「打倒メルセデス・ベンツ」、「ポルシェ911を従えてアウトバーンの追い越し車線を走る」、「初めてシルキーシックスを積んだ」、「BMWアイコン初採用」。今回はそんなBMW2800シリーズに魅せられ、夢を与えてくれた男の物語である。(Motor Magazine 2023年7月号より)
初の直6エンジンを搭載した、ビンテージモデル
世の中にはたくさんのクルマ好きがいるが︑彼らのお気に入りはさまざまだ。今回紹介するクリスチャン・チョーケさんが魅せられたのは1969年に開発コード「E3」で登場したBMWのアッパークラスサルーンである。
●【くるま問答】ガソリンの給油口は、なぜクルマによって右だったり左だったりするのか
直6エンジンの排気量によってBMW2500、あるいはBMW2800と呼ばれ、BMWがアッパークラス参入を目標とし、打倒メルセデス・ベンツを期していた。搭載した直6エンジンは150psを発生、そのスムーズさゆえにシルキーシックスと呼ばれ、ポルシェ911を従えてアウトバーンの追い越し車線を堂々と走ることができると称賛されていた。
デザインは、後にBMWのアイコンとなったCピラー根元にあるキンク(広がり)を発案した同社のチーフデザイナーのウィルヘルム・ホフマイスター氏が中心となり、ベルトーネとミケロッティが補佐して完成された。
このE3は77年までに約19万台が生産され、7シリーズへバトンタッチしたが、初のアッパークラス、初の直6エンジン、初のBMWアイコンを持ったデザインと卓越した性能によってBMWビンテージの一台に数えられている。
E3収集を契機に「ニューホライゾン プロジェクト」を企画
こうした理由で国際弁護士のチョーケさんは、このE3を気に入り、結果的に彼のコレクションホールにはベストコンディションのE3が合計20台も集まった。実は彼にはあるアイデアがあったのだ。それはこのクルマの誕生した69年ということも関係している。
この年は初の月面着陸など人類にとっても新たな時代の始まりを意味していたとチョーケさんは考えE3収集を契機に「ニューホライゾン(新たな地平線)プロジェクト」を企画、収集したE3が時代を超えて発展、進化していたらどんなことになるかを形にしたのである。それは現在の人々に当時のパイオニア精神を再び思い起こさせたいという大きな夢もあった。
そこでまず制作したのが「アートカー」である。BMW本社が75年から企画しているクルマに高名なアーティストがペイントしたクルマで、これまでに19台が発表されている。チョーケさんはE3をベースにドイツのポップアーティスト、ハイナー・マイヤー氏に依頼して69年に登場、大ヒット漫画「ピンクパンサー」をモチーフに同時代に起こった月面着陸などをアレンジして完成させた。
さらに70年代にBMWモータースポーツの象徴だった鮮やかなボディカラーであるインカレッド(あるいはインカオレンジ)を纏ったグループ1カーとスタンダードボディも完成させた。これらのクルマはすでに世界中の自動車ショーを始め、美術展示会などで披露され話題を集めた。とくにアートカーはマイアミで22年に開催されたアートバーゼル美術展で人気の的となった記憶は新しい。
4シーターオープンカーの次はシューティングブレーク
そして今回、西海岸で試乗したのが4シーターコンバーチブルモデル「カリフォルニア」である。このプロジェクトはチョーケさんが長年にわたって企画してきたもので完ぺきを目指すために多くの時間が費やされた。というのは存在しなかったモデルを4ドアサルーンから作り出さねばならなかったからである。
それは単にボディ剛性の確保といった簡単な問題ではなかった。彼の頭には「もしE3がカブリオレとして誕生していたらどうなっていたのか?」という当時の地平線の向こうにあった「プロジェクト﹂を再現したかったのである。
完成した4シーターオープンカー「カリフォルニア」は西海岸を3日間にわたるドライブでもほぼ完ぺきであった。唯一の問題点はスタイルとスペースの問題でソフトトップを持たないことだった。
しかし彼のプロジェクトはまだ終わっていない。現在は、E3ベースの「シューティングブレーク」が進行中なのである。しかもそれには彼の活動に共鳴したBMW本社もかかわっている。70年当時のデザイナーダイレクターであったポール・ブラック氏がデザインを担当することになったのである。
このE3シューティングブレークは24年には完成する予定で、チョーケさんはこのモデルで地平線の向こうにあった可能性を再現することで、現代人に再び夢を与えようとしているのだ。(文:木村好宏/写真:キムラオフィス)
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