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中の上が「お買い得グレード」だったのは過去の話! いま新車は「最上級グレード」が1番人気となる理由

掲載 31
中の上が「お買い得グレード」だったのは過去の話! いま新車は「最上級グレード」が1番人気となる理由

 この記事をまとめると

■昭和や平成の時代には中間グレードに装備を充実させたお買い得グレードが存在した

「1番いいヤツもってきて」はちょっと待て! お金があっても「最上級グレード」がベストとは限らないクルマ4選

■平成後半から令和にかけては上級グレードが好まれて選ばれる傾向が目立っている

■「装備充実グレード」という表現がふさわしいのがいまどきの上級グレードとなっている

 昭和・平成時代には装備を充実させたお買い得グレードがあった

 昭和や平成前期あたりではまだまだ新車にも、“デラックス”、“GL”、“SE”といったような明確な装備格差のあった“グレード”が存在していた。そして、多くのモデルで量販グレードとなるのは、“お買い得グレード”ともいえる中間グレードであった。

 ただ、これはお買い得グレードが“ベストチョイス”であることを必ずしも意味していなかったのも確か。自分の予算で希望車種の最上級グレードが買えれば、それこそが“買い得な買い物”というのは当たり前。しかし、明確な“ヒエラルキー”がグレード構成において存在していたころはなかなか最上級グレードを買えないケースがほとんど。そこで“折衷案”として、最上級グレードとそれほど見劣りしない程度に装備が充実していた中間グレードにニーズが集中していたのである。

 昭和のころでも、トヨタ・クラウンならロイヤルサルーン、トヨタ・マークIIならグランデといった上級グレードが量販グレードとなっていた。“装備のバランスがよく買い得”として、マークIIでLGといった中間グレードを選ぶ人は少数であった。

 そして、平成後半から令和にかけては、明確な装備差によるグレード構成というものが絶滅したとはいわないが、明らかに最上級グレードや上級グレード(または相当仕様)が好まれて選ばれる傾向が目立ってきている。

 トヨタ・シエンタを例に説明しよう。シエンタには上級のZ、中間のG、廉価仕様のXがある。ただ、販売現場で聞くと圧倒的にZが選ばれていると聞く。

 ともにハイブリッドで7人乗りとなるZとGにディスプレイオーディオのサイズを10.5インチタイプ、さらに前後方ドライブレコーダーをオプション選択し、Zに標準となるワンタッチスイッチ付きパワースライドドアをGにオプション選択し、さらにサイドバイザーとフロアマットを選んで試算した。

 上位グレードでないと選べない装備があったり納期が伸びたり……

 すると、Gの支払総額は301万6961円となった。一方でZは316万1061円で、その差は約14万円となっている。ZにはBi-Beam LEDヘッドランプ+ストップランプ+ターン&バックアップランプ、LEDライン発光テールランプ&LEDストップランプ+ターン&バックアップランプ、停止保持機能ありレーダークルーズコントロール(Gは停止保持機能なし)、アダプティブハイビームシステム、ドライバー異常時対応システム、エレクトロシフトマチック、本革巻きステアリング、オプティトロンメーター、後席用サンシェード、運転席アームレストなどが専用装備となり、Gではオプションでも設定されていない。また、トヨタチームメイトアドバンストパーク+パーキングサポートブレーキ、パノラミックビューモニター+パーキングブレーキサポートはZのみにオプション設定されている。

 約14万円の価格差に対し、Zにのみ許された専用装備が多く、ヘッドライト形状も異なるので見た目の印象もけっこう違う。このあたりの損得勘定は個々の価値判断で異なるが、Gが必ずしも買い得グレードともいえないようにも見える。さらに、Gにワンタッチスイッチ付きパワースライドドアをオプション選択してZとともに60回均等払いで残価設定ローンを試算して比較してみると、月々の支払額の差はZが数千円高くなるだけとなった。2回目車検ぐらいのタイミングまでで、残価設定ローンを組んで購入するならば、ZとGの差というものはほとんどないようにも見える。

 さらに、シエンタだけの話となるが、Gは一部のメーカーオプション以外を選択すると、生産開始予定が2023年4月以降となっているのである。目立つところでは、ETCをメーカーオプションの2.0にすると、生産開始が2023年4月以降となるのだが、ETC2.0を選ぶと、前後方タイプのドライブレコーダーがセットになったメーカーオプションとなる。ETCはともかく、ドライブレコーダーはいまどきなら前後方につけたいし、メーカーオプションならば後付け感もなく選択したい人も多いだろうが、Gでこのオプションを選択すると、生産開始は2023年4月以降になってしまうのである。

 現状での情報によると、少し前までETC2.0を選ぶと納期は一気に1年先ぐらいまで遅延していたのだが、それが本稿執筆時点では2023年6月上旬以降になっているとのこと。Zは2023年4月以降生産開始というしばりがなく、ETC2.0を選ぶことができるので、このオプションを選択すると、Gのほうが納期はかかる可能性が高いともいえよう。

 一部車種とはいえ、現状の深刻な納期遅延の解消にはまだまだ時間がかかる。最近の傾向としては、メーカーオプションの少ない上級グレードの生産を優先させることが多い。シエンタもGでメーカーオプションがいっさいない状態ならば問題はそれほどないようだが、メーカーオプションを選ぶと、事実上納期が遅くなるようになっているのは、この傾向を反映しているように思える。

 あるセールススタッフは「Zでは購入予算がどうしても足りないお客様がGを選ぶことが多いですね」と語ってくれた。もちろん、「シンプルな装備でいい」としてGを選ぶお客もいるとのこと。

 令和の新車選びにあっては、“最上級グレード=装備過剰=割高”とも言い切れなくなっているのである。“最上級グレード”というよりは、“装備充実グレード”という表現がふさわしいのが、いまどきの上級グレードともいえよう。装備が多いことに不満を持つ人はまずいないだろうし、それこそ、買い得感が高く、上級グレードを購入して乗ることができれば“コスパの良い買い物”をしたことになるのではないだろうか。

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みんなのコメント

31件
  • コペンエクスプレイに乗っています。
    一番人気は最上級グレードのGRコペンなんだろうけど、
    気軽に乗れて注目度抜群のノーマルエクスプレイが私のベストチョイスですよ。
  • 残価設定ローンで買う人が増えたんだと思うよ。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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