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【リスペクトすべき進化】シボレー・コルベット C8 3LTへ試乗 ミドシップの衝撃 後編

掲載 更新 1
【リスペクトすべき進化】シボレー・コルベット C8 3LTへ試乗 ミドシップの衝撃 後編

好対照なほど見違えたステアリング

執筆:Matt Saunders(マット・ソーンダース)

【画像】ミドシップへ一新 シボレー・コルベット C8 競合するスポーツモデルと比較 全133枚

翻訳:Kenji Nakajima(中嶋健治)


最新のシボレー・コルベット C8。インテリアに用いられる素材はリッチで、搭載される技術水準も高い。組み立て品質にも優れている。ダッシュボードや内装パネルは、7万ポンド超え(1064万円)のスポーツカーに相応しい知覚品質がある。

メーターパネルはモニター式。ステレオはハイエンドなもので、シートにはベンチレーション機能が付き、正面にはヘッドアップ・ディスプレイも組み込まれている。すべてが正しいと思える。

フロントタイヤの位置は、従来のコルベットより遥かにドライバーに近い。これまでにない違いを生んでいるはずだ。

歴代のコルベットで、高い評価を得ることができなかった部分がステアリング。ステアリングコラムは長く、フロントタイヤに掛かる重量は大きかった。それが走りに表れていた。

しかしC8のコルベットは、好対照といえるほどに見違えた。極めて正確に、直感的に反応する。ステアリングホイールを切った時の重み付けにも、レシオのスピードにも、違和感がない。

フェラーリF8トリブートのように、痛快にダイレクトという程ではない。マクラーレンやロータスの油圧パワーステアリングほど、夢見心地のフィーリングというわけでもない。

だが、ギアリングは適正で感触には一貫性があり、コーナリングフォースを線形的に高めていける。ハイスピードでもラインを狙いやすく、速度域を問わずインタラクティブに操舵できる充足感がある。

日常的に運転したいと思える振る舞い

現代のミドシップ・スポーツに準じる躍動感にまで迫れていない理由は、C8のボディサイズと重量が影響している。大きなボディは車線の幅を専有してしまうし、車線変更にも気を使うためだ。

しかし乗り心地はジェントルで、ボディが動く周期も穏やか。コーナーではボディロールが抑制され、波長の長い路面の起伏へ追従するように足が動く。

バーゲンプライスのスーパーカーではなく、日常的に運転したいと思える、乗りやすいスポーツカーらしい振る舞いがある。姿勢制御と初期の旋回性には少しダルな面もあるものの、十二分にダイナミック。ドライバーの心へも響いてくる。

シボレーの技術者は、C8のスプリングレートが、C7より遥かに硬いことを教えてくれた。だが、実用性と動的特性とのバランスを図り、多様なシーンに対応するキャラクターを与えたとも説明する。

そのバランス取りは成功したといえる。とても快適で心地良い長距離ランナーにもなってくれるし、継ぎ接ぎだらけの市街地や郊外の道でも、しなやかに走ってくれる。

滑らかで機敏で、落ち着きがある。ドライバーとの一体感も強く、コーナーを流れるように駆け抜ける。乗り心地に優れ、ハンドリングも素晴らしい。

ライバルとするスーパーカーより、シャシーのバランスや落ち着きは高いほど。エネルギッシュだが自然だ。そしてコルベットといえば、エンジン。C8でも、魅力の中心にあるのは6.2LのNA V8エンジンだ。

動力的にも音響的にも優れるNA V8

数え切れないほどの技術者が、ミドシップ・シャシーの設計と開発に注力してきた。古くからのシボレー・ファンのなかには、FRではないと内心は少し落胆している人もいるとは思う。

だが、コルベットの魅力は多面的なものへ展開したと思う。多くの訴求力を備え、高いオリジナリティも備えている。

コルベットのように、大排気量の自然吸気V8エンジンをミドシップしたスポーツカーは、他に存在しない。フロントエンジンなら、フォード・マスタングGTやレクサスRC-Fという例もあるが、コルベットと並ぶようなモデルではないだろう。

アクセルペダルのストロークは長く、右足に力を込めると、クラシックなコルベットに乗ったような不思議な感覚に陥る。レブリミット手前まで回すと、ややパワーデリバリーに息切れ感が出るものの、6000rpm以上まで軽快に吹け上がる。

NAエンジンらしくレスポンスは秀逸。豊かなトルクが線形的に湧いてくる。動力性能の実力は非常に高く、聴覚的にも楽しませてくれる。

ドライバーのすぐ後ろに載るエンジンからは、機械的な回転音やクリーミーと表現したくなる吸気ノイズ、内臓に響くエグゾーストノートが重層的に放たれる。すべてが本物のサウンドだ。

本領を発揮させれば速いだけでなく、音響面でもハイレベルなパフォーマーになる。それでいて、手を返したような低速域での洗練性にも唸らされる。

大きな衝撃を与えるスポーツカー

今回試乗したのは路面の滑らかなドイツで、左ハンドル車だった。非常に素晴らしいドライビング体験を与えてくれたが、英国の一般道ではどうだろう。高い期待が持てるが、最終的な評価は英国の環境で味わってから、自信を持ってお伝えしたい。

恐らく本当のクルマ好きなら、C8コルベットが放つノイズや、心にまで響いてくる本物の個性を嫌いにはなれないはず。シンプルに。

コルベットは、好きなスポーツカーの種類ではないかもしれない。かつての「らしさ」から脱却したことを、嘆くかもしれない。しかし最新型が、リスペクトすべきスポーツカーとして深く磨かれていることは事実だ。

世界規模で、大きな衝撃を与える存在であることは間違いない。いよいよ、ミドシップのシボレー・コルベットが英国へ上陸する時がやって来た。

シボレー・コルベット C8 3LTクーペ(欧州仕様)のスペック

英国価格:7万7150ポンド(1172万円/試乗車)
全長:4630mm
全幅:1933mm
全高:1235mm
最高速度:297km/h
0-100km/h加速:3.5秒
燃費:8.2km/L
CO2排出量:277g/km
車両重量:1655kg
パワートレイン:V型8気筒6162cc自然吸気
使用燃料:ガソリン
最高出力:481ps
最大トルク:62.3kg-m
ギアボックス:8速デュアルクラッチ・オートマティック

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みんなのコメント

1件
  • 先日初めて実車を見た
    写真だとフェラーリやランボルギーニの様な雰囲気に見えてたけど、実車は良くも悪くもアメ車要素に溢れたゴリ押し系で安心した
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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