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「しっとり」と「猛烈」の共存 BMW i5 M60 xドライブ 電動の旗艦が見せた幅広い守備範囲に脱帽

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「しっとり」と「猛烈」の共存 BMW i5 M60 xドライブ 電動の旗艦が見せた幅広い守備範囲に脱帽

8世代目の5、その旗艦はBEVに

昨年終盤にフルモデルチェンジを果たしたBMW5シリーズ。そのフラッグシップモデルであるi5 M60 xドライブに試乗できた。英国編集部が「電動のM5を期待するなら、少々肩透かし」と表現したモデルの、日本における印象はどうだろう?

【画像】BMW i5 M60 xドライブ 試乗の様子をみる 全44枚

今回の新型5シリーズの日本導入4モデルの顔ぶれは斬新だ。まずICEモデルは2L直4ガソリンMHEV、2駆の523iと、2L直4ディーゼルMHEV、4駆の523d xドライブの2台が用意される。

そう、5シリーズでありながら直列6気筒エンジン搭載モデルが導入されていないのだ。一方上位の2モデルはBEVとなっており、リア1モーターのi5 eドライブ40と今回試乗できた前後1モーターずつの4駆モデルとなるi5 M60 xドライブとなっている。

プラットフォームは現代BMWのM2から7シリーズまでを広くカバーするCLARの改良版であり、ICEとBEVの供用が可能になっている。その全長は5シリーズとして初めて5mを越えたが、見た目の印象は引き締まった感じがしてそこまで大きく見えない。

またフロア下にバッテリーを敷き詰めているにもかかわらず、ドアの下部やサイドシルに鋭いプレスラインが入っていることで厚みを意識させないことにも成功している。

BEVを匂わせるのはキドニーグリルの大半が艶っとした黒いパネルで覆われている部分、そして車格を考えれば“4本出し”でもおかしくない排気管がリアエンドに見られないことぐらいだろうか。

BEVらしさは希薄? でも加速は異次元

最初にバッテリー容量と走行可能距離をチェックするのは最近のお約束。すると97%、310kmと出ていた。

WLTCモードの一充電走行距離455kmと乖離があるのは珍しくないが、それでもヒーターの使用や、前に借りていた人が飛ばしていたからといった理由で2割減くらいに落ち着くことが多い。だとすると今回は短めかもしれない。

コクピットはフルデジタルだが、BEVらしさはそこまで強調されていない。先代から正常進化したスポーツセダンといった感じにまとめられているのである。

i5の特徴的な機能としてはステアリング裏のパドルが左側だけ付いていることで、それが10秒間のブーストスイッチになっている。一方回生を強めたければセンターコンソールのシフトレバーでDとB(バッテリー)モードを選ぶ必要がある。

走りはじめたとたんに上質さが伝わってきた。静かなのはもちろんだが、SUVでは到底まねのできない重心の低さ、そしてタイヤと足回りの一体感が感じられた。

街中をゆっくりと走らせたときの滑らかな動きはこれぞプレミアムサルーンといった感じ。それでいて、電脳リムジンのようなi7のゆったり感とは全く違い、ちゃんと4輪の存在を掌握できる精確でスポーティな感じが漲っている。

興味深いのは、i5の質感が少し前に試乗した523iと似ている点だった。プラットフォームを共有するだけあり、動力源が違っても全体的な味は共通なのである。それこそがICEのEクラスとBEVのEQEを各々専用プラットフォームで作ったメルセデスとは違う、BMWが表現したかった世界観なのだろう。

「しっとり」と「過激」が共存する5の頂点

一般道では5シリーズの旗艦らしい洗練された走りが印象的だったi5。首都高に合流するとシステム総計601psが炸裂した。

フル加速は自分でスロットルを踏んでいるにもかかわらず不意に背中を蹴られたような衝撃が走る。先代M5はエンジンが6000回転のときに600psに到達するが、i5は右足に力を込めた瞬間から601psが放出される感じなのだ。

そこでさらにブーストスイッチを入れるとメーター内のデザインが変わって10秒のカウントダウンがはじまり、ワープするような電子音が響き、加速に鋭さがプラスされる。

ドラッグレーサーがウィリーしてしまいそうな急進的な加速の最中でも、ボディが水平を保ったままというのも空恐ろしい。i5はリアのみエアサスなのだが、それがレベライザー的に働くだけでなく「アダプティブMサスペンションプロフェッショナル」が瞬時に姿勢を制御しているに違いない。

ただコーナリングに関しては操舵に対する追従性がそこまで高くない点が気になった。やはり2.36トンという車重を自在にコントロールするのは簡単ではないのだ。

英国編集部はその部分を「電動のM5とまではいかない」と判断したのだろう。そしてやはり、このサイズのセダンとしては走行距離が心許ないというのも残念な点といえる。

それでも「しっとり」と「過激」が共存するi5 M60 xドライブのキャラクターは唯一無二のもの。最新の超高性能セダンに乗りたければ、新型5シリーズの旗艦はその有力候補といえるだろう。

試乗車のスペック

価格:1560万円(税込 オプションなし)
全長×全幅×全高:5060×1900×1505mm
0-100km/h加速:3.8秒
駆動方式:4WD
車両重量:2360kg
電気モーター:交流同期電動機
システム最高出力:601ps
システム最大トルク:81.1kg-m
駆動用バッテリー:リチウムイオン電池
総電圧:399V
総電力量:83.9kWh
タイヤサイズ:245/40R20(フロント)275/35R20(リア)

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