現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 軽さは正義と言うけれど、「バネ下重量」ってナニ? ドコ?

ここから本文です

軽さは正義と言うけれど、「バネ下重量」ってナニ? ドコ?

掲載 9
軽さは正義と言うけれど、「バネ下重量」ってナニ? ドコ?

サスペンションより下側に付いているパーツの重さ

 新型バイクやモデルチェンジの記事などで、たびたび目にする「バネ下重量」というコトバですが、一体何を意味しているのでしょうか? 「バネ」とは、サスペンションに備わるスプリングを指します。なので「下」はサスペンションのスプリングの下に装備されているすべてのパーツのコトで、それらの重量を「バネ下重量」と呼びます(バネ下質量やバネ下荷重の呼び方もアリ)。

【画像】「バネ下重量」ってドコ? 具体的にはコチラ!

 厳密に言えば「スプリングの下」なので、フロントフォークやリアショックユニットそのもののスプリングより下部で可動する部品の重量も含まれますが、一般的にはホイールやタイヤ、ブレーキキャリパーやディスクローター、スイングアームの重量になります。

 ほかにも、フロントフェンダーや前後輪の車軸(アクスルシャフトやナット)が含まれます。また外国車などで目にする、スイングアームから伸びるステーで取り付けたナンバープレートやリアフェンダーもバネ下重量になります。

軽いほど路面追従性がアップする!

 スポーツバイクにとって、運動性能を高めるために「軽さは正義」ですが、とくにバネ下重量の軽減は「タイヤの路面追従性」に大きく影響します。

 たとえばサーキットの路面(舗装)はもの凄く平滑でキレイに見えますが、実際は相応に凸凹しています。また一般公道はもっと凸凹しているし、路面のうねりや道路工事による舗装の継ぎ目なども多数あります。

 そこでサスペンションが緻密に伸縮することで、タイヤが路面の凹凸やうねりで飛び跳ねたりしないようにしており、この機能や性能を「路面追従性」と呼んでいます。

 もちろん路面追従性は、サスペンションの性能やタイヤの性能が大きく影響しますが、バネ下重量も大きく関係しています。

 まずバネ下にあるパーツの重量が重いほど慣性力が大きくなるため、サスぺンションが伸縮する応答スピードが低下します。反対に軽いほど素早く伸縮できるので、当然ながら路面追従性が向上します。

 またホイールやタイヤ、ディスクローターなど高速で回転するパーツには「ジャイロ効果」が生まれます。ジャイロ効果は「回転する物体が、その場所に留まろうとする力」ですが、回転速度や物体の重量が増すとジャイロ効果も大きくなります。というコトは、サスペンションが伸縮する動きを抑えるため、路面追従性が低下してしまいます。

 逆に言えば、バネ下重量が軽いほどサスペンションの動きを邪魔しないため、同じサスペンションでも路面追従性が向上します。

どうやって軽くしている?

 路面追従性を向上するのにバネ下重量の軽減はかなり効果的ですが、それではどうやって軽くしているのでしょうか?

 代表的なのはホイールの軽量化です。現代のキャストホイール(鋳造製法のアルミホイール)は、1970年代に登場した当時とは比較にならないほど軽量で、ヤマハのスーパースポーツモデル「YZF-R1」では軽量素材のマグネシウムを用いた軽量な鋳造ホイールを装備しています。

 またドゥカティの新型「パニガーレV4 S」(2025年型)が装備する新作のアルミ鍛造ホイールは、従来品より前後輪で2.17kg軽量化しています。

 ちなみに、MotoGPやスーパーバイクのレーシングマシンは、素材と製法で超軽量化を実現する「マグネシウム鍛造ホイール」を装備しています。またディスクローターは市販車がステンレス製なのに対し、MotoGPマシンはカーボン製のディスクを装備しています。

