11月3日(金)、前日にバーレーン・インターナショナル・サーキットで開幕したWEC世界耐久選手権第7戦『バーレーン8時間レース』は決勝レースのスターティンググリッドを決する予選が行われ、TOYOTA GAZOO Racingの8号車トヨタGR010ハイブリッド(セバスチャン・ブエミ/ブレンドン・ハートレー/平川亮組)が、2023年シーズン最終戦のポールポジションを獲得した。
走行初日の木曜に実施された2度のプラクティスと、3日正午から行われたFP3に続き、日没が迫る16時15分から開始された今季最後の予選。上位2クラスに先駆けてセッションが開始されたLMGTEアマクラスは、これが公式戦最後の予選となった。
全車にブロンズドライバーが乗り込んだ15分間のセッションでは、中盤に差し掛かったところで54号車フェラーリ488 GTEエボ(AFコルセ)を駆るトーマス・フローが1分59秒810を記録し、これが最初のターゲットタイムに。直後“チャンピオン”ベン・キーティングの33号車シボレー・コルベットC8.R(コルベット・レーシング)が1分59秒412でトップタイムを奪取。フローも自己ベストを更新するが、1分59秒683をマークした98号車アストンマーティン・バンテージAMR(ノースウエストAMR)のイアン・ジェームスが2番手に入る。
その後25号車アストンマーティン・バンテージAMR(ORT・バイ・TF)と、木村武史が乗り込んだ57号車フェラーリ488 GTEエボ(ケッセル・レーシング)がトップタイムを塗り替えていく。しかし、それをさらに上回ったのがサラ・ボビーで、彼女の85号車ポルシェ911 RSR-19(アイアン・デイムス)は59秒台を切る1分58秒692を記録。さらなるタイム更新を狙った翌周にセクター3でスピンを喫したが、直前のタイムは最後まで破られることはなかった。
一方、25号車アストンマーティンを駆るアハマド・アル・ハーティは1分59秒161までタイムを伸ばし、木村のタイムを1000分の1秒上回って2番手に。しかしリアム・タルボットがステアリングを握る777号車アストンマーティン・バンテージAMR(Dステーション・レーシング)が、最終盤にタイムを上げて1分58秒982をマーク。土壇場でフロントロウに滑り込んでいる。
■一歩抜きん出たブロンクビストの走り
ル・マン24時間レースを除き、今季限りでWECのレースから姿を消すことになるLMP2クラスは、全車が『オレカ07+ギブソンエンジン』の同一パッケージであることから差がつきにくいカテゴリーだ。今回も白熱した予選が予想されたが、トム・ブロンクビストの驚速タイムがそれを阻んだ。
アタック合戦の口火を切ったのは10号車オレカ(ベクター・スポーツ)のガブリエル・オーブリーで、タイムは1分52秒903。これをユナイテッド・オートスポーツの23号車オレカに乗り込んだブロンクビストが100分の4秒上回る。
デイトナウイナーである29歳の彼は連続アタックで1分52秒290までタイムを縮めてみせた。セクター1とセクター2でこれを上回るペースで回っていた姉妹車22号車オレカのフィリペ・アルバカーキは、最後のセクター3で伸びず5番手どまり。直後、シャルル・ミレッシ駆る36号車オレカ(アルピーヌ・エルフ・チーム)が1分52秒561で2番手に飛び込んだ。
セッション終盤にはロビン・フラインスがステアリングを握る31号車オレカ(チームWRT)が1分52秒898というタイムで3番手に食い込む。一方、ドライバー選手権とチーム選手権の両方でランキング首位に立っている姉妹車41号車はクラス10番手に沈んでいる。
その41号車に挑戦するユナイテッド・オートスポーツの22号車は5番手から、ル・マンウイナーでランキング3位につけているインターユーロポル・コンペティションの34号車オレカは7番手から決勝レースをスタートすることとなった。
■可夢偉届かず。ポイントリーダーの8号車が1ポイント加算
LMGTEアマとLMP2の予選終了後、夜のとばりが下りるなか開始されたハイパーカークラスの予選では、ランキング上位2枠を占めているトヨタ勢が、盤石とも言える格好で決勝に向けた最後のセッションを終えた。
この予選で最初にアタックに入ったのはFP3で最速マシンとなった2号車キャデラックVシリーズ.R(キャデラック・レーシング)で、アレックス・リンのドライブで1分47秒265をマーク。これが当面のターゲットタイムとなった。
リンは連続アタックでタイム更新に挑むが、全体ベストを続けるなかセクター3でタイムを落としてタイムアップならず。直後にフィニッシュラインを跨いだ51号車フェラーリ499P(フェラーリAFコルセ)のアレッサンドロ・ピエール・グイディも1分47秒828でトップタイムに届かない。
これに対してTGRの2台が速さを見せる。ランキング首位につける8号車ハートレーが1分46秒564を刻んだ直後、可夢偉が1分47秒053をマーク。セクター1、2で全体ベストを記録していた可夢偉とすれば無念の結果だったが、トヨタ勢はこれでワン・ツーを築く。翌周、可夢偉はセクター1で全体最速タイムを刻んだが直後のセクターでは自己ベストを上回れず。ラップタイムも更新とはならず2番手が確定した。
最終的にTGRの2台に続いたのはキャデラックの2号車だ。セカンドロウの4番手にはケビン・エストーレのドライブで1分47秒712というタイムを刻んだ6号車ポルシェ963(ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツ)がつけ、今週の走り始めから苦戦を強いられBoP(バランス・オブ・パフォーマンス/性能調整)への不満も漏らすフェラーリAFコルセの50号車、51号車フェラーリ499Pが3列に並んだ。
その後ろに3台のポルシェ963が続き、プジョー9X8(プジョー・トタルエナジーズ)は93号車が10番手、姉妹車94号車が11番手に。クラス最後尾は4号車ヴァンウォール・バンダーベル680(フロイド・ヴァンウォール・レーシングチーム)となっている。
2023年のシーズンフィナーレ、WEC第7戦バーレーンの決勝は明日4日土曜の14時(日本時間20時)に8時間レースのスタートが切られる予定だ。
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