レクサスが4月20日にワールドプレミアした、バッテリーEV(以下、BEV)専用モデル「RZ」のプロトタイプに、モータージャーナリストの小川フミオ氏が試乗。その走りをリポートする。
LEXUS RZ|レクサスRZ
レクサス初となるバッテリーEV専用モデル「RZ」がワールドプレミア|LEXUS
レクサス初となるバッテリーEV専用モデル「RZ」プロトタイプに試乗
レクサスが4月20日にワールドプレミアした、バッテリーEV(以下、BEV)専用モデル「RZ」のプロトタイプに、モータージャーナリストの小川フミオ氏が試乗。その走りをリポートする。
Text by OGAWA Fumio|Photographs by Lexus International
プロトタイプでありながら、完成度が高い
EVは進化している。そう思わせてくれるクルマが、2022年内に登場しそうだ。それがレクサス「RZ」。同ブランド初のBEV(バッテリー駆動EV)となるクロスオーバーSUVだ。
概略が22年4月20日に発表されたレクサスRZ。全長4,805mm、全高1,635mmと、トヨタでいえばハリアー(全長4,705mm、全高1,660mm)より長い。EV専用シャシーを使い、前後にモーターを搭載した全輪駆動だ。
スタイリングも、ほどよくアグレッシブ。ホイールベースは2,850mmもあり、パッケージングはいい。スポーティさと実用性が、うまく両立している感じで、バッテリー駆動のプレミアムSUVを探しているなら注目していいクルマだ。
レクサス初となるバッテリーEV専用モデル「RZ」プロトタイプに試乗──その走り味とは? |LEXUSvia Web Magazine OPENERS
モーターはフロントが150kW、リアが80kW。バッテリー容量は71.4kWhなので、かなりパワフルだ。たとえばトヨタ自動車が22年5月12日に発売するというBEV「トヨタbZ4X」4WD(80kW/80kW)より上をいく。
私はこのRZの発売前のプロトタイプに、22年4月に試乗した。場所は愛知県のテストコース。実車は、事前公開された画像よりはるかにダイナミックな印象だった。つまり、いかにも走りがよさそう。躍動感のある面づくりと、20インチ径タイヤの存在感を強調するボディのプロポーションが目を引く。
「EVで大事なのは、シャシーコントロール性です」。RZプロトタイプを前に、開発を指揮してきたチーフエンジニアの渡辺剛氏は、そう語ってくれた。モーターとブレーキをうまく制御して、走る、曲がる、止まるといった性能を高める。これにはBEVだからできることも少なくないんだそう。
レクサス初となるバッテリーEV専用モデル「RZ」プロトタイプに試乗──その走り味とは? |LEXUSvia Web Magazine OPENERS
いまどきBEVなんてどれもそう違いなんてないよ、と、実は私も考えていました。でもRZプロトタイプに乗ってみて、やっぱり違いはある、と思い直した。それほど、操縦性に際立つものがある。少なくてもテストコースではそう感じたのだった。
どこに特長があるか。一言でいうと、「ナチュラル」という渡辺氏の言葉通りの、すべてにおいてスムーズな操縦性だ。すっと出て、ドライバーの感覚にあらがわずに加速し、カーブは素直に曲がり、ブレーキペダルを踏むと、狙った通りの制動ができる。
レクサス初となるバッテリーEV専用モデル「RZ」プロトタイプに試乗──その走り味とは? |LEXUSvia Web Magazine OPENERS
上記を言葉にすると、それ全部当たり前のこと、と思われるかもしれない。でも、これを実現するのは、なかなか大変だ。BEVにしても、走りが良くても乗り心地が硬すぎるとか、どっかしらに“ここがもう少し良くなれば”と感じる要改良点が見つかるもの。RZは完成でないプロトタイプでありながら、完成度が高い、と思わせてくれた。
BEVでできることを徹底的に追求
BEVでできることを徹底的に追求
レクサスは自らを「クルマ屋」と定義。「自然や地球環境を大事にしながらも、楽しいクルマを追求し続ける」のが取り組むべきこととしている。そのために、今回、RZでも走りのよさを追求したと謳う。
ドライバーの意図に忠実でリニアな応答こそレクサス車が常に目指すべきものとしている同ブランドでは、RZに4輪駆動力システム「DIRECT4(ダイレクトフォー)」を採用。運転状況や路面の状態に応じて、前後駆動力をコントロールする。
たとえば、カーブにさしかかると、前輪に駆動力を多めに配分して前輪のグリップを使ってカーブを回っていき、出口に向けて加速するときは、最大でフロント20対リア80という比率で、後輪が車体を押し出すように加速していく。
市販のおりには、通常のステアリングシステムの車両に加えて、ステアバイワイヤというモーターで前輪を操舵するシステム搭載モデルも導入されるという。
パワフルな駆動用モーター、4輪の駆動力制御、微妙な制御を可能にするブレーキ、それに「ドライバーとクルマが一体になった走りを実現」することを目指したステアバイワイヤと、BEVでできることを徹底的に追求したという感じだ。
一言いって気持ちのいい走りは、前記のように、優れた電子制御技術の的確な使用に因るところが大きい。同時にボディ剛性を徹底的見直しました、と前出の渡辺氏。
ボディ骨格の接合にレザースクリューウェルディング、構造用接着剤、レザーピニング溶接技術を採用したり、各部に補強を入れたり、リアのラゲージ開口部の変形を抑えるために二重環状構造を採り入れたりといった具合。
もはやEVがモーターならではの太いトルクと瞬発力を自慢する時代は過ぎた。それは当たり前のこととなったのだ。しかしその先はどうするんだろうというギモンに、まっさきに答えてくれるのが、レクサスRZかもしれない。
操縦性が高く、気持ちに逆らわず気持ちよく走り、一充電による走行距離も約450kmと決して悪くない。プロトタイプがちょっと教えてくれたRZの姿に、私としてはけっこう期待を寄せている。価格は未定。トヨタbZ4Xの4WDが650万円なので、それより上になりそうだ。
LEXUS RZ(プロトタイプ)
ボディサイズ|全長4,805×全幅1,895×全高1,635mm
ホイールベース|2,850mm
出力|フロント150kW リア80kW
電池容量|1.4kWh
航続距離(WLTCモード)|約450km(開発目標)
タイヤサイズ|フロント18インチ / リヤ20インチ
レクサスインフォメーションデスク
Tel.0800-500-5577(9:00-18:00、365日年中無休)
https://lexus.jp/
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