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なぜ関西は「軽自動車」なのか? 西のサーキットでKカーがモテるワケ

掲載 更新 13
なぜ関西は「軽自動車」なのか? 西のサーキットでKカーがモテるワケ

年の瀬迫る年末恒例の走行会も大盛況

 京都の軽スポーツカー専門店、NAVIC(ナビック)が12月29日(火)、三重県鈴鹿市にあるモーターランド鈴鹿で2020年最後の走行会「ナビック年忘れマッタリ練習会2020」を行った。これはナビックが定期的に行っている軽自動車オンリーの走行会で、一人1万2000円で一日楽しめる。 一日とは言っても、通常ならば30分の走行枠が数回というのが通常だが、この「マッタリ練習会」は、チェッカーフラッグを振らないというコンセプトで、何年も行なっている。チェッカーフラッグを振らないというのは、上級中級初級と自己申告によるクラス分けと、それぞれ20分ずつという走行枠はあるものの、走行を止めないまま、緩やかに走行車両が入れ替わるというコンセプトで行われている。 セッションを区切ることで発生するインラップ、全コースクリアの確認、アウトラップの時間をカットすることで、より走行に集中できるという。もちろん、これには参加者の意識も必要だが、ここではすでに何年も行なわれており、その意識はきっちりと浸透しているようだ。年末押し迫ったこの日ももちろん大盛況で、参加台数は70台に迫る勢いであった。

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なぜ軽自動車熱が高まっているのか?

 参加者は基本的に中部・関西圏が中心となる走行会だが、この盛況ぶりはなぜか? この走行会を企画しているナビックの吉田謙一氏にこの関西のKカー盛り上がりについて訊いてみた。

「まずは何といっても車両価格が安い、というのがありますね。全国的に一緒だと思われがちですが、関西は特に安いと思いますよ。それにショップも多いんです。うちもKカー専門でやってますが、皆さんいいお客さんばかりで、助かってますよ」。 では、実際のところいくらで楽しめるのか? ナビックのデモカーをベースに考えてみる。たとえば、サーキットを走行するダイハツ・ミラ(L275V)。中古車をベースに、エンジンはNAのままだが、吸排気周りをファインチューン。 足まわりはオリジナルの車高調を組み、シャシー系もピロ化を行うなどのチューニング。さらにロールケージやフルバケットシートを組み込むことで、安全性も高めている。ここまで作り込んで車両代込み70万円で仕上がるという。 車両製作以外はどうか? この走行会を見てみると、ショップのデモカーこそローダーで移動しているものの、ほぼ全車がナンバーを装着した車両で自走参加。ほぼ終日、ひっきりなしに走行をしているにもかかわらず、燃料は“ほぼワンタンク”といったところだ。もちろんタイヤも消耗するが、所詮Kカー用のタイヤでリーズナブルである。

 こういった走行会がミニサーキットを中心に頻繁に行われているというのも関西の魅力のようだ。走行会だけでなく、タカスサーキットのようにKカーオンリーの競技も、盛り上がりに華を添える。

Kカーからキャリアアップしてスーパー耐久へ参戦

 今回の参加者の中には、ゲスト扱いでKカーを楽しんでいる大崎達也選手の姿もあった。大崎選手は、スーパー耐久シリーズ ST5クラスに#182号車「CLOSE UP RACING R’s FIT3」で参戦しているドライバーだ。今時のレーシングドライバーといえば、幼少時からレーシングカートをやってきたカートあがりというのが定番だが、彼はレーシングカートあがりではない。

 家庭環境として自動車競技の環境にはなかった大崎選手は、自動車免許取得後にトヨタMR-2(SW20)を手に入れてからサーキットデビューをしている。もっと上を目指す中でKカー走行会に出会い、そこを足掛かりに、鈴鹿でのフォーミュラエンジョイのFE-1クラスに参戦し2018年のタイトル獲得。さらに2019年にFE-2クラスを完全制覇。2019年のスーパー耐久シリーズ富士24時間レースに初参戦し、3位表彰台を獲得。そして2020シーズンは、同チームのレギュラーシートを獲得して参戦を続けているのだ。

「MR2で走行をしているときはいろいろイジっていましたが、チューニングに際限ないんですよね。そんなときにKカーを借りて走行をする機会がありまして、Kカーで走行をしているとだんだん運転がうまくなることがわかりました。なんといってもアンダーパワーで軽量、そして自分でセッティングもできる上に、ドライビングのミスがタイムなんかに露骨に響いてしまうんですね。自分がどう動かしたらいいかを常に問われているんです。また、大排気量車ではミスが大事につながることもあります。でもKカーなら軽いのですぐに止めることができます。それに、ドライビングも変えて簡単に試すことができので、腕を磨くにはぴったりなんです」。

「ごんた屋」の社長も楽しむ軽自動車の世界

 なんと、東京オートサロンや大阪オートメッセでおなじみのLEDショップ「ごんた屋」の東田徳久代表取締役も参加していた。東田社長は奥様と常連客という全員レース初心者というメンバーで、自身のチーム「GONTAYA LCT(LED CIRCUIT TEAM)」を立ち上げ、このKカー走行会で腕を磨き、タカスサーキット主催の「TAKASU.66 CHAMPIONSHIP」に参戦し、シリーズクラス3位を獲得している。

