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XJR-9の総合優勝から35年 ジャガーFペイス SVRエディション1988へ試乗 最高傑作の1台

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XJR-9の総合優勝から35年 ジャガーFペイス SVRエディション1988へ試乗 最高傑作の1台

XJR-9の勝利から35年を記念した特別仕様

2023年のル・マン24時間レースは、いつもに増して特別なレースだった。初開催から100年目を迎えただけでなく、スポーツ・プロトタイプのハイパーカー・クラスに多くの有力メーカーが復帰した、新時代のスタートも果たした。

【画像】最高傑作の1台 ジャガーFペイス SVR 同クラスの競合SUVと写真で比較 全157枚

そんな世界屈指の耐久レースで、1988年にジャガーは総合優勝を掴んでいる。タバコ・ブランドのシルクカットのロゴがあしらわれた、ホワイト地にパープルのグループCカー、XJR-9が勝利してから、35年が過ぎたことになる。

その栄冠を振り返り、ジャガーはSUVのFペイスに特別仕様を設定した。その名も、SVRエディション1988。35年という数字は、少々切りが悪いことは確かで、発表されたのは2022年ではあったが、現在のジャガーでは頂点を飾るポジションに据えられている。

英国価格は、10万1550ポンド(約1777万円)なり。ベースとなったFペイス SVRより、2万ポンド(約350万円)もお高い。容姿には多数の変更が施されているものの、生産数は394台の限定で、希少性への対価ともいえるだろう。

ちなみにこの数字は、レーシングドライバーのヤン・ラマース氏とジョニー・ダンフリーズ氏、アンディ・ウォレス氏の3名が、24時間にサルテ・サーキットを周回した数にちなんでいる。

日常をエキサイティングに変えるSUV

ボディの特徴といえるのが、XJR-9をモチーフとした暗いパープル、ミッドナイト・アメジスト・グロス塗装。そこへ、ゴールドの差し色が随所にあしらわれる。ホイールは、ブラックではなくゴールドで塗られている。

専用色のボディは、暗めの光ではブラックに見えるものの、初夏の陽気を浴びれば美しく深みのある彩色が浮かび上がる。SUVのなかではスタイリッシュな容姿のFペイスを、程よく引き立てている。

ラグジュアリーなインテリアは、専用のロゴと、通常とは異なるカラーコーディネート・トリムで仕立てられる。25%増しの価格へ見合う内容だと感じるかどうかは、人によって異なると思うが。

とはいえ、登場から少々時間が経過したFペイスは、未だに素晴らしい。あらゆる路面をしなやかにいなし、日常をエキサイティングなものに変えてくれる、高性能なSUVだと実感する。

エンジンは、スーパーチャージャーで加給される5.0L V型8気筒。今後、こんなユニットをジャガーが提供することはないだろう。極めてパワフルで、右足の操作へ応じて様々な音色を奏でる。ドロドロ、パチパチと。手のひらやお尻には、優しい振動を届ける。

トランスミッションは、トルクコンバーター式の8速オートマティック。デュアルクラッチ・ユニットのように容赦ない変速はしないものの、低速域での上質なマナーが魅力だ。常に本気は強いられず、普段使いとの相性に長けている。

Fペイスは歴代のジャガーで最高傑作の1台

毎日の親しみやすさは、シャシーのチューニングからも感じ取れる。SVR仕様のように高速なモデルでも、ジャガーが以前から腐心してきた特長でもある。

ドライバーとの一体感を伴い、興奮に満ちた運転へ浸れるのと同時に、乗り心地は快適で操縦性は素直。ステアリングホイールやペダルなどの操作系には、扱いやすい重み付けが与えられている。その二面性こそ、ジャガーといえる。

極太4本出しのマフラーを見ると、社会的な配慮に欠くように思えるが、実際に運転してみれば違う。これらの魅力とのトレードオフといえるのは、優れない燃費程度だろう。

Fペイスのインテリアは、数年前に施されたフェイスリフトによって、大幅にアップデートされている。8年前の登場にも関わらず、2023年に見ても古びて感じることはない。

インフォテインメント・システムは機能的で、エアコンの操作パネルが独立している点が強み。内装にはソリッドな印象があり、製造品質も高い。シートは座り心地が良いだけでなく、サイドサポートが程よく高く、しっかり身体を保持してくれる。

Fペイス SVRは素晴らしいSUVだと思う。歴代のジャガーで、最高傑作の1台に加えてもいいだろう。エディション1988に、上乗せされた価格ぶんの価値があるかどうかは、別として。

同社は電気自動車へのシフトを着実に進めている。今後、このような深い印象を残すモデルは生み出されるだろうか。

ジャガーFペイス SVRエディション1988(欧州仕様)のスペック

価格:10万1550ポンド(約1777万円)
全長:4747mm
全幅:1936mm
全高:1664mm
最高速度:244km/h
0-100km/h加速:4.0秒
燃費:8.2km/L
CO2排出量:275g/km
車両重量:2133kg
パワートレイン:V型8気筒5000ccスーパーチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:549ps/6250-6500rpm
最大トルク:71.2kg-m/3500-5000rpm
ギアボックス:8速オートマティック

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