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若者のクルマ離れにブレーキ ラリー・フォー・ジ・エイジ 参加無料の公道イベント(1)

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若者のクルマ離れにブレーキ ラリー・フォー・ジ・エイジ 参加無料の公道イベント(1)

出走メンバーが合計70歳以下なら参加OK

蛍光ペン片手に、ルートブックを読み込む若者たち。初めて見るような記号を、短時間で理解する必要がある。スマートフォン片手に、経験のある参加者へ相談するドライバーもいる。

【画像】参加無料の公道イベント 「ラリー・フォー・ジ・エイジ」参加車両と会場の様子 全104枚

グレートブリテン島の中南部に位置する、英国でのクラシックカーのメッカ、ビスター・ヘリテージには、賑やかなクルマが約90台集まった。駐車場にはブガッティ・タイプ35からフェラーリ308 GT4、サーブ900、トヨタ・セラまで多様な姿が並ぶ。

次世代の自動車愛好家を育成するべく、多くのクラシックカー・イベントを主催する団体、ヒーローエラによって2023年に初開催されたのが「ラリー・フォー・ジ・エイジ」。参加料無料という、太っ腹なラリー企画だ。

参加条件は、出走メンバーの年齢が合計70歳以下であることだけ。参加車両は年代毎にクラス分けされるが、大きな制限は設けられていない。コースは総長154km。そこにはジムカーナのようなテストセクションと、4つのメインセクションが含まれる。

エンジンオイルやラジエター液などが漏れた時に用いるスピルキットと、消化器や救急箱を車両へ積むことが推奨されたものの、基本的にはなくても出場可能。車検でも、ヘッドライトやクラクション、バッテリーなどの状態が簡単に確認される程度だ。

英国編集部からは、筆者も参加した。ホワイト・ゴールドに塗られたオペル・モンツァで。コ・ドライバーは、知人のハリー・マーティンに頼んだ。

参加車両は8クラスへ分別 正午にスタート

イベント前の車検では、無事に通過できるか若干の不安を毎回抱くが、結果はまったく問題なし。排気音の音量も78dBと基準値以下だった。もちろん、必要な安全装備もしっかり積んでいる。

筆者のオペル・モンツァは、8クラスへ分けられた中の7クラス目に該当。出走前、ルートブックを見ながらシミュレーションする時間は充分にあった。

戦前クラスに該当する最初のクルマが、正午に出発。続いて1950年式から1969年式のクラスと、1970年式から1980年式のクラスが、次々にスタートを切っていく。2000ccを基準に、それぞれクラスがさらに2つへ分かれている。

続いて、1800ccを基準に2クラスへ別れた、1981年式から1990年式の車両がスタート。最終グループは、それ以外にカウントされたクルマだ。オースチン・ヒーレーやトライアンフが、轟音を放ちながらダッシュしていく。

6クラス分の車両を見送り、われわれの番。モンツァのオートマティックを1速へ固定し、最初はパイロンで区切られたテストセクションへ。ダイレクトなレスポンスに感心しつつ、8の字ターンではLSDをロックさせるも、アンダーステアを抑えきれない。

次の高速コースは、ビスター・ヘリテージに敷設された小さなサーキットを周回。最終コーナーの手前で、指定ラインへピタリと合わせるブレーキングに挑む。

時間と速度制限があるメインセクション

ウォームアップ的なテストセクションを終え、いよいよ本番。1本目のメインセクションは、最初の1分間を35km/h、次の5分は45km/h、更に40km/hで3分走ることが課題。

コ・ドライバーのハリーは、ルートブックを確認しながら「右側に石像のライオン」「左側に畑の入り口」と、コース上の目印を読み上げる。道端には白い看板が何本か立っていて、タイムカードへ記された内容をメモする必要もある。

2人とも、処理すべきタスクに追われる。だが慣れてくると、心地良いリズムが生まれてくる。途中、ミスコースすることはなかった。

北西に進みノーサンプトンシャー州へ。指定時間内に走るため、スマートフォンのアプリを活用する。2本目のメインセクションは10.9km。途中、5段階の速度制限が設けられ、緊張感を高めてある。

次は17.7km/h。25分での走破を求められるが、交差点が多く痛恨のミスコース。しかしすぐに気付き、タイマーをリセットしながら本来の道へ。失った時間を、スピードを調整しながら取り戻さなければならない。

ペースを上げながら、マーシャルが待つチェックポイントを通過。途中のパブでは休憩時間が設けられ、冷たい飲み物を口にしながら、他の参加者と交流できた。体力的にも精神的にも疲れが表れ始めていたが、少し回復できたようだった。

シルバーストン・サーキットへ近づき、4番目のメインセクションは12.9km。これも無事にクリアし、最終セクションのためビスター・ヘリテージの駐車場へ戻る。クラス毎に車列を組みながら。

想像以上の充足感に笑顔が止まらない

筆者のモンツァは、とても活発に走ってくれた。だが、低速域での身のこなしが若干ダルく感じられたことも事実だ。

ビスター・ヘリテージへ着いた頃には、最初にスタートしたクラスの車両は既にクールダウン中。参加者が集まり、今回のセクションについて楽しそうに話している。筆者も最初はどうなるか不安だったが、想像以上の充足感に笑顔が止まらない。

全員が戻ったところで順位発表。優勝は、1985年式フォルクスワーゲン・ゴルフGTIで参加したジョン・ハーベイ氏とジャック・ハーベイ氏親子。僅か26秒という、ペナルティタイムでクリアしたという。

2位がBMW 325iを駆ったジョナサン・シェパード氏とイモージェン・シェパード氏親子。肝心の筆者は、4分42秒のペナルティタイムをいただき、87台中40位。41位のオースチン・ヒーレー・スプライトには、1秒差で勝った。

参加者の反応が素晴らしかったことは明らかで、既にヒーローエラは2024年の開催を計画しているという。実際、出走したメンバーの多くが来年も挑みたいと話していた。更に個性的なクラシックカーが集まるであろうことは、想像に難くない。

参加無料のラリーイベント(2)と(3)では、今回の参加チームと車両の一部をご紹介しよう。

協力:ヒーローエラ

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