3代目へと進化したヒュンダイ製コンパクト
text:James Attwood(ジェームス・アトウッド)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)
ヒュンダイi10は存亡が危ぶまれていた。ガソリンエンジンのシティカーは、低い利益率に高い環境規制、消費者の思考変化に伴い、大きな変化が求められている。
そんな逆境に逆らうように、新しいヒュンダイi10が登場した。新鮮な見た目と、活発な走りを得ている。誰が想像しただろうか。
3代目へと進化したヒュンダイi10だが、真新しいボディデザインが象徴するのように、抜本的に再設計されている。全体的なスタイリングは先代からの流れを感じさせるが、近年のヒュンダイのデザイン言語に則り、フロントグリルは大型化。
以前のi10から感じられた、実用的でも退屈なクルマ、というイメージから大分遠のいた。むしろドラマチックなデザインに思える。
ボディサイズにはさほど大きな変化はない。全長は2代目から5mm増えて3670mm。全幅は20mm広がり、ホイールベースは40mm伸びている。わずかな成長だが車内空間にゆとりを与え、運動性能の安定性を高めている。
搭載されるエンジンは、先代からキャリーオーバーとなる2種類のガソリンエンジン。67psの1.0L直列3気筒と、84psの1.2L直列4気筒ユニットだ。更にスポーティな仕様として、1.0Lターボを搭載するNラインが続く。
どちらのエンジンでも、トランスミッションは5速MTかATかを選択できる。フォルクスワーゲンUp!やセアト・ミーなど優勢なライバルモデルと異なり、ヒュンダイは純EV版の計画はないという。
車内空間は充分 安全装備は充実
サスペンションはフロントがマクファーソンストラット式で、リアがトーションビーム式と、コンベンショナルな構成。ホイールはエントリーグレードの14インチから、トップグレードの16インチまでが用意される。
i10のインテリアも一歩前進。インテリアのデザインやレイアウトはしっかり練られており、シートは快適で空間にも不足はない。後部座席でも足元空間は充分にある。流石に大人3名がリアシートに座ろうとすると、お互いに身をかがめ合う必要はあるけれど。
荷室容量は252L。このクラスの中では、広い方だといって良い。
下位グレード以外は標準装備となる、8インチのタッチモニターを含めたダッシュボードのデザインは現代的な印象。全体的なまとまりも良好だといえる。リアビューカメラも、中級グレード以上で標準装備となる。
今回試乗したトップグレードのプレミアムの場合、ステアリングとフロントシートにはヒーターも内蔵。1000ポンド(14万円)のオプションとなるテック・パックを選ぶと、ワイヤレス・スマートフォン充電機能や、ナビのリアルタイム渋滞情報が追加となる。
i10で注目といえるのが、このクラスとしては珍しく、すべてのグレードでユーロNCAPに準じた安全装備を標準で搭載していること。2021年以降に欧州で発売される新車には、装着が義務付けられるから、先を見越してのことだろう。
これには、衝突被害軽減ブレーキや車線維持支援システムが含まれる。
シティカーに期待する軽快なハンドリング
活気を感じられるi10のボディデザインだが、そのイメージは走りにも反映している。ハンドリングは、初代i10にも備えていた活発な雰囲気を取り戻した印象。しかも、新世代としての熟成された落ち着きも獲得している。
ステアリングの操舵感は適度に重く、レスポンシブなハンドリングを楽しむことができる。これは、小さく軽快なシティカーに期待するドライバーも多いはず。
しかも落ち着きがなかったり、神経質ということもない。ゆったりとした運転席に座って走らせていると、不安感がとても少ないことがわかる。このクラスの中では珍しい。
今回は1.0Lと1.2Lの両方のエンジンを試乗できた。ヒュンダイは1.0Lユニットの方が英国では売れ筋になると考えているから、1.0Lの印象を先に触れよう。
最高出力はわずか67psということもあり、スポーティさを感じることは難しい。むしろ走行性能では、対局にあるような言葉だといっていいだろう。
確かに高速道路や流れの速いバイパスではパワー不足を感じることはある。だが、都市部を中心に走り回る限りは、67psでも問題は感じないはず。レスポンスは妥当だし、必要な時にちゃんと必要なぶんだけ力を発揮してくれる。
1.2Lの方が、パワーもトルクも余力を感じることができる。とはいっても、比べれば力がある程度で、ヒュンダイi10を小さなロケットマシンに変えてくれるわけではない。そちらは、ターボを積んだNラインに期待したいところだ。
新しいシティカーとして正義ではない
アップグレードされたヒュンダイi10の価格は、エントリーグレードの1.0SEが1万2495ポンド(178万円)から。1.2LエンジンにATが組み合わされた、トップグレードのプレミアムでは1万5495ポンド(221万円)になる。お手頃だといって良い。
だが、英国の場合はほとんどが月払いのローンを組むはず。予想される金額は180ポンド(2万5000円)から200ポンド(3万円)の間になるだろう。
3世代目となったヒュンダイi10は、従来的なガソリンエンジン搭載モデルを、シティカーの上位階層へ返り咲かせたといえる。競合する内燃エンジンモデルが少なくなる中で、珍しい存在ではある。だが、決して褒めているわけではない。
高まる環境意識とともにシティカーの存在が見直されている中で、ヒュンダイは古いモデルを改め、優れた新しいモデルを投入したに過ぎない。悪くないクルマではあるけれど、正直、正義とはいえないと思う。
ヒュンダイi10 プレミアム 1.0MPIのスペック
価格:1万4495ポンド(207万円)
全長:3670mm
全幅:1680mm
全高:1480mm
最高速度:156km/h
0-100km/h加速:14.6秒
燃費:20.0km/L
CO2排出量:101g/km
乾燥重量:921kg
パワートレイン:直列3気筒998cc自然吸気
使用燃料:ガソリン
最高出力:67ps/5500rpm
最大トルク:9.7kg-m/3650rpm
ギアボックス:5速マニュアル
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
愛車管理はマイカーページで!
登録してお得なクーポンを獲得しよう
日産が93.5%の大幅減益! ハイブリッドの急速な伸びを読めなかったのは庶民感覚が欠けていたから…「技術の日産」の復活を望みます【Key’s note】
ホンダ新型「プレリュード」まもなく登場? 22年ぶり復活で噂の「MT」搭載は? 「2ドアクーペ」に反響多数!海外では“テストカー”目撃も!? 予想価格はいくら?
給油所で「レギュラー“なみなみ”で!」って言ったら店員にバカにされました。私が悪いんですか?怒りの投稿に回答殺到!?「なにそれ」「普通は通じない」の声も…悪いのは結局誰なのか
中古車バブル崩壊……その時あなたは何を買う!? 絶版国産[スポーツカー]ほしいランキング
トヨタ『ランドクルーザー』リコール…ドライブシャフト不良、走行不可能になる恐れ
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!
みんなのコメント
数倍マシですやん