 300km/hからフルブレーキングするような状況では、ディスクローターが猛烈に発熱します。それを以前の鋳鉄素材のディスクで対応するには大径化や放熱性に優れるベンチレーテッド構造(2枚重ねのディスク板の間に空気通路を設けた構造)にする必要があり、そうすると重量が増してジャイロ効果が大きくなってしまいます。それを避けて高い路面追従性を確保するために、放熱性に優れた超軽量なカーボン製のディスクローターを採用しているのです。

 またスイングアームも薄いアルミのプレス材で作ったり、猛烈に肉抜きしたアルミ鋳造など、様々な製法や形状で軽量化を促進しています。

 ほかにも、「パニガーレV4 S」ではフロントブレーキにブレンボの新作「Hypureモノブロックキャリパー」を装備していますが、これは従来品より30g軽量化しています。ほんの僅かですが、そこまでバネ下荷重に拘っている証でもあります。

 また中~大排気量車では、ホイールの軸に高い剛性を求めて「中空アクスルシャフト」を採用するバイクも増えています。これは径を太くしながら重量を軽減できるメリットがあります。

バネ下重量は、カスタムで体感できる!

 バネ下重量の軽減は多くのメリットがあり、レーシングマシンはもちろん、市販のスーパースポーツ車も大いに拘って開発されています。

 また近年はカスタムパーツとしてアフターパーツメーカーから軽量なアルミ鍛造ホイールがリリースされており、多様な車種に対応しています。

 なので、少し旧いネイキッド車などの純正キャストホイールをアルミ鍛造ホイールに交換すると、バネ下重量の軽減の効果をハッキリ感じることができます。

 このように、路面追従性が高まるバネ下重量の軽減ですが、ジャイロ効果が小さくなることで、じつは直進安定性が低下します。スポーツ性においてはデメリットではありませんが、たとえばクルーザー系やツアラー系を軽量ホイールに交換すると、巡航時の安定性や落ち着きが減った……と感じるかもしれません。

 これはサスペンションのセッティングで解決できる場合もあるので、カスタムの際には知見の高いショップに相談するのがオススメです。

文:バイクのニュース 伊藤康司
【キャンペーン】第2・4金土日は7円/L引き!ガソリン・軽油をお得に給油!(要マイカー登録&特定情報の入力)

こんな記事も読まれています

《先取り大研究》トヨタ・ランドクルーザーFJ
《先取り大研究》トヨタ・ランドクルーザーFJ
グーネット
メルセデスAMG「CLA」最終モデル。ブラック×イエローの専用デザインが光る特別仕様
メルセデスAMG「CLA」最終モデル。ブラック×イエローの専用デザインが光る特別仕様
グーネット
名建築が連なる「新井旅館」で湯と和の美に浸る【心を満たす温泉宿24選】
名建築が連なる「新井旅館」で湯と和の美に浸る【心を満たす温泉宿24選】
グーネット
ホンダ「ステップワゴン」快適装備がさらに充実!家族にうれしい30周年記念モデル
ホンダ「ステップワゴン」快適装備がさらに充実!家族にうれしい30周年記念モデル
グーネット
新型「RAV4」“アーバン”と“ラギッド”。モデリスタが魅せる2つのカスタムスタイル
新型「RAV4」“アーバン”と“ラギッド”。モデリスタが魅せる2つのカスタムスタイル
グーネット
ランクル盗難に新対策! KINTOが“後付けセキュリティシステム”提供開始
ランクル盗難に新対策! KINTOが“後付けセキュリティシステム”提供開始
グーネット
三菱「デリカD:5」待ってましたの大幅改良! アウトドア派の気分高めるニューフェイス
三菱「デリカD:5」待ってましたの大幅改良! アウトドア派の気分高めるニューフェイス
グーネット
右肩上がりのデリカD:5が改良新型でさらに魅力アップ!
右肩上がりのデリカD:5が改良新型でさらに魅力アップ!
グーネット
日産「セレナ」オーテックモデルもマイチェン! 収納性特化モデルをラインナップ追加
日産「セレナ」オーテックモデルもマイチェン! 収納性特化モデルをラインナップ追加
グーネット
最高出力1360ps!? メルセデスベンツ コンセプトAMG GT XXがモンスターマシンすぎる件
最高出力1360ps!? メルセデスベンツ コンセプトAMG GT XXがモンスターマシンすぎる件
ベストカーWeb
日野、北海道・東北・関東の直営販社5社を台湾の和泰汽車に売却
日野、北海道・東北・関東の直営販社5社を台湾の和泰汽車に売却
日刊自動車新聞
スズキ新型「コンパクトSUV」まもなく発売に反響殺到! 「“87万円オトク”なら購入検討したい」「内装が想像以上に豪華」「四駆だし雪道で強そう」の声も! 装備充実の「eビターラ」最高級モデルに注目!
スズキ新型「コンパクトSUV」まもなく発売に反響殺到! 「“87万円オトク”なら購入検討したい」「内装が想像以上に豪華」「四駆だし雪道で強そう」の声も! 装備充実の「eビターラ」最高級モデルに注目!
くるまのニュース
スーパーフォーミュラ・ライツ鈴鹿合同テストでオーバーテイクを促進する“P2Pシステム”を将来に向けた検討としてテスト
スーパーフォーミュラ・ライツ鈴鹿合同テストでオーバーテイクを促進する“P2Pシステム”を将来に向けた検討としてテスト
AUTOSPORT web
シンプルでカッコよく 快適な乗り心地を実現! ヤマハが開発した“電動アシスト自転車”「パスクレイグアリー」ってどんなモデル?
シンプルでカッコよく 快適な乗り心地を実現! ヤマハが開発した“電動アシスト自転車”「パスクレイグアリー」ってどんなモデル?
VAGUE
ロロ・ピアーナのオーバーコート──クラシックな定番アイテムから『GQ』が選ぶベスト・オブ・ベスト
ロロ・ピアーナのオーバーコート──クラシックな定番アイテムから『GQ』が選ぶベスト・オブ・ベスト
GQ JAPAN
やっぱスーパーカー世代のヒーローは「ミウラ」だよね! 半世紀以上前に登場した「黄色いランボ」がオークション登場 どこから見ても美しい“後期型”の価値とは
やっぱスーパーカー世代のヒーローは「ミウラ」だよね! 半世紀以上前に登場した「黄色いランボ」がオークション登場 どこから見ても美しい“後期型”の価値とは
VAGUE
大幅刷新の三菱「新型デリカD:5」正式発表! 斬新「4枚刃」グリルを「卒業」!? 精悍「黒マスク」で超カッコいい! 唯一無二の「SUVミニバン」どう変わったのか
大幅刷新の三菱「新型デリカD:5」正式発表! 斬新「4枚刃」グリルを「卒業」!? 精悍「黒マスク」で超カッコいい! 唯一無二の「SUVミニバン」どう変わったのか
くるまのニュース
驚くほど広がる後方視界、ホンダ「Nシリーズ」専用「リアビューミラー&カバー」が発売
驚くほど広がる後方視界、ホンダ「Nシリーズ」専用「リアビューミラー&カバー」が発売
レスポンス

みんなのコメント

9件
  • ウエケン
    バネ下重量をイメージするには自分がベンチなんかにうつ伏せになって腕がぶらんとなる状態で鉄アレイを手で持って上下させてみると良い。
    重ければゆっくりとしか動かせないが軽ければ速く動かすことが出来る。
    タイヤにボディが乗ってるのではなく、ボディにタイヤがぶら下がっているイメージ。
  • HADNJH
    ただ軽いと高速の安定性と直進性は落ちますね。
    重いバイクは高速は楽 スポーツタイプに比べ反応、動きが鈍いとも言える
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村