 今回は新たに仕上げたダイハツ・エッセのシェイクダウンも兼ねて、チームメイトと走行会に参加した。

「もともと大排気量&ターボ絶対主義でしたが、アルトワークスをライトチューンしてもらった車両でサーキットを走っていたらNAのエッセに抜かれたんですよ。もうね、それが理解できなくて・・・・・・。ミニサーキットならKカーでも普通車をカモることだってできる」とそこから小出力のKカーで遊ぶことにハマってしまった、というのだからKカーの世界も奥が深い。

レースクイーンだけのチームで耐久にも参戦

 この日、レースクイーンとして走行会に華を添え、さらに自ら走行会に参加をした蒼井りなちゃん。LALA SWEETという事務所で結成したキャンギャルチームでKカーの走行会やタカスサーキットでの8時間耐久レースに参戦している。 自身でスイフトを所有するりなちゃんは、レーシングカートなどにも乗ってきて、もっといろんなクルマに乗りたいと、Kカーの世界に足を踏み入れた。「ナビック年忘れマッタリ練習会2020」は2回目の参加だという。

「普段から軽自動車は身近にありますが、安心安全に街中を走るクルマ、ファミリーカーとかお母さんのクルマっていうイメージしかなくて、こんなにも走るクルマなんだって知りました。MRレイアウトのS660とか非力なエッセなど走らせ方にもいろんな発見があって楽しいです」。

ドリフトから軽自動車に転身し新たな可能性を模索

 ドリフト歴20年以上という中島恭子さん。10年ほど前にD1GPレディースリーグで活躍していたが、違うカテゴリーへ挑戦してみたいということで、ドリフト競技の第一線から退いたのちに、Kカーでの走行会に参加。

「FF車のドライビングの仕方がよくわかってなくて、Kカーに乗り始めて1年ほどですが、今までのクルマと全然違ってて難しいです。でもすごくいい勉強になります」。

 コストもリーズナブルで続けやすいこともあり、恭子さんは頻繁に走り込みを行なっている。これを足掛かりに、フォーミュラエンジョイなど、新しいカテゴリーで勝負したいという想いがあり、フォーミュラへ乗ることを画策中だという。その目標に向けてまずはKカーで練習を続けていくという。

街乗りが定番のミラジーノがサーキット専用車へ

 ちょっと変わりどころとしてミラ・ジーノを持ち込んでいたのは中西克之さん。ジーノだけに通勤車とか買い物クルマかと思いきや、サーキット走行専用車だという。もともとはスポーツカー好きで、NISSAN R35GT-Rも所有するが、そのR35はゼロヨン仕様にしてあり、サーキットでは乗らないという。

「ジーノは、自分が引き出してやらないと速く走れない。R35はこっちが引き出さなくても”クルマが”速く走ってくれますよね。それと、R35は全開走行ができない。できたとしても“一瞬”だけ。でもこれなら自分でも全開走行が可能で、けっこうな頻度で走れる。それがいいですよ」と語る。

軽自動車なら家族でも楽しめるサーキット遊び

 家族みんなでこの走行会にやってきたのは福田清高さん一家。オートグローズという板金塗装等を行う自動車関連会社を経営しており、お客さんと一緒に来場。車両は福田家用に2台を持ち込んで、麻友さん(左から2番目)と親子で一緒に走行をしている。

「なんといってもコストが安いのと、イベントがしょっちゅう行われているからお客さんと一緒に参加しやすいですよね。クルマを作るために最初のイニシャルコストは多少かかるものの、その後は安く済むので、長く楽しめるというのがKカーの魅力!」という。

軽自動車ってこんなにも楽しいを再認識

 この日、この走行会にゲストとして参加したのが、レーシングドライバーの福山英朗選手。箱車・耐久のスペシャリストとして長年活躍してきたレジェンドドライバーである。走行会のデモランや車両確認など、このモーターランド鈴鹿をKカーで終日走り込んだ。

「軽自動車ってこんなにも楽しいのか! というのを再認識しました。軽量で運動性能が高く、クルマの操作性の自由度も高い、まさにエンジョイドライビング、ファントゥドライビングが大きな魅力のカテゴリーですね。あと、ユーサーさんたちに話を訊くと、かなりローコストらしいということもわかりました。けっこう本格的に作り込み、かなり攻め込んだチューニングをしている車両でも自分の小遣いでできる、なんて話も聞き、驚いています。確かにタイヤも消耗品も全てにおいてローコストですからね」。 昼の時間に一時間だけ、タイムアタックという時間が設けられているので、そこでは計測タイムによる順位が付けられている。この結果による9クラスの表彰式、そしてじゃんけん大会で多くの賞品が参加者に配られ、この毎年恒例となっている12月29日の走行会は終了した。

 ナビックでは、2021年も今年と同様に4回の走行会を予定(スケジュールは間もなく発表)しているという。また、2月13日(土)には、Kカー練習走行会が鈴鹿ツインサーキット(フルコース)で開催される(こちらはレインボーカラーズが主催/参加費1万5000円、追加ドライバー2500円※1台につき3名まで、タイム計測プラス1000円)など、この場でもさらに次なる走行会の案内もあった。

 関西でのKカー熱はまだまだ冷めることはなさそうだ。

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みんなのコメント

13件
  • アクセル全開率が高くボディも軽く楽しいうえに車両も安く弄りやすいからいいよね。カートの操縦感を鈍くした感じかな。
  • みんな楽しそうでいい顔してるなぁ…
    20代はホント車1色だったんだけど、30になった時にはもう周りは結婚してていつの間にかボッチになってたなw で現在に至ると言う。NB8C、FC、FDと乗ってきたけど今は初代のコペンなんだなぁ
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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