アメ車好き以外のリスペクトを集めるリアルスポーツ
いまだにアメリカ車は「見た目がド派手なだけの直線番長」というイメージが根強いように思える。
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戦後間もないころに青春時代を過ごした世代では、物量の豊かさを象徴するアメリカ車に憧れて育った人も多いが、昭和中期以降に生まれた日本のクルマ好き諸兄は、アメリカ車をあまり高く評価していない人が多い。
その理由の一つとして挙げられるのは、アメリカ車にはピュアなスポーツカーと呼べるクルマが少ないからだろう。F1やWRCなど、国際規格のモータースポーツへの参戦が日欧メーカーほど積極的ではなく、あまり活躍が見られないのも、アメリカのスポーツモデルに対する評価がイマイチ芳しくない要因のひとつであると思われる。
アメリカ車が好きな人は、クルマそのものというよりアメリカの文化が好きで、アメリカの文化を楽しみ演出する一環としてアメリカ車に乗っている場合が多い。筆者はアメリカ車専門誌の編集部に在籍していたころにそれを実感した。
もちろん、アメリカ車の個性的なメカニズムや性能、乗り味に魅了されて乗っているという人も少なくないが、日本のクルマ好き界隈では少数派と言わざるを得ない。
しかし、そんなアメリカ車のなかにあって特別視されているのがコルベットだ。多くのアメリカ車をスルーする日欧スポーツカー好きの諸兄も、コルベットにだけは一目を置き、その性能や乗り味に強い関心を示している。
カマロやマスタングも長い歴史があり、高性能版が登場したりモータースポーツでも活躍したりしているが、基本はラグジュアリークーペであり、生粋のリアルスポーツカーとは言えない面がある。クライスラーのマッスルカーもまた然り。
アメリカ車で唯一長年にわたり大量生産されている2シータースポーツカーであるコルベットは、60年以上の歴史と伝統を持ち、ル・マン24時間レースでの勝利など、国際規格のモータースポーツでも輝かしい実績を残している。
プッシュロッド式の大排気量V8エンジンをフロントに積み、後輪を駆動。典型的なロングノーズ・ショートデッキのクルマ好きウケしやすいスタイルや、アウターパネルがFRP製であるなど、1953年にデビューした初代モデルからの伝統を7世代にわたって今もブレることなく継承。アメリカ車としては珍しく、昔からパワーよりもハンドリングやコーナリング性能を重視して開発され、常にモータースポーツの現場で性能が磨かれ続けたことも特筆ポイントだ。
コルベットがマッスルカーと呼ばれる、直線番長的なほかのアメリカンスポーツモデルとは一線を画す存在となったのは、1950年代にアメリカ国内で盛り上がったライトウエイトオープンスポーツカーへの憧れが背景にあった。
第2次世界大戦中に欧州戦線で戦ったアメリカ兵が、MGなど英国の小型軽量スポーツカーの楽しさを知ったのが契機となり、戦後アメリカ市場でライトウェイトスポーツカーの潜在需要が高まってコルベットが誕生。モーターショーに展示されたコンセプトモデルが大反響を受け、すぐに市販化された。
デビュー当初の初期モデルは、ブルーフレームと呼ばれる3.8リッターの直列6気筒を搭載。アメリカ車としては小型軽量なスポーツカーだったが、エンジンパワーは150馬力、ミッションは既存モデルから流用した2速ATのみであるなど、スポーツカーとしてのパフォーマンスは低く、期待外れと市場をガッカリさせている。
学生時代からレースに没頭していたダントフ氏は、4.3リッターV8エンジンや3速MTの搭載をはじめ、シャシーのセッティングも抜本的に改良。ダントフ氏によってコルベットはスポーツカーらしいパフォーマンスを手に入れ人気も急上昇。性能の向上とともに販売台数は右肩上がりで上昇した。
V8エンジンの搭載は、本来目指した英国的ライトウェイトスポーツカーとは異なる路線に進んだと言えるが、結果的にそれが奏功。エンジン単体重量は最初に積んだ直6よりV8の方が20kgも軽く、エンジン全長も短いことから前後重量配分の適切化もはかられ、パワーだけでなくハンドリング面でも好影響をもたらした。
コルベットは初代モデルからモータースポーツに積極参戦している。コルベットSS(スーパースポーツ)や、スティングレイと呼ばれるレース専用モデルは、アメリカ国内レースでポルシェなどの欧州スポーツカーと互角以上に戦い、名実ともにリアルスポーツカーとしてのイメージを高めた。
フォード製のV8を積んだシェルビー・コブラや、サンダーバードなど国内ブランドのガチのライバル車とも激しく競いあったが、それらの国内ライバルはいずれも短命に終わったり、4シーター化されたりして路線変更。純粋なスポーツカーとして長年にわたり生きながらえたアメリカンスポーツはコルベットだけとなった。
2代目モデルへの移行時には、さらなる運動性能向上のためにミッドシップ化も検討されたが、すでに「コルベットといえばFR」とのイメージがファンの間で定着していたことを重視し、2代目以降も頑なにFRレイアウトを継承する。
3代目モデルで採用した「コークボトル」のグラマラスなボディラインも大成功となり、さらに人気が高まる。1973年のオイルショック後は環境対策でパワーダウンしたり、値段が高くなったりしたが、それでもなお販売台数を伸ばし続けた。
5代目コルベットはドリキン土屋圭市も絶賛!
初代から続く「欧州スポーツカーへの対抗心」は4代目モデルでさらに高まり、本格的に世界で通用するリアルスポーツカーを目指した。好評を博しながらも、いかにもアメリカ的で大味だったコークボトルのスタイルは飽きられるのも早かったことから、4代目では一転して空力重視のヨーロピアンデザインを採用。フレームをラダー式からモノコックに近いユニフレーム形状とし、ボディ剛性は飛躍的にアップ。ステアリングはクイックで高精度なラック&ピニオンとするなど、徹底的に操縦性を高めた。
その甲斐もあってトップスポーツグレードのZ51のハンドリングは世界的にも高く評価され、4代目から本格化した輸出も好調。日本にも正規輸入車が大量に導入され、今も愛好家が多い。
5代目モデルでも国際的なリアルスポーツカーとしての性能向上に主眼を置いて開発。日本では初期型のベースグレードの車両本体価格が530万円と4代目よりも大幅に安くなったこともあり、高い人気を博した。
5代目コルベットはドリキンこと土屋圭市氏も「C5(5代目)コルベットならどノーマルの状態で満足できる。アメ車史上最高」と高く評価している。
6代目モデルではついにポルシェやフェラーリなどの欧州リアルスポーツと互角以上の性能と評されるまでに至り、「欧州のトップスポーツモデルと性能は互角で価格は半値」というコスパの高さでも注目された。
現行型の7代目モデルは、欧州スポーツを意識しすぎて往年のファンからはコルベットらしさが薄れたと指摘されることもあるが、それでも大排気量OHVのV8を搭載するFR、ボディパネルはFRPであるなど、初代からの伝統を守りながら、世界最高レベルの走行性能を確保。
60年以上にわたり一貫してリアルスポーツ性能を追求し、レースでも戦い続けてきたことで名声を得たコルベットは「特別なクルマ」として世界中のクルマ好きからリスペクトされている。
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