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「F1とはチームメイトを殺す戦い」元レッドブル系F1ドライバー、デ・フリーズのわずか10戦での解雇も“妥当”と評価

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「F1とはチームメイトを殺す戦い」元レッドブル系F1ドライバー、デ・フリーズのわずか10戦での解雇も“妥当”と評価

 ハンガリーGPに先立ち、スクーデリア・アルファタウリはニック・デ・フリーズに代わってダニエル・リカルドを起用することを発表。これによりデ・フリーズは開幕からわずか10戦でF1シートを喪失することとなった。

 デ・フリーズは他カテゴリーでの経験が豊富なドライバーではあるものの、今年が初のF1フルシーズン。レッドブルのドライバー人事を司るヘルムート・マルコは「改善が見られない」として解雇に踏み切ったが、この残酷とも言える判断には批判の声も少なくない。

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 しかし、かつてその荒波に揉まれた実体験を持つハイメ・アルグエルスアリは、妥当な判断だと考えている。

 アルグエルスアリは、アルファタウリの前身であるトロロッソで2009年に当時最年少となる19歳でF1デビュー。2010年に3度、2011年に7度入賞を果たしたものの、同年限りでチームを追われることとなった。

 その後はフォーミュラEなどに参戦したものの、2015年に25歳という若さで一度引退。その後は“スクワイア”として音楽活動に勤しみ、しばらくモータースポーツから距離を取っていた。

 レッドブルやマルコと確執もあったアルグエルスアリだが、Sky Sports F1のポッドキャストに登場した際、デ・フリーズの解雇について「パフォーマンスを発揮できなければ当然のことだ」と語っている。

「(アルファタウリAT04が)グリッドで最遅のマシンというのも事実だけど、成長曲線を見る必要がある」とアルグエルスアリは言う。

「もし成長曲線に改善が見られなければ、チームにはドライバーをクビにする権利がある。少なくとも成長を示さなきゃいけないんだ」

「もちろん、彼が全力を発揮する上で与えられたレース数は非常に少ないし、ニックはもっと多くを引き出せたと思う。でも初戦から最後のレースまでに成長曲線に変化がなく、パフォーマンスが改善できなければ、彼らにはそうする権利があるんだ」

「結局のところ、F1とはチームメイトを殺す戦いなんだ。チームメイトは自分と同じツールを持っているからね」

「もちろん、僕の例を話すこともできる。それが僕の人生だからね。まずトロロッソにいた時の僕の目標は、チームメイトを打ち負かすことで、彼よりも多くのポイントを獲得してシーズンを終えることだった」

「それがチームに資金をもたらす唯一の方法だった。つまり、資金とは結果を出すことだ。チームメイトに勝ったら、残留する権利がある」

「F1では全員を相手に戦うことはできない。人々は僕らに『F1で勝て』と求めるけど、僕らは当時、(ミハエル)シューマッハーと(ニコ)ロズベルグのメルセデスや、ロータス/ルノー、フォースインディアには勝てなかった。彼らには僕らよりはるかに予算があったし、トロロッソよりも発展したチームだった」

「奇跡を求めることは不可能だけど、最大限の力を発揮することは可能なんだ」

「つまり、チームメイトを打ち負かして上手くやって、入賞できるはずないマシンでポイントを掴めば、そのドライバーは結果を出している、良い仕事をしているということなんだ」

 そしてアルグエルスアリは、レッドブル・ジュニア出身ではないセルジオ・ペレスがメインチームの1席に座っているという点を指摘して、既にレッドブルの育成プログラムが充分に機能していないと主張した。

「チェコ(ペレスの愛称)がレッドブル・レーシングでドライブしているという事実は、レッドブル・ジュニアがこれまでほど成功していないということを物語っている」とアルグエルスアリは続ける。

「レッドブルが僕らに話したこと、彼らがメディアのみんなに話していたこと、そしてプログラムの趣旨は、レッドブルがチャンピオンもしくは可能な限り最高のドライバーを育てるということ。トロロッソ、現在のアルファタウリでF1を経験させ、親チームのレッドブルに昇格させるんだ」

「しかし、レッドブル・レーシングのドライバーを見つけてくるために、他の場所を見る必要があるという事実は、論争となっているし筋が通らない。この意味が分かるかな」

「レッドブルは何年もの間、(若手ドライバーに)何百万ドルも費やしてきた。僕が言っているのは、莫大な金額だ。ジュニアカテゴリーでチャンピオンに育てて、F1に上げたら本当に小さなチャンスを与えて、良いマシンに当たるよう祈るんだ。そうでなければ、F1では何もできないからね」

「もし良いマシンを手にできなかったら、後方でチームメイトに勝つこと以外成果を見せられない。そして勝てるマシン、つまりレッドブル・レーシングに昇格できるチャンスを貰えるか、指をくわえて待つしかない。でも彼らが他の場所を見ているということはつまり……」

「もちろん、僕はチェコをとても尊敬している。彼とはF3や他のレースシリーズで共に走ったことがあるし、彼のことは本当によく知っている」

「そして彼の今の仕事がとても難しいことも分かっている。マックス(フェルスタッペン)は並外れた、現世界で最高のドライバーで、チームやマシンを熟知しているからね。チェコは大苦戦中で、彼はまた大きく改善してくるはずだ」

「とはいえ、ハッキリさせておく必要があるのは、チェコがジュニアチームにいなかったということだ。ヘルムート・マルコがドライバーをどう判断するかを考えれば、彼がジュニアチームにいたとしても1年も続かなかったはず。GP2(現FIA F2)やイギリスF3でのセカンドチャンスもなかっただろう……僕らはそういうことが分かるんだ」

「今、F1に新しいファンが沢山いるのは知っている。だけど、ドライバーがどこから来ているのか、レッドブルのジュニアチームがどのように機能しているのかという歴史も理解する必要がある」

文:motorsport.com 日本版 滑川 寛/Oleg Karpov
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  • 資金原理主義はF1チームの淘汰選考になってもいいかもしれないね。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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