を得られる電子制御ブレーキシステム、リアタイヤのトラクション性能を確保するトルセンLSDを採用するなど、挙げればキリがないほどの進化を遂げている。
ランドクルーザープラド(2009年9月~)
2009年9月にフルモデルチェンジを果たした。先代は約7年と、クロカンとしては比較的短命だったが、4代目はすでに12年を経過していまだ現役!
ランドクルーザーシリーズのうち、ライトデューティ系クロカンという位置づけで誕生したのがプラドだ。最後のフルモデルチェンジは2009年9月。その後マイナーチェンジは実施されているものの、今のところフルモデルチェンジをされることなく、4代目が長期に渡り販売されている。
以前は、同じようなスタンスのクロカンとしてハイラックスの派生車種であるハイラックスサーフが存在していたが、プラドの2009年のフルモデルチェンジとともに姿を消した。
ちなみに、ピックアップトラックのハイラックスは2017年9月のプラドのマイナーチェンジと同時に13年ぶりに日本市場に復活を果たしている。
伝統のラダーフレーム構造をベースに強度と剛性を向上させることで高い堅牢性と耐久性を確保。オン・オフともに優れた操縦性、走行安定性、乗り心地、衝突安全性を見せてくれる。
パワーユニットは、ガソリン車は最高出力163ps、最大トルク25.1kgmを発生する2.7リッター直列4気筒DOHCエンジンを搭載。ディーゼル車は最高出力204ps、最大トルク51.0kgmを発生する2.8リッター直列4気筒 直噴DOHCディーゼルターボエンジンを搭載。このエンジンは、2015年の一部改良時に登場したもので、国内初の新開発クリーンディーゼルエンジンだ。
ちなみに、日本でランドクルーザーシリーズにディーゼルエンジンが復活するのはおよそ8年ぶりということで話題となった。
また、ライトデューティらしく、街乗りでの快適性も重視された設計が施されている点も見逃せない。セカンドシートは4:2:4分割可倒式、サードシートは5:5分割可倒式とするなど、多彩なシートアレンジが可能に。可変流量パワーステアリングの採用により、取り回しの良さも向上。街乗りしやすいクロカンに仕上げられている。
クロカンの無骨なイメージを払拭するような、最新の安全装備も充実。先進安全運転支援システムについても、衝突被害軽減自動ブレーキ「プリクラッシュセーフティーシステム」や前走車を追従する「レーダークルーズコントロール」も搭載されている。
長いモデルチェンジサイクルの途中で先進技術を取り入れつつ進化を続けるクロカン。もはや、国産クロカンは数えるほどになってしまったが、実は、コスパがもっとも高いカテゴリーと言えるのではないだろうか? 次の一台を検討する際には、クロカンも視野に入れてみてほしい!
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みんなのコメント
動画に傷だらけ泥だらけになって、悪路を走ってる動画をよく見る。
しかし、ランクルには、そのイメージがないなぁ。
都会を走るピカピカのデカイ高級車って感じ。