ラリークロス界の老舗コンストラクターとして世界タイトル獲得経験も持つオルスバーグMSEは、2019年のWorldRX世界ラリークロス選手権への参戦を見合わせることを発表。2021年導入予定のフルEVラリークロス車両の開発作業と、その他のシリーズでの活動にリソースを集中することを決めた。
WorldRXには自社開発の『フォード・フィエスタRS RXスーパーカー』を投入し、加えて昨季まで北米を中心に開催されていたGRCグローバル・ラリークロス選手権ではレッドブルとのパートナーシップで『ホンダ・シビック・クーペ・タイプR』を走らせていた北欧のトップチームは、現在の内燃機関RXスーパーカーの開発コストが大きな負担になっていることを踏まえ、来季は世界選手権での活動を休止するとアナウンスした。
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エンジンからモーターへの技術レギュレーションの過渡期とはいえ、これで来季のWorldRXからはファクトリーチームのアウディスポーツ、プジョースポールに続きオルスバーグMSEも去る形となり、トップチームの撤退が続く非常事態となっている。
北欧はスウェーデンに拠点を置くオルスバーグMSEは、WorldRXの下位カテゴリーでもあるRX2用のワンメイク仕様フィエスタを引き続き製造・供給するほか、2019年はカスタマープログラムのサポートを継続。
FIAヨーロピアン・ラリークロス選手権を筆頭に、ARXアメリカ・ラリークロス選手権、ラリーXノルディック、RX2、そしてARX2のカスタマーに対しテクニカルサポートを提供する。
オルスバーグMSEのCEOであり、エースドライバーのケビン・エリクソンの父でもあるアンドレアス・エリクソンは「今日の決断は悲しいことではあるが、我々にとって現在のWorldRXでまともな競争力を維持しようと考えたとき、車両開発コストが高すぎることは明白だった」と、その活動休止理由を明かした。
「チームとしても長期的に未来を見据えて活動の内容を検討しなくてはならない。これまでオルスバーグMSEはラリークロス界の"真のコンストラクター"として、現在も世界中で活躍するRX車両を数多く製作してきた」とエリクソン代表。
「このスポーツに携わる全員が現行スーパーカー規定の安定性とコスト削減の領域に目を向ける必要がある。投資コストに見合うカテゴリーの形を模索し、これらのマシンが今後の10年も走り続けることが可能な環境を再構築する必要がある」
「技術規則にわずかばかりの制限を設ければ、開発コストの高騰は回避することが可能だと思う。それにより、現行の内燃機関RXスーパーカーはこの先何年も走り続け、シリーズの発展を支えることができると考えている」
そう語ると同時に、FIAが2021年に導入延期を発表したフル電動RXカーの将来性にも、もちろん期待している、と述べた。
「2021年の電動ラリークロスカーでのシリーズ開催には大いに期待を寄せている。これも未来の自動車市場とモータースポーツの形だと思うからね。もちろん我々もコミットすべく、来季はパートナーとしてともに戦ってくれるマニュファクチャラーとの協議や、その開発作業に全力を尽くそうと考えている」と、現行規定のコスト削減と同時並行で電動化の必要性を認めるエリクソン代表。
「電動選手権へのスイッチは将来的に不可避で、このスポーツにとって重要な転換点となるだろう。もちろん、そこでの活躍を夢見る世界中の若いドライバーたちにとってもね」
「私の仕事は、来るべき電動化の未来に向けチーム、パートナー、そしてドライバーたちの興味を引きつけ、カテゴリー発展のために全力を尽くすことだ。同時にオルスバーグMSEという比較的若い組織がこれまで達成してきたノウハウと、その重要性を認識することも必要だと考えている」
「関係者や熱心なファンの中には『EVのラリークロスなんてまるで興味がわかない』と、反対の声を上げる人が多いことも認識しているが、内燃機関とEVはお互いに役割を棲みわけ、ともに魅力的なカテゴリーとして並存することが可能だと思う。我々があらゆるジャンルの音楽を聴き、そのライブやコンサートを楽しんでいるようにね」
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