■脱・パクリ!? アルファード顔「未奥BOMA」に変化!
2023年2月に発表され「アルファード顔の超小型BEV」として話題になった未奥汽車の「BOMA」。
あれから1年、新たにマイナーチェンジモデルが発表されました。
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ひと昔前まで、中国メーカーの作る自動車はどれもコピー品ばかりという印象を多くの人は持っていました。
ですが、2010年代後半あたりから中国の消費者の間で「コピー品はダサい」「パクリは恥」との認識が強くなり、中国メーカーの自動車デザインも徐々に進化していきます。
多くのメーカーは欧州メーカーから一流デザイナーを引き抜くことから始め、そこから自分たちのアイデンティティとなるようなデザイン言語を形作りました。
結果、中国の自動車産業を牽引するようなトップランナーの中国メーカーたちは日本車や欧州車などと比べても遜色ないクオリティの自動車を世に送り出せるようになります。
一方で、中国の自動車産業はその範囲が広く深く、下の方には質の低い有象無象の弱小メーカーがまだまだ存在するのも事実です。
それら弱小メーカーは資金力や開発リソースにとぼしく、またデザイン力も無いために日本車や欧州車、アメリカ車の丸パクリをおこなうケースがほとんど。
すでに市場ではデザイン力に秀でた選択肢が多数存在するためにこういったコピー車に勝ち目はありませんが、それでも価格の安さでかろうじて立場を確保し続けているのが現状です。
「売れる・売れない」は別として、「とりあえず」という気持ちでリリースされるこのような低クオリティなクルマは、中国の自動車業界が末端に抱える、恥ずべき問題でもあります。
有名なコピー車メーカーのひとつが「鴻日汽車」です。
同社は以前より日本の軽自動車にそっくりな車種を多数手がけており、ダイハツ「キャスト」をコピーした「U8」は日本でも話題となりました。
コピーするだけでなく、本家・キャストには存在しない「3ドア」モデルをリリースしたり、「U8」の紹介画像にはダイハツ キャストの公式サイトより画像を転載したりと、かなりやりたい放題なメーカーです。
そんな鴻日汽車は2023年、新たな電動車ブランド「未奥汽車」をローンチしました。
これまで鴻日汽車が手がけた車種はどれもナンバープレートをつけずに公道を低速で走れる「老年代歩車」と呼ばれる部類の小型車両。
ですが、「老年代歩車」はその車体自体の危険性に加え、交通法規を知らなくても運転できる危険性も相まって、中国各地で規制の方向へと進んでいます。
一方で「未奥汽車」ブランドは今まで手がけてきた「老年代歩車」ではなく、ナンバープレートが交付されるれっきとした自動車をラインナップするためのブランドになると見られます。
それでも昔から続いた「悪しきパクリの風習」は新ブランドでも続いており、未奥汽車の第一弾モデル「BOMA」はボディを日産「デイズ」、フロントマスクをトヨタ「アルファード」のコピーしています。
BOMAのボディサイズは全長3517mm×全幅1495mm×全高1660mmとなり、これはデイズと同等です。
パワートレインには出力40 hp(30kW)の電動モーターを搭載、バッテリー容量は11.9 kWhと18.5 kWhの2種類で航続距離はそれぞれ130 kmと200 kmです。
まず目につくのは大きな格子状のグリルですが、それだけでなく、ヘッドライトやフロント下部の意匠まで、すべてがアルファードを想起させるデザインとなっています。
また、リアクオーターやフロントフェンダーの造形、プレスラインの形状は日産 デイズとほぼ一緒であることが見てとれます。
■ミニアルファードが進化した!? そっくり顔は凄いことに…
ですが、BOMAの発表から約1年経った2024年3月、未奥汽車が発表したBOMAのマイナーチェンジモデルは大幅に姿を改めました。
2024年モデルとして発表された新たなBOMAはツートンカラーを特徴とするポップな雰囲気へと変貌を遂げました。
それだけでなく、フロントグリルは今まであったアルファードのコピーをやめ、電気自動車らしくグリルレスなデザインとなったのです。
グリルの枠は残っているものの、中心部はボディ同色のパネルへと置き換えられています。
この新グリル自体は2023年7月に登場した上級モデル「BOMA PRO」で採用されたものであり、それが通常のBOMAにも適用されたとの見方ができます。
アルファードに酷似しているとの批判が殺到し、さすがのメーカー側も折れたということなのでしょう。
デザインを一新させたBOMAですが、以前よりその売れ行きは決してよくありません。
単純に商品としての魅力がなく、それゆえに「上汽通用五菱 宏光MINI EV」「長安 Lumin」などの完成度がそれなりに高くて安いライバルにはどう足掻いても太刀打ちできない状況です。
販売台数のデータは確認できませんでしたが、中国大手自動車メディア「汽車之家」の中古車サイト「二手車之家」でBOMAを検索すると1件しかヒットしません。
ここからもBOMAがまったく売れていないということがわかります。
「コピー車」の印象を脱却すべくデザインを改めたと思われますが、超小型BEV市場はすでに成熟しつつあり、いまさら消費者がBOMAを買い求める理由もないでしょう。
未奥汽車は2024年中に新たなプラットフォームとパワートレインを採用する6人乗りモデル、そして2025年には3つの新プラットフォームと6つの新モデルを投入すると豪語していますが、実現にはほど遠いと言えます。
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