今週末に行われるIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権の最終戦プチ・ル・マン(ロード・アトランタ10時間)において、シリーズチャンピオンを懸けて戦うことになるピポ・デラーニは、彼が所属するウェーレン・エンジニアリング・キャデラック・レーシングを含めたGTPチームにシーズンを通して「一貫性がない」ことが“超接近戦”のタイトル争いにつながったと考えている。
デラーニとともにアクション・エクスプレス・レーシング(AXR)が運営する米国チームの31号車キャデラックVシリーズ.Rをドライブするアレクサンダー・シムズは、ウェイン・テイラー・レーシング・ウィズ・アンドレッティ・オートスポートのリッキー・テイラーとフィリペ・アルバカーキに対してわずか3ポイント差でドライバーズランキング首位につけている。
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同ランキング3位のニック・タンディとマシュー・ジャミネ(ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツ)との差もごくわずかで、ポルシェ6号車のクルーは選手権リーダーから5ポイントしか離れていない。
BMW MチームRLLのコナー・デ・フィリッピとニック・イェロリーは上位3ペアと比べるとややギャップがあるものの、キャデラックのデラーニ/シムズ組から38ポイント差につけておりタイトル争いに残っている。このようにLMDh規定導入初年度のGTPクラスは、参戦する4つのマニュファクチャラーすべてが年間王者争いに加わっていることになる。
■GTPドライバー選手権ランキング(第10戦インディアナポリス後)
Pos.No.DriverCarPoints131アレックス・シムズピポ・デラーニキャデラックVシリーズ.R2460210フィリペ・アルバカーキリッキー・テイラーアキュラARX-06245736マシュー・ジャミネニック・タンディポルシェ9632455425コナー・デ・フィリッピニック・イェロリーBMW MハイブリッドV82422
「誰にとってもクレイジーなシーズンだった。正直なところ、(上位3つ)どのチームも5ポイント以内に入っているのは、一貫性のなさによるものだ」と語ったデラーニ。
「このGTPレースの新時代において、IMSAとファンはこれ以上を望むことはできなかったと思う。誰もがときにテーブルの上にたくさんののものを置いてきたと感じていると思う」
「僕たちは勝てるはずのないレース(セブリング12時間)を勝ってしまったが、他のふたつや3つの勝利の可能性をミスやエラーで潰してしまった」
「他のクルマでも同じことが言えるかもしれないが、選手権のレベルやここにいるチーム、メーカーのレベルを知っているため、これは驚くべきことだ。お互いに5ポイント以内で最後のレースを迎えることになるなんて、とても信じられないよ」
「言うまでもなくGTP初年度に4メーカーがチャンピオンを争うことは素晴らしいことだ」
■百戦錬磨の2冠王者も初めての状況
デラーニとテイラーにとって、これはちょっとした“デジャブ”のようなものだ。なぜなら、ふたりのドライバーはここ数年、DPi選手権のチャンピオンを懸け最終戦でバトルを繰り広げてきたためだ。しかし、そんな彼らであっても“4ウェイ・ファイト”の経験はない。
「チャンピオンシップという意味では、これ以上ドラマチックなことはない」とテイラー。
「(ターゲットになる他の)1台のマシンを見て、そのマシンに勝つために何をしなければならないかに集中するのではなく、これだけ多くのマシンがタイトル争いに加わるのは新鮮だ」
「アプローチはただこのレースに臨み、レースに勝つことを目指すだけだ。レースを制した者がチャンピオンになる可能性が高い」
テイラーはチャンピオンシップを争うライバル陣営を次のように見ている。「タイトル争いに加わっている4台はどのクルマも非常に強力だ。6号車ポルシェ963は(セブリングのように)涼しくなる夜間に良いペースを見せるだろうし、彼らはロード・アトランタで多くのテストを行っている」
「31号車キャデラックは耐久レースでいつも本当に強いし、BMWも安定感が出てきて、ところどころで好ペースをみせてきた」
■好調ポルシェが逆転狙う
土曜日に決勝レースが行われる最終戦ではローレンス・ファントールを第3ドライバーに迎える6号車ポルシェのジャミネとタンディは、前戦のインディアナポリスで優勝し、勢いに乗っている。
ジャミネは、「ここ数戦はかなり調子がいい」と述べた。
「7号車は過去2戦で素晴らしいペースを見せている。6号車にも(ペースが)戻ってきたし、チームは今ようやく非常にうまく機能しているようだ」
「最近のレースでは戦略があまり重要ではなかったが、僕たちは正しい判断ができているようだし、ここ数週間のテストを通してマシンのペースは確実に向上している」と逆転での戴冠に自信を覗かせる。
彼はまた、アクション・エクスプレスとWTRアンドレッティが1台体制でプチ・ル・マンに臨むなか、ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツが2台体制をとっている点について潜在的な優位性を指摘した。
「並行して行われているWEC世界耐久選手権のプログラムも考慮すると、実質4台体制であることはラッキーなことだ。大局的に見れば、チームがWECにも参戦していることは、セットアップやソフトウエアの面でマシンを開発し続けるうえで本当に役立っていると思う」
「クルマではつねにいろいろなことが起きているし、ヴァイザッハにいる人たちもつねに改善点を見つけ、アップデートをもたらしてくれる。ここ数カ月、チームにとっていい方向に進んでいるし、プチ・ル・マンに向けていい位置につけているのは確かだ」
「BMWは(僕たち以外に)2台のマシンを持つ唯一のチームだ。姉妹車の存在は僕たちにとって助けになるかもしれない。彼らをそこに置いて前で戦うことができるかもしれないからね」
一方、デラーニは10時間の耐久レースに向けて、アプローチはシンプルだと語った。
「誰にとっても面白いレースになるだろうけど、明らかに最後はドッグファイトになるだろうね」と彼は述べた。
「これだけ接近しているということは、先行しなければならないということだ。駆け引きはない。計算もない。とてもシンプルだ。単純に(ライバルより)先に行かないといけない」
「このレースは優勝争いがあるだけでなく、4台のクルマがチャンピオンシップ争いをしているので、それは目を引くだろうし多くのファンを魅了するだろう。それだけでも壮観だよ」
■GTPチーム選手権ランキング(第10戦インディアナポリス後)
Pos.No.TeamPoints131ウェーレン・エンジニアリング・キャデラック・レーシング2460210コニカミニルタ・アキュラARX-06245736ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツ2455425BMW MチームRLL2422
■GTPマニュファクチャラー選手権ランキング(第10戦インディアナポリス後)
Pos.ManufacturerPoints1ポルシェ27522キャデラック27443アキュラ26914BMW2688
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