パワーだけだったら最近のクルマのほうが大きいかもしれない。だが今のクルマはキッチリ制御されているので、びっくりするくらい安心して大パワーを操ることもできる。
そんな制御技術がまだまだ発達していなかった1970年代から1990年代。大パワーエンジンを搭載するクルマには、まさに「暴れん坊」と呼ぶにふさわしい強烈なクルマがたくさんいたのだ。
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特に印象的だったのはWRCグループBのホモロゲマシンたち。少数かつ限定で市販されたことも、またその存在感を高めた。ここではそんな8モデルを紹介しよう。
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※本稿は2020年5月のものです
文・写真:ベストカー編集部
初出:『ベストカー』 2020年6月10日号
■BMW2002ターボ(1973年)
BMW2002ターボ(1973年)
世界で初めて市販車としてターボエンジンを搭載したモデルがBMW2002ターボ。コンパクトな2ドアセダンの2002(マルニ)に190ps/24.5kgmを発揮する1.9L、直4ターボを搭載。ハイパワーを受け持つタイヤは幅広化され、オーバーフェンダーを装着。迫力ある姿が印象的だった。
■ポルシェ959(1986年)
ポルシェ959(1986年)
今の時代なら当たり前のようなスペックだが、34年前の1986年当時としては想像を絶する超ハイパフォーマンスを誇った959は、当時のWRCグループB参戦を狙ったホモロゲモデル。
リアに搭載される2848cc水平対向6気筒ツインターボは450ps/51.0kgmを発揮。トルクスプリット4WDにより、このパワーを余すところなく路面に伝え、高い安定性を見せたことも驚きだった。200台の限定生産とされたが、実際には283台を生産。
■ルノー5ターボ(1978年)
ベンツ500E(1991年)
コンパクト大衆車のルノー5をベースにしながら、モンスターに仕立て上げたのがこのクルマ。FFのベース車からミドシップに変更し、特にリアトレッドをガバッと拡大。全幅は225mm広い1750mm。1.4Lターボは160ps/21.4kgm。
市販車200台でホモロゲが取得できたグループB時代のWRCはモンスターを生んだ
■ベンツ500E(1991年)
ベンツ500E(1991年)
ベンツが企画し、開発&生産はポルシェが担当したというのが「500E」のポイント。
名車として語り継がれるW124型ミディアムベンツのホワイトボディを、ポルシェがフロア強化、シャシーをチューニング。ブレーキの強化なども徹底して実施され、ベンツの上質さとポルシェのパフォーマンスに対する思想を同時に味わえる、真のスポーツサルーンとなった。
搭載される4937ccV8DOHCエンジンは最高出力330ps、最大トルク50.0kgmを発揮。車高は若干低められ、前後フェンダーはワイド化され、そのたたずまいは「ただモノではない」迫力を醸し出す。
■フォードRS200(1984年)
フォードRS200(1984年)
ポルシェ959やルノー5ターボなどと同様、WRCで全盛を誇っていたグループB参戦のためのホモロゲモデルとして開発された。何より特徴的なのは、「ベース市販車がない」ということ。このRS200のためだけにすべてを新規開発した。
アルミハニカムモノコックを採用し、前後サスは鋼管サブフレームにマウントされる。ミドに搭載されるドライサンプの2463cc直4ターボは235ps/25.0kgmを発揮。トランスアクスル式4WDを採用する。
■ベンツ190E 2.5-16エボリューションII(1990年)
ベンツ190E 2.5-16エボリューションII(1990年)
コンパクトメルセデス、190Eのボディをベースに、後付けの空力付加物が禁止されていたグループAレースの規定に合致させるためのエボリューションモデルとして開発さたのがこのモデル。派手なエアロはレースのために必須だった。
■ブガッティEB110(1991年)
ブガッティEB110(1991年)
1900年代初頭に創業したスポーツカーメーカーがブガッティ。1900年代中盤に自動車製造から撤退していたが、1987年に復活。その1号車として企画、登場したのがEB110。3.5L V12クワッドターボエンジンをミドに搭載。わずか154台のみを生産したのみで1995年に倒産。
■ブガッティ・ヴェイロン(2005年)
ブガッティ・ヴェイロン(2005年)
その後、VWがブガッティの商標を手に入れ「ブガッティ・オトモビル」を設立。2005年に登場したヴェイロンはその象徴的モデルだ。V8エンジンをドッキングさせたW16エンジンは8Lの排気量。4基のターボで最高出力は1001psを発揮する。100km/h加速2.5秒、最高速は407km/h。
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