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29歳、フェラーリを買う──Vol.60  612スカリエッティのオウナーに会う

掲載 更新 10
29歳、フェラーリを買う──Vol.60  612スカリエッティのオウナーに会う

『GQ JAPAN』の編集者・イナガキ(29歳)が、ひょんなことから中古のフェラーリを購入した! 勢いで買ってしまったフェラーリのある生活とは? 今回は、612スカリエッティを最近購入した、とあるオウナーのお話。

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新車の「ローマ」に買い換えるべきか、それとも認定中古車を購入すべきか……と、散々悩んだものの、まずは360モデナのフェラーリ・クラシケ認証を取得し、価値を高めることにした。

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ただし、認証取得のためには足まわりを純正品に戻すなどの作業が生じるため、まだ先になりそう。そこで、まずは1年点検を受けることにした。

入庫日程を調整するため、フェラーリ横浜サービス・センターの高橋忠久工場長に電話したところ、「稲垣さんの記事を見て、入庫されたお客様がいらっしゃいましたよ」とのこと。書き手として、ちょっと嬉しい。

その人は、中古の「612スカリエッティ」を購入したという。2004年登場の612スカリエッティは、5.7リッターV型12気筒ガソリン・エンジンを搭載する4人乗りのクーペである。中古車市場ではそれなりに流通していて、アンダー1000万円の個体もちらほら。新車価格が3000万円前後だったから、“お買い得”かもしれない。が、「ちょっと古いV12フェラーリはトラブルも多い」と、以前、噂で聞いた。

本当にトラブルは多いのだろうか? ボク自身、ウェブ上の情報に惑わされた経験を有するだけに気になる。そこで、オウナーにインタビュー出来ないか、と、高橋工場長に相談した。すると「お引き受けいただけるとのことです」と、嬉しい返事が。

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人生初のフェラーリ

6月下旬、オウナーの馬橋令さんとお会いした。馬橋さんは三菱商事から博報堂勤務を経て、現在は、個人で不動産賃貸業(大家業)を営んでいる。訊くと、612スカリエッティは人生初のフェラーリという。

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「それまで乗っていたポルシェ911(タイプ997)カブリオレのエンジンに大きなトラブルが発生したため、612スカリエッティに乗り換えました」

以前はポルシェにお乗りだったという。しかも内外装にこだわったフルオーダー車というから、さぞやクルマ好きの人かと思いきや「クルマに関心はありますが、“マニア”ではありません」とのこと。ただし、「1970年代のスーパーカー・ブームを経験していますから、ポルシェやフェラーリは昔から憧れでした」と、話す。

これまでの愛車を訊くと、シボレー「カマロ」(3代目)→メルセデス・ベンツ「Sクラス」(3代目)→メルセデス・ベンツ「SLクラス」(5代目)→ポルシェ「911カブリオレ」、そして612スカリエッティの5台のみ。1台のクルマに長く乗るそうだ。

「911に乗っていましたから、次も911を購入しようと考えていました。が、最新の911(タイプ992)を試乗したところ、どうもシックリこなかったんです。そこで、先代911(タイプ991)の中古車を探し始めました」

先代911(タイプ991)の中古車価格があまり下がっておらず、高いなぁ、と思っていたとき、“ほんの出来心”で612スカリエッティを検索したという。かつて等々力のコーンズで見た、藤色(ブルーミラボー)の612スカリエッティが忘れられなかったからだ。「当時、フェラーリを購入するには、人としての“格”が足りないのでは? と、思い、憧れで終わっていましたね」と、馬橋さん。

かつての憧れのクルマを調べると、思いもよらぬ相場に驚いたという。「これなら購入出来るかもしれない……」と、胸が弾む反面、「フェラーリは壊れやすいという噂もあるし、修理費用も高額らしいからなぁ……」と、不安がよぎった。そこで、ウェブ上で情報を収集したとき、ボクの記事がヒットしたという。

「イナガキさんの記事を読んで、故障を気にしていてもしょうがないのでは? と、思うようになりました。なにより、憧れのクルマを手にいれるのが人生を豊かにするうえで、重要であると思ったのです。なにかトラブルに見舞われたら、フェラーリ横浜サービス・センターに持ち込めばいいだけですしね(笑)」

周囲に相談したところ、「欲しいなら買ってしまえば?」と、後押しされたという。また、新型コロナウィルス感染拡大に伴い、相場が若干下落したことも購入の決め手だった。

想像したより安価だった整備費用

購入した612スカリエッティは、5オウナーの個体で、走行距離は約2万5000kmだった。価格は、予算内に収まる1000万円以下。くわえて、板金や飛び石の補修、車検費用に50万円を支払ったという。

「実は360モデナやF430も考えました。が、911のときに“4人乗り(2+2)”の実用性を事あるごとに実感したので、612スカリエッティに落ち着きました」

納車後、すぐにフェラーリ横浜サービス・センターへ持ち込んだという。

「納車直後からいくつかの警告灯が点灯しました。どれも走行に支障はありませんでしたし、すぐに消えたものもありました」

整備内容を訊くと、タイヤ空気圧センサーやオイル、ドアロックのアラームサイレン、前後ブレーキパッドを交換。さらに、左右ドアガラスの位置調整などをした結果、総額約60万円を要したという。

が、馬橋さんは「許容範囲です。もっと壊れている箇所が多いと思っていましたから(笑)」と、述べる。

「車両価格が比較的安価だったので、991の想定落札価格との差である整備費用に200万円ほど確保出来ていました。以前乗っていた911も、1回の整備に50~60万円要していたので、それほど高額とは思いません。それに、“3桁万円かかるのでは?”と、思い込んでいただけに、予想外の金額でした」

ポルシェに乗っていたときは、1度だけ専門店に持ち込んだという。整備費用こそ抑えられたものの、対応がイマイチだったそうで、以降は、正規ディーラーに依頼していたという。

「多少高額でも、正規ディーラーの安心感