もくじ
前編
ー お買い得 3台のアストン
ー アストン マーティンDB7を考える
ー テールライトは…マツダ
ー アナタはDB9派?
『アストン マーティン 3台乗り比べ』前編 すべての画像をみる
後編
ー DB7とDB9 異なる世界観
ー V12でこの世の果てまで
ー ヴァンテージ 新たな市場を探る
ー 手組みのV12 その走りは?
ー 3台のアストン アナタが選ぶのは?
お買い得 3台のアストン
アストン マーティン。世界中探しても、これほど血統の良いGTカーなどありはしない。この英国の名門が常に思い起こさせるのは、優れた血統ゆえの洗練されたイメージや、余裕ある速さに感じる慎み深い威信やモータースポーツでの印象的な歴史との結びつきだ。アストン マーティンは英国の典型的なブランドで、極くありがちな上流階級の姿を思い浮かべずにいられない。例えば、良家の出で、地方の別荘へ向かう道で飛ばすのを滅法好む紳士のクルマ、といったところだ。
もちろん、高貴な家柄や爵位が、必ずしも裕福であることと一致するわけではない。しばしば、領地の大邸宅は破産への片道切符になるし、庶民からすれば、アストンもその類だと皮肉りたくなるかもしれない。懐に余裕がなければ、ショールームに足を踏み入れるのも憚られるし、最新モデルを買えたとしても、年間の維持費は3万ポンド(435万円)を下らない。
しかし、誰かの過ちは、ほかの誰かのチャンスになりうる。DB7が手頃な価格で買えるのはおなじみとなっているが、それより新しいモデルも含めた今回の3台について知れば、驚きを覚えるかもしれない。今日では、どれも3万ポンド以上出さなくても、手に入れることができるのだ。下手をしたら、新車のBMW3シリーズより安いのである。もちろんM3ではなく、普通の仕様の話をしていることは言うまでもない。
この注目すべきリーズナブルさは、比較的多い生産台数と、その維持費が競走馬やヨットと同じように法外だという通説の産物だ。その評判の真偽はともかく、この程度の初期投資で特別な世界へ踏み出せるという誘惑からは目を背けがたい。となれば、買うべきはどれか吟味したくなるのが人情というものだ。
アストン マーティンDB7を考える
今回の3台のうち最も古いのは、265km/hに達するDB7だ。発表は1993年のジュネーブショー。瞬く間にヒットモデルとなり、最終的にそれまでのアストン史上最多の生産台数を記録した。このクルマが生まれなければ、今日このブランドは存続していなかったかもしれない。
アストン マーティンにとって初の本格量産モデルには、懐疑主義者も存在する。彼らの主張は、これがジャガーをベースにした純血でないモデルで、当時の親会社たるフォードの、名門ブランドを利用した金儲けの手段に過ぎないというものだ。しかも、開発を担ったのはTWRで、ニューポート・パグネルではなく、ジャガーXJ220を生産していたブロックスハム生まれだというのも、論拠となっている。
確かに、ベースとなるプラットフォームの源流はXJ-Sのそれで、イートン製スーパーチャージャーを装着した340psの直6も、当時のジャガーに積まれたものと基本的に同じエンジンではないかと思われる。しかし、それは本当に問題となるのだろうか。
DB7が、アストン マーティンの新たな方向性を示したことは間違いない。誕生から20年にわたり細々と作られていた、手作業のアルミ叩き出しボディのモデルがいよいよ恐竜のような時代遅れの存在となり、これに代わる新型車はスティールのモノコックを用いることになったのだ。これは、トヨタ車ベースのシグネットを除けば、ブランド至上唯一の採用例だが、それが纏うボディワークは実に美しかった。イアン・カラムのデザインは、まさに不朽の名作である。市販された数多のクルマの中にあって、最も魅力的な部類に入ると言っても良いだろう。
テールライトは…マツダ
仔細に観察すれば、コストダウンの跡は各所に見出せる。なにぶん、開発コストはフォードの基準で見れば極めて少ないものだったからだ。ドアハンドルやイグニッションキーには、場違いな印象を拭えない。ところがもっと目を引くテールライトは、流用元のマツダ・ファミリア・アスティナよりも見栄えが良いほどだ。
キャビンもまた、エクステリアと同様のことが言える。細々としたパーツの数々が、フォードグループの様々なクルマから借用されているのだが、おそらくグラナダのエアベントがどのようなものだったかなど記憶から消え去っているだろう。そもそも、1990年代半ばの英国車らしい豪華さを醸し出す柔らかなレザーや艶やかなウッドに、目は奪われてしまうはずだ。居心地はよく、伝統的な魅力さえ感じられる。
6気筒に火が入っても、洗練された穏やかさは失われない。実に静かで、過剰な演出や馬鹿げた騒々しさとは無縁だ。取材車はオプションの4段AT搭載車で、サイドシルから生えるサイドブレーキをリリースすれば、インテリアに見とれているうちにDB7は動き始める。これが純粋なアストンであろうがなかろうが、今までに乗ってきた記憶の中のアストンと同じフィーリングがここにはある。控えめながら狙いがはっきりしており、このうえなく快適で、丁重に居心地よく仕立てられている。
正直に言えば、ごく初期のアストンは泥臭いところがある。それとは対照的に、このDB7はパワーステアリングさえ備わるが、それが楽しく、天恵のような精確さと完璧な手応えを持つ。さらに至上の乗り心地で、真のGTの文法に則り注意深く作り上げられたことが感じられる。まさにワンダフル、そして、スーパーチャージャーの叫びはファビュラス。当時、AUTOCAR誌のロードテストでは困惑を呼ぶ結果だったにも関わらず、名声を得たのも納得だ。
アナタはDB9派?
DB7を横に停めると、DB9は鮮やかながら先代のアップデート版に過ぎないように見える。しかし、見た目はあてにならない。初期はイアン・カラムが手掛けたが、仕上げを担当したのはデンマーク人のヘンリク・フィスカー。彼は言う。「アストン マーティンで働き始めた頃、デザインスタジオがなかったので、モデルの仕上げはジャガーのスタジオで行いました。両社とも、フォードの傘下にありましたからね。そこでは誰が何をするかに困惑しました。とりわけ、メディア対応にね」
DB9のプロポーションやサイドビューはDB7に似たものだが、その下にはずっと先進的なエンジニアリングが隠れている。その飛躍度の大きさを強調するべく、車名の数字はひとつスキップされたのだ。それはもはや、世にあふれるスティールモノコックではなく、アルミ接着構造を用いたクルマである。垂直と水平の頭文字を取って命名されたそのVHプラットフォームは2001年、ヴァンキッシュに初めて採用され、以降全ての量産アストンの基礎となっている。
DB7の成功は、アストンの財務状況を改善し、将来への投資を可能にした。そのためDB9にも、それを生み出す施設にも予算の少なさに苦労した跡が見られず、生産工場は間借りのブロックスハムから、最新設備を揃えたゲイドンへと移った。その洗練性は、アルミシャシーに限ったものではない。キャビンも外装パネルもより完璧に近付き、特別感を高めている。
2003年のフランクフルトショーで披露されるまでに、アストンの高級感に対する認識はずいぶんと変わったようだ。艶やかなニス塗りだったウッドパネルは、緻密なサテンフィニッシュとなりブラシ仕上げのスタイリッシュなアルミ材と組み合わされていた。一方で、レザーをふんだんに張り込み、ルーフライニングにスウェードを奢るのは、今回の3台に共通する普遍的な要素だ。全体的な雰囲気は、建築物を思わせるクオリティと、20世紀後半のモダニズムの上質感が漂う。
後編では、まずDB9のV12を味わってみよう。
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