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DS3クロスバック、日本試乗 価格/サイズ/内装を評価 小型SUVに “DSらしさ” の調和

掲載 更新
DS3クロスバック、日本試乗 価格/サイズ/内装を評価 小型SUVに “DSらしさ” の調和

もくじ

どんなクルマ?
ー C-HR、レクサスUXと対峙
ー 最低地上高 185mm

【画像】DS3クロスバック試乗車 全40枚

どんな感じ?
ー 内装 ドア/後席の評価は?
ー 1.2ターボ+8AT DSらしさに
ー ADAS(先進運転支援システム)は?

「買い」か?
ー 404万円 買い得感あり

スペック
ー DS3クロスバックのスペック

どんなクルマ?

C-HR、レクサスUXと対峙

車名を見ればDS3の派生モデルのように思えるが、実態は別モデルである。コンパクトな3ドアHBのDS3に対してDS3クロスバックは全長もホイールベースも一回り大きな5ドアHB。しかもSUVである。フローティングルーフなど共通する部分もあるが、外観の雰囲気も大分違っている。

内外装の個人的な印象は「黒ゴス」。シックと言えばそう分類できるのだが、全体としては現代的だが古典を源流とした様式美で装飾するような感じで、かなり主張が強い。アウトドアを背景に持つSUVなのに何故か「夜」の雰囲気があったりもする。こんなことをとやかく言っても詮無き事だが、嗜好的受容度では相当尖ったモデルである。

これらを前提にSUVの中で分類するなら、現代版サニークーペとも言えるジュークや同じく現代版セリカのC-HRに代表されるスペシャリティカー型と言える。アウトドアレジャー&スポーツ用途に特化したワゴンがSUVの本質だが、積載性や居住性よりもスポーツ&スペシャリティなキャラを優先したのが同タイプの特徴である。

最低地上高 185mm

2ドアクーペ基本の古典的スペシャリティカーと比べれば居住性も積載性も良好。2名乗車を基本にするユーザーには日常用途も含めて実用性に優れたスペシャリティカーなのである。

しかし、DS3クロスバックは妙に真面目な部分もある。

例えば駆動方式はSUVにも関わらず本国ラインナップも含めて2WD(FWD)のみだが、最低地上高は185mmを確保している。前述したC-HRの4WDモデルは155mm、2WDモデルに至っては140mmである。コンペティターとして想定されたレクサスUXは160mmである。

2WD故に雪路や泥濘、モーグルは厳しいが、185mmの最低地上高なら轍跨ぎ等々の悪路踏破性は確保されるのでちょっと荒れた林道レベルなら対応できる。尖ったキャラの割にはけっこう「いい人」型でもあるのだ。

どんな感じ?

内装 ドア/後席の評価は?

悪路走行への配慮は最低地上高だけではない。ドアパネル形状も気配り設計である。

DS3クロスバックのドアは下方に広く、閉めた状態でサイドシルを覆うように設計されている。SUVのように高い座面地上高のクルマは乗降時の足着きが車体に近くなりやすく、脹ら脛(ふくらはぎ)部がサイドシルと接触しやすい。サイドシルが汚れていればどうなるかは容易に想像できるだろう。

なお、本格オフローダーはこういったドア設計を採用しない。下打ちした時のドア開閉の障害要因となる可能性もあるし、汚れを嫌う服装で乗るタイプのクルマでもない。

後席は狭い。ヘッドルームは確保されているが、ニースペースは成人男性の必要最低限、あってプラスα程度。サイドウインドウ開口も狭い。ドア開口幅が狭いので乗降もちょっと窮屈。座り心地がしっかりしているのは救いだが、4名乗車を前提とした居住性ではない。

後席使用時でも深さを活かして荷室容量は十分。2名乗車前提ならレジャー用途も無理がない。

意外だったのは走りである。何と言うか、いい感じに「普通」なのだ。

1.2ターボ+8AT DSらしさに

パワートレインは1.2ℓダウンサイジング・ターボに8速ATの組み合わせ。唐突な反応無く穏やかな走り出し。駐車場での扱いも容易。当たりが出ていないのか、変速時にごく僅かな突き出し感もあったが、トルコン/遊星ギアのATらしく繋がりのいい変速感とロックアップクラッチを利かせたダイレクトな加減速感が走りの車格感を高める。

スポーティな味わいではDCTに分があるが、DSブランドのイメージにはエレガントなドライブフィールが似合い。

穏やかにも伸びやかにも扱いやすい加速特性。微妙な流れの速度変化にも合わせやすい。込み入った市街地や渋滞路、登降めまぐるしい山岳路やゆったりの高速ツーリングも扱いやすいタイプ。得手不得手を感じさせない馴染みやすさが特徴だ。

フットワークも同様。コンパクトサイズ故に狭い場所で扱いやすいのは当然だが、コンパクトサイズが災いする高速域では一回り大きなクルマのような落ち着きを示す。重質な味わいとまでは言えないが、神経質な反応や挙動が少なく乗り心地もハンドリングも収まりがいい。

18インチ・ホイールだが、控え目な215/55サイズのタイヤは細かな凹凸の吸収にも優れ、最近のSUVでは路面当たり感が少ないのも好感。

ADAS(先進運転支援システム)は?

カーマニア好みの刺激とか高揚感を求めると薄味な走りだが、操る人と乗る人の心地よさに立ったウェルバランスは生活やレジャーで長く付き合うクルマには必要不可欠である。

「長く付き合う」ためのもうひとつのアドバンテージが先進安全&運転支援機能だ。

渋滞追従機能付きの全車速ACCや走行ライン制御型LKA、状況に応じた部分消灯制御を行うマトリクス式のオートハイビームなどの最新技術を導入。試乗したグラン・シックには標準装着されているがソー・シックでもパッケージOP設定されている。

短時間の試乗の中でACCやLKAなどの主立った運転支援機能を試してみたが、同様機能に対して突出した部分はなく、最先端の横並びとも言える。やはり、長時間走行時の運転疲労軽減やケアレスミスへの補償では大きなメリットをもたらす機能であり、次世代標準化は間違いなく、これも長く使い続けるなら必須装備。

何処でも扱いやすいサイズ、馴染みやすい運転感覚合わせて「長く付き合う」の三拍子揃いなのだ。

「買い」か?

404万円 買い得感あり

最上級グレードのグランシックは404万円(8%消費税)。OPはハイトーンルーフ(車体色)だけで、フォーカルのオーディオまで標準のフル装備仕様。ソーシックにDSドライブアシスト等のパッケージOP装着の場合は376万円。

300~400万円は輸入車ではエントリークラスだが、装備内容や走行性能等々を考えればDS3クロスバックは買い得感の高い値付けだ。もっとも、コスパで選ぶタイプのクルマでもなく、主たる魅力を支える副次的魅力である。

誰にでも何処でも扱いやすく安心して長距離も過ごせる走りも同じである。積極的に個性をアピールしないところが見所の走りでもあり、これも名脇役的魅力だ。

ならば主たる魅力は? 言うまでもなく内外装である。センターコンソールにずらりと並べられたパワーウインドウ・スイッチやACC関連のレバー型スイッチなど、使い勝手が些かトリッキーな印象も受けるが、そういった面も含めて個性的である。唯一無二と言えば言い過ぎだが、他車ではなかなか味わい難い雰囲気である。付け加えるなら操作系がトリッキーと言っても、それは馴れが解決する。分かってしまえば苦労なしで使えるレベル。

要するに内外装に一目惚れして選んでも無問題なのがDS3クロスバックの大きなアドバンテージ。道具としてのクルマとブランドあるいは生活の彩りやアクセントを高水準で両立している。価格も適応用途もとくに気にならなければ「惚れた気持ちに正直に!」なのだ。

DS3クロスバックのスペック

DS3クロスバック・グランシック

■価格 404万円
■全長×全幅×全高 4120×1790×1550mm
■最高速度 –
■0-100km/h加速 –
■燃費(WLTCモード) 15.9km/ℓ
■車両重量 1280kg
■エンジン 直列3気筒ターボ1199cc
■最高出力 130ps/5500rpm
■最大トルク 23.5kg-m/1750rpm
■ギアボックス 8速オートマティック

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