EVが主役の座をつかもうとしはじめている昨今の自動車シーン。発進時からトルク&パワーが一気に立ち上がるモーターならではの加速性能はEVの大きな魅力に違いない。
でも、何かが違う。そう、俺たちが恋しいのは若かりし頃に乗ったターボ車の強烈な“どっかんな加速感”。ブーストがかかった瞬間、背中がシートに押し付けられるあの感覚が忘れられない……というおじさんたちよ、今からでも遅くはない。ターボ車に乗ろうじゃないか!
なんと!? デリカミニ購入7割がターボ!! どっかんな加速感が恋しいおじさんに贈るターボ車 5選
文/FK、写真/ダイハツ、トヨタ、ホンダ、マツダ、三菱
楽しくないワケがない! ホンダ シビックのVTECとターボの組み合わせ
歴代シビックから受け継ぐ広いガラスエリアとゆとりある室内はもとより、低く水平基調のベルトラインと広い水平視野角によって開放的な空間と良好な視界を実現した現行シビック。車両本体価格は319万円から
1972年7月に登場して以来、国産コンパクトハッチの代表格として人気を獲得してきたシビック。
その軽快な走りを支えるパワーユニットには長らく自然吸気エンジンが採用されてきたが、2015年12月に発売されたFK2型のタイプRでシビック史上初のターボエンジンを採用。それ以来、標準モデルにもターボエンジンが採用され、現在に至っている。
2021年9月に発売された14代目もまたしかり。最高出力は182ps、最大トルクも24.5kg・mと数値のうえでは決して驚くほどのスペックを有しているわけではないシビックの1.5リッター直噴VTEC TURBOエンジン。
しかし、数値では表れないアクセルを踏み込んだ瞬間から力強く加速する応答性と高回転域までよどみなくパワーが増大するリニアな出力特性は走っていて気持ちイイったらありゃしない。
これにエンジンサウンドとの一体感が相まって、さまざまなシーンで操る喜びを感じることもできるはずだ。
そして、このエンジンに組み合わせられるトランスミッションも、シビックの走りを活かすべくスポーティかつダイレクト感のあるシフトフィールを実現したショートストロークの6MTと全開加速ステップアップシフト制御やブレーキ操作ステップダウンシフト制御といった先進技術を投入したCVTの2種類を設定。
加えて、CVT車には3種類の異なる加速感が楽しめるドライブモードスイッチも装備されており“今さら乗るターボ車”としては好適であるどころか、楽しくないはずはない一台だ。
向かうところ敵なしのトヨタ GRヤリスでしか味わえないWRC直系の走りを体感せよ
最上級グレードのRZ“High performance”は卓越した走行安定性、圧倒的な加速と気持ちの良いエンジン回転数の伸びを体感できる、世界を代表するホットハッチ。車両本体価格は456万円
トヨタ純血のロードゴーイングカーであるGRヤリス。WRC(世界ラリー選手権)では2019年から4年連続でドライバーズタイトルを、さらにはマニュファクチャラーズタイトルも2年連続で獲得する圧倒的な強さをみせている。
そんなGRヤリスは2020年9月に発売を開始。
「モータースポーツ用の車両を市販化する」という逆転の発想で開発されたトヨタ初となるモデルであり、トップグレードのRZ“High performance”、中間グレードのRZ、廉価グレードのRSという3グレードで構成される。
なかでも注目はやはり272psの最高出力と37.7kgmの最大トルクを発生する1.6リッター直列3気筒インタークーラーターボエンジンのG16E-GTSを搭載するRZ“High performance”とRZだろう。
フリクションを低減するべくターボの軸受けにセラミックボールベアリングを採用したターボシステムは、ラリー常用域で最大のパフォーマンスを発揮するφ87.5×89.7mmのボア×ストロークや高強度アルミ製シリンダーヘッド&中空組み立てカムシャフトの採用と相まって驚くほどのハイレスポンスを実現。
加えて、あらゆる路面状況で4輪へのトルク配分を即座に制御してトラクションを確実に路面に伝達する前後駆動力可変システムを採用したスポーツ4WDシステムのGR-FOURや、スムーズな変速をアシストする6速インテリジェントマニュアルトランスミッションなどの専用装備もどっかんな加速感が恋しいおじさんを虜にすることは間違いない。
MAZDA2の1.5リッタークリーンディーゼルターボは優れた燃費性能だけが取り柄じゃない!
バンパーやグリルなどのデザイン変更やルーフフィルムなどの多彩なカラーコーデの設定や新機種の追加など、2023年に大幅な商品改良を行われたMAZDA2。車両本体価格は152万9000円から
マツダブランドの鮮明化を目的に2019年7月に従来のデミオから車名を変更したMAZDA2。2023年3月に大幅な商品改良が行われた3代目にもターボチャージャーを採用したクリーンディーゼルエンジンが搭載されている。
1.5リッターでありながら25.5kg・m(AT車)という2.5リッターガソリンエンジンなみの最大トルクを実現したSKYACTIV-D 1.5エンジンは小型のシングルターボチャージャーの採用などにより、徹底した高効率化と軽量化を両立。
加えて、排ガスの吐出量を可変ノズルで制御して過給効率を高める可変ジオメトリーターボを採用することで低速域から高速域まで幅広く十分な過給圧を発揮するとともに、高速での出力・トルクを保証する回転センサーの採用と相まって高回転域でも伸びのあるパワーフィールを実現している。
また、SKYACTIV-D 1.5では燃料をより微粒子化して飛距離を抑え、最適な位置に拡散噴射することでシリンダー壁面と噴射した燃料との距離を確保して冷却損失を抑制するソレノイドインジェクターや、インジェクターから噴射された燃料を勢いよく燃焼室内に広げるためにピストンの中央部を盛り上げた段付エッグシェイプピストンといった小排気量エンジンを大幅に進化させる新たな技術も投入。
市街地はもちろん、ワインディングや高速道路で誰もが楽しく、安心して気持ち良く走れるエンジンに仕上げられているのだ。
それでいて優れた燃費性能も実現しているとくれば、もはや鬼に金棒である。
今では存在感も薄くなっちゃったけれど…ダイハツ ロッキーは1.0リッターターボを忘れちゃ困るぜ
車両本体価格が167万7000円からとリーズナブルなプライスも魅力のロッキー。ダイハツを象徴する、見るも鮮やかなコンバーノレッド(写真)のボディカラーも◎
取り回しが良い5ナンバーサイズボディ、広い室内空間と大容量のラゲージ、躍動感ある力強いデザイン、安心の先進・安全機能という4拍子揃ったコンパクトSUVとして人気が高いロッキー。
搭載するパワーユニットは今でこそe-SMART HYBRIDと1.2リッターの自然吸気ガソリンエンジンの2種類が加わって充実のラインナップを誇るが、デビュー当時は1.0リッターの水冷直列3気筒12バルブDOHCインタークーラーターボのみだった。
その味付けはスロットル特性を最適化してレスポンスやコントロール性を向上させつつ、低開度域ではコントロール重視、中高開度域ではレスポンス重視といった具合に1.5リッタークラスに匹敵する動力性能を確保。
1.0リッターながら坂道や高速道路でも余裕ある走りが楽しめるのも魅力のひとつになっている。
加えて、スプリットギヤを用いたD-CVTも変速比をワイドレシオ化して優れた燃費性能と高い静粛性を両立。
新プラットフォームの軽量高剛性ボディとの組み合わせが生み出す軽快な加速感と高い操安性もロッキーの持ち味となっている。
ちなみに、1.0リッターターボエンジンのみが採用されているロッキーの4WDモデルでは、全グレードにダイナミックトルクコントロール4WDを標準装備。これは電子制御式カップリング機構を用いることで走行状態や路面状況を検知し、ECUで前後輪に細かなトルク配分を行うという優れもの。
滑りやすい路面では後輪駆動力を高めてスリップを抑制し、滑らない路面では後輪駆動力を下げて燃費向上に貢献する新しい4WD構造は安心かつ経済的な走りも実現している。
デリ丸。だウェイ♪ な三菱 デリカミニは購入者の7割がターボグレードをセレクト
力強さと安心感を表現するダイナミックシールドのフロントデザインをはじめとするデリカらしいタフでギア感のあるスタイリングが好評のデリカミニ。車両本体価格は180万4000円から
2023年5月の発売に先駆けて受付を開始した予約注文(期間:1月13日~5月24日の約4カ月)で約1万6000台の受注を記録したデリカミニ。
“頼れるアクティブな軽スーパーハイトワゴン”をコンセプトに広々とした室内空間と力強い走りを融合した軽スーパーハイトワゴンの特徴はSUVならではのスタイリングをはじめ、アウトドアから日常使いまでをカバーする利便性に優れた機能的なインテリア、運転支援機能のマイパイロットや三菱 e-Assistなど枚挙に暇がない。
そんなデリカミニはターボエンジンと自然吸気エンジンの2種類が設定されているが、三菱自動車が発表した5月24日時点の注文状況によれば購入者の70%がターボエンジンを選んでおり、ターボグレードの人気は圧倒的だ。
ちなみに、デリカミニが搭載するBR06型と呼ばれるインタークーラー付きターボエンジンは日産とルノーがBR型をベースに共同開発したもので、効率向上を目的にデュアルインジェクター燃料噴射とクールドEGRなどの技術を投入。
これに最高出力2.7ps、最大トルク4.1kg・mを発生するSM21モーターを組み合わせることで動力性能と低燃費を両立しているが、高速道路での力強い走りはもちろん、毎日の走りの中でもキビキビと軽快な走りが楽しめるスペックとなっている。
デリカの名に相応しいアウトドアテイスト満点のデザインだけでもデリカミニを買う価値はアリなのだが、そこにターボエンジンならではの走りの良さも加わるとなれば……人気が出るのもナットク!
ここではターボエンジンを搭載したイマドキの5台に注目したが、現行の国産車はターボエンジンを搭載したクルマが意外なほど多いのが事実。しかも最新のモデルは燃費性能も優れているだけに、実はターボ車を乗るなら今がチャンスなのかもしれない。
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