この記事をまとめると
■初代トヨタbBは2000年の東京オートサロンで突如発表された
ピンクに玉虫色! キウイにマンゴーってマジか! 自由過ぎて衝撃のクルマの純正ボディカラーたち
■オーナーによるカスタムを前提としたため社外製パーツをディーラーで購入できた
■マイナーチェンジごとにさまざまな特別仕様車が登場して2代目モデルへと進化した
アメリカンなカスタムが似合う四角いコンパクトカー
いまから約24年前、ミレニアムの2000年1月7日、東京オートサロンのトヨタブースで突如として発表されたのが、トヨタbBだ。そのネーミングはblack Box(ブラックボックス)の頭文字をとったもので、試作車なしのデジタル設計を用いた、ズバリ、若者向けカスタマイズ前提(!?)のボクシーなトールボックス型デザインのコンパクトカーであった。
初代ヴィッツの派生車であるファンカーゴ譲りのプラットフォームを用い、ボディサイズは全長3825(1.5・Z・2WD)~3845(1.5・“X Version”・2WD/1.3・“X Version”・2WD)×全幅1690×全高1640mm、ホイールベース2500mmというもの。
最大の特徴はエクステリアにあり、カクカクしたボディにビレット風グリルをあしらった、「ワル」っぽいデザインの個性が際立つものであった。だからだろうか、東京オートサロンのbB専用ブースに並べられたbBにノーマルモデルは一切なく、なんと、すべてオートサロンに相応しいカスタマイズモデルだけを展示。オートサロンの場に相応しい新型車デビューとして話題を一気にさらったのである。
そのカスタマイズモデルは、トヨタのカスタマイズ部門であるモデリスタが製作した「ストリートビレット」、bBの純正ディーラーオプション装着車の「キャルルック」、「SUPER Vセレクション」を始め、アフターマーケットメーカーのダムド、Gスクエア、ヴァルド、ケンスタイルなど、ドレスアップ、コンプリートされたカスタマイズカーの合計11台の布陣でお披露目されたのである。
特筆すべきは、モデリスタ、トヨタ純正パーツはもちろん、アフターマーケットのアイテムも、bBの販売店である全国のネッツ店で購入、装着できる計らいである。
ビレット、キャルルックというフレーズが出ていたことからも、アメリカンなカスタマイズ前提のクルマがbBだったわけだ。2000年1月7日の東京オートサロンでアフターマーケットのパーツを装着したカスタマイズカーが展示されたということは、それ以前の1999年中にアフターマーケットのメーカーに新車のbBが納車され、カスタマイズパーツを製作していたことになり、これもまた異例のことだった。
ちなみに、開発責任者はトヨタ86(ZN6型/2012年~)やスープラ(DB型/2019年~)の開発責任者でもある、あの多田哲哉さんである!!
そんな初代bBのパワーユニットは2NZ-FE型1.3リッター直4/88馬力と、1NZ-FE型1.5リッター直4/110馬力の2種類が搭載され、ミッションは4速ATが組み合わされていた。このあたりはごく平凡といっていい。
改良を重ねてより個性的になっていった初代bB
2000年12月には、ベースとなったファンカーゴとはまったく別物の攻めたコンセプト、多田さんの遊び心(!?)から、早くも一部改良を受け、EDB付きABSを標準装備するとともに、特別仕様車としてこれまたアメリカンなマジョーラカラーのエメラルドスぺクトラシャインに塗られた「マジョーラ」が登場している。
デビューの翌年、2001年6月にはピックアップ風の荷台を持つオープンデッキが登場(エンブレムはbBではなくOD。2001年6月~2003年3月)。さらに、2002年1月には特別仕様車Z煌(きらめき) Edition・X Versionが登場。ステンレス製パーツや金属調塗装を用いたフロントグリルなど、純正ノーマルモデルにしてカスタマイズ色を強めた、これぞbB!! というモデルであった。
2003年4月のマイナーチェンジでは、前後バンパーの大型化、アンダースポイラーの装着、フロントバンパーグリルのメッシュ化を始め、インテリアではステアリング、センタークラスターのデザインが変更され、カップホルダーに照明を追加。カップホルダーの照明は、「クルマ型MUSIC PLAYER」をコンセプトにした2代目bB(ダイハツブランドでは「クー」を名乗る)のクラブチックな光の演出を先駆けたものといっていいかも知れない。※クラブといってもおねーちゃんが接待するクラブではなく、DJのいる若者向けの踊るためのクラブのほうである。
bBに乗り込んでみれば、トールボックス型デザインのボディゆえに、室内空間は広々。後席にしても、アップライトなシートレイアウトながら天井が高く、頭上、膝まわり空間ともにゆったり。ただし、シートクッションは平板で、あくまで前席優先のパッケージ、考え方だったようだ。また、走行性能はエンジンのレスポンスのよさもあり、街なかをそこそこキビキビ走ることができ、乗り心地もしっかり快適。高速走行も不満なくこなしてくれた印象がある。
その後も特別仕様車を続々と登場させ、2005年7月に登場した特別仕様車「S W Version・HIDセレクションII」・「Z HIDセレクションII」を最後に、2005年11月に生産を終え、翌12月に販売終了。新たに当時のトヨタ・バッソ、ダイハツ・ブーンのプラットフォームを用いた2代目bBへと引き継がれることになる。
いずれにしても、初代bBは当時のやんちゃな!? 若者だけでなく、ちょい悪なオヤジたちにも大ウケ。カスタマイズの楽しみ、デートカーとしての使い方を思う存分味わせてくれた、トヨタ車としては遊び心をめいっぱい詰め込んだユニークすぎる1台であった。
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みんなのコメント
2代目bBがダイハツ製になった上、若者ウケを狙い過ぎてはじめから中途半端にいじくり倒したスタイルになり失敗したことからもいえる。