道路を走っていると、黄色で正方形の角を上にした「警戒標識」をたびたび見かけます。この道路標識は、あらかじめ道路上の危険や警戒すべきことを運転者に知らせて注意を促すもので、主に黒色でイラストが描かれており、その種類はさまざまです。
このうち、急カーブがあることを示す左右に弓なり曲がった矢印の標識には、補助標識で「R=300」などと、アルファベットと数字で表記されているものがあります。また、坂道の手前でよく見かける道路の勾配を表す三角形のイラストには、「10%」などの数値の比率が一緒に記載されています。
原付一種と二種どっちもダメ? 原付通行禁止標識の「原付」が示す意味とは
これらの標識を見たとき、その先に急カーブや急な道があると理解できても、どの程度なのかと聞かれたら首をかしげてしまう人がほとんどかもしれません。しかし、この数字の意味を理解することで、その先の道路の状況がどの程度なのかがわかるようになります。
急カーブの標識の「R」とは「radius」の略で、日本語で半径という意味。つまり、「R=300」と表記されている場合は、「この先に半径300mのカーブあり」と警告していることになります。
したがって、「R」の数字が小さくなればなるほどカーブがきつくなるため、手前でスピードを落とすなど運転に注意が必要です。ただし、同じ曲がり幅でも道路の勾配やカーブの長さ、遠心力を抑えるための道路の傾斜などで、曲がり具合が変わってくるので一概に同じともいえません。
さらに、そのときのスピードや車両、タイヤの性能などによってもカーブの感じ方が違ってきます。そのため、数字だけでカーブの状況を正確に判断するのは難しいといえるでしょう。
カーブの半径は設計速度に応じて、道路構造令という道路の構造基準を定めた法律で決められています。設計速度は、簡単にいえば道路を安全に走行できる速度のことです。 法令では設計速度に応じて、曲線半径の推奨値とやむを得ない箇所での最小値が定められています。
具体的に高速道路では、設計速度が時速120kmの区間で、推奨値R=710m、最小値R=570m。おなじく時速100キロの区間で、推奨値R=460m、最小値R=380m。時速80kmの区間は、推奨値R=280m、最小値R=230mと速度によって決められているのです。
ちなみに設計速度の範囲は、時速120kmから20kmまであり、一般道もこれに基づいてカーブの半径が設計されています。
一方、道路の急勾配を示すのが「10%」などの数字で表した警戒標識です。道路の傾きを知らせるものなので「10度」と角度で表記したほうがわかりやすそうですが、なぜ「%」なのでしょうか。
それは先ほど出てきた道路構造令で、縦断勾配は「%」で表示するように決められているからです。なお、「%」は比率になるので、2つ以上の数値を比べたときの割合を意味します。
この標識の場合は、100m進むとスタート地点から何m高く(あるいは低く)なっているかを表している比率です。例えば、上り坂で「10%」と表記されていれば、100m進むとスタート地点より10mの高さまで上がるという意味。つまり、10m進むごとに1m上がる坂道になります。
ちなみに、勾配率10%は角度でいうと約5.7度。数字だけ見るとそうでもなさそうですが、10%の勾配はかなり急坂の部類に入ります。こうした急カーブや急勾配では、バイクのコントロールが難しくなるので、通常の道路よりも慎重に運転しなければなりません。
カーブを安全に走行するには、曲がる手前で十分に減速することが重要です。目線はカーブの先に向けて、ニーグリップの乗車姿勢を保ちながら曲がります。
またクルマと違い、バイクは車体をバンクさせることで曲がっていくので、進行方向に体重移動しながらバイクを傾けるイメージで曲がることが大切です。
急な上り坂では、勾配の具合に合わせて出力の出やすいギアにシフトダウンして、アクセルを一定に保ち一気に上がります。また、急な下り坂ではギアを落として、リアを中心にブレーキは補助的に使い、エンジンブレーキを積極的に活用しながら下ることが大切です。
坂道のシフトチェンジは初心者のうちは難しいですが、自然に操作できるまで体で覚えるのが上達の近道といえます。
では、日本国内で知られている急カーブや急な坂はどこにあるのでしょうか。
まず関東で有名なのが、東名高速の下りにある大井松田ICから御殿場ICの区間にあるR=300mのカーブ。山間部を走るため、高速道路では滅多に見かけない急カーブが連続する区間で知られています。
しかしこれよりもはるかに急カーブなのが、中国自動車道の呰部(あざえ)トンネル付近にあるR=200のカーブ。この付近も岡山県の山間部にあたり急カーブが連続するため、一部の区間で最高速度が60km/hに制限されているほどです。
一方、日本一の急勾配の道路で有名なのが、大阪府と奈良県の県境にある国道308号の「暗峠」(くらがりとうげ)です。その最大勾配はきつい急カーブの場所で、なんと約40%ともいわれているほど。これは10m進むだけで、人の背丈の2倍以上の高さに到達するほどの急勾配になります。
また、都内屈指の勾配を誇るのが、豊島区にある「のぞき坂」(別名・胸突坂)で「上り急勾配あり22%」の警戒標識が立てられています。坂の直前まで道路が見えないほどの急勾配で、のぞき込まないと坂が見えないことからその名が付けられたそうです。
ちなみにのぞき坂は、ピンクのスーパーカブで有名なアニメ映画「天気の子」のワンシーンにも登場します。そのため、映画の聖地としてアニメ好きからも有名な坂です。
※ ※ ※
「R」や「%」の数字で表記されるとイメージしにくいため、今までなんとなくスルーしていたという人もいるかもしれません。しかし、急カーブや急坂の警戒標識の意味を理解すれば、危険な場所でも余裕をもって安全に走行することができます。
今後黄色い正方形の標識を見かけたら、表示されている数字を意識しながら運転すると良いでしょう。
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みんなのコメント
この「謎の**」シリーズは違和感しかない
ほとんどが免許証取得時や義務教育で学習する内容
以前の「爆誕」も似た感じだけど
日本語に対する感覚が違いすぎるんだろうか。
%=勾配!
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