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ジープ・ラングラー・ルビコン 392へ試乗 6.4Lヘミユニットで476ps ブロンコに対抗

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ジープ・ラングラー・ルビコン 392へ試乗 6.4Lヘミユニットで476ps ブロンコに対抗

フォード・ブロンコにV8エンジンで対抗

電動化技術の採用に拍車がかかる2021年、ジープはV8エンジンを搭載したラングラーを投入した。遡れば、40年ほど前のCJ型以来、ジープでV8は選べなかった。

<span>【画像】ジープ・ラングラーとフォード・ブロンコ 競合するオフローダーと比べる 全124枚</span>

CO2削減に対する意識の高まりは、もちろん北米でも同じ。ジープも環境対策に取り組んでいないわけではない。4気筒エンジンに駆動用モーターを組み合わせた、プラグイン・ハイブリッド(PHEV)版のラングラーも販売している。

純EV版のラングラーも、間もなく姿を表す。これだけの努力をしているのだから、大排気量のV8エンジンを少しくらい載せても、バチは当たらないと考えたのかもしれない。あるいは、復活を遂げたフォード・ブロンコへの返答かもしれない。

2021年に小さくない話題を集めた新型フォード・ブロンコだが、ワイルドなボディに搭載するエンジンは、能力に長けた314psのV6。トリムグレードには、ビッグベンドやバッドランズといった、荒々しい名称が与えられている。

少なくとも新しいブロンコは、現代のラングラーが直面した最大のライバル。その戦いを有利にするべく、V8エンジンが投入されたと考えるのが、正しいだろう。

理由はともあれ、ラングラーのフラッグシップ、ルビコンに392が登場した。ちなみに392とは、北米で排気量を表すキュービック・インチでの容量。6.4Lに相当する。

恐らく大量販売をジープは狙っていないと思うが、アニメ・ヒーローのように圧倒的にタフなオフローダーという成り立ちへ、好感を持つ人は少なくないと思う。実際に試乗した印象も良かった。傑作だ。

悪路の走破性を高める即時的なレスポンス

6.4Lという巨大なV8エンジンは、ダッジ・チャレンジャー R/Tスキャットパックに搭載されるものと同じヘミユニット。自然吸気で、最高出力476ps、最大トルク64.8kg-mを発揮する。

そのサウンドは、欧州モデルに積まれるようなツインターボV8が発する滑らかで爽快なものとは異なり、ザラ付いていて古いアメリカ車を彷彿とさせる。迫力や興奮度は間違いなく満点。スポーツエグゾーストも選べる。

非常にたくましく、本気を出せば0-97km/h加速は5.0秒を切るという。ただし、オールテレーン・タイヤを履く都合で、最高速度は159km/hに制限される。

これまでの現行ラングラーが搭載していた直4ターボやV6自然吸気に対する、新しいV8の明確な強みは、悪路を低速で走行する場面での即時的なレスポンスにある。余裕のある大人のオモチャのようなクルマだが、走破性はシリアスだ。

トランスミッションは8速ATで、ルビコンとしてディファレンシャル・ロックを装備。フロント側のアンチロールバーをサスペンションから切り離す機能も付き、タイヤが上下に動く範囲を拡大することもできる。

英国の窮屈な道を運転していると、ステアリングホイールを一気に回して生け垣をなぎ倒し、草地を全開で駆け抜けたいという欲求に駆られてしまう。V8エンジンとタイヤからのノイズが、泥や草と戯れたいといういたずら心をくすぐる。

オンロードでの運転も想像以上に安楽

通常のルビコンとの見た目の明確な違いは、車高が2インチ、50mmほど高いこと。クルマに近づくと、巨岩のように大きい。392用の大径タイヤと、フォックス社製ダンパーが組まれているためだ。

ロードクリアランスが増えたおかげで、フロント・オーバーハング側のアプローチ、ホイールベース部のブレークオーバー、リア・オーバーハング側のデパーチャーという、傾斜地でボディを擦らない角度も向上。既に優秀だった走破性を、一層高めている。

後ろ側へ回ると、実務的なマフラーカッターが4本も並ぶ。ボンネット上部のエアインテークや、各所に配された392のロゴとともに、通常のラングラーと一線を画すことを主張するようだ。

ルーフは電動でスライド可能なキャンバス仕様。脱着できる4枚のドアを取り払えば、マッドマックスの世界に紛れ込んだような体験にも浸れる。

ルビコン 392は、圧倒されるほどワイルドなだけではない。最新のJL型ラングラーに通じる、高められた質感も失っていない点も特長といえる。

シャシーとボディが別体となった構造に、前後にリジッドアスクルが組まれたオフローダーだが、オンロードでの運転も想像以上にしやすい。ステアリングのレシオはスローながら、正確性は悪くない。

コーナーでは過度にボディロールすることもなく、乗り心地は充分にしなやか。8速ATは滑らかに変速してくれるだけでなく、変速タイミングも適正だった。

最も速く悪路に強いラングラー

ブロックのように切り立ったボディだから、高速域での風切り音は盛大。肉厚なタイヤの影響もあり、カーブの連続する区間ではアンダーステアも隠さない。接地面が変化し、ヒヤッとする場面もゼロではない。

しかし、ルビコン 392は紛うことなきオフローダー。オンロードも無難に走れることを、評価するべきだろう。無骨なオフローダーとしてジープのファンなら、ルビコン 392も気に入るはず。最も能力に長け最も速い、エクストリームなラングラーだ。

英国での価格はかなり張る。ルビコン 392は現状では英国に正規導入されておらず、クライブ・サットン社を通じてスウェーデン経由で輸入することになる。

左側通行のヘッドライトに交換され、英国での型式承認が可能な状態で、10万5000ポンド(約1596万円)を用意する必要があるという。4気筒のルビコンは5万2450ポンド(797万円)だから、ジープとしては高い。

とはいえ、ランドローバー・ディフェンダー110 V8の英国価格は、10万1000ポンド(約1535万円)だし、メルセデスAMG G63は16万2000ポンド(約2462万円)もする。桁外れ、というほどではないだろう。

ディフェンダーやGクラスのように豪華でもないし、オンロードを快適に飛ばせるわけでもない。だが、ジープ・ラングラー・ルビコン 392も、荒野を縦横無尽に楽しむことができる。欧州製のオフローダーとは明らかに異なる、ワイルドなスタイルで。

ジープ・ラングラー・ルビコン 392(欧州仕様)のスペック

価格:10万5000ポンド(約1596万円)
全長:4882mm(標準ラングラー)
全幅:1894mm(標準ラングラー)
全高:1848mm(標準ラングラー)
最高速度:159km/h
0-100km/h加速:4.7秒(予想)
燃費:−
CO2排出量:−
車両重量:2150kg(予想)
パワートレイン:V型8気筒6417cc自然吸気
使用燃料:ガソリン
最高出力:476ps/6000rpm
最大トルク:64.8kg-m/4300rpm
ギアボックス:8速オートマティック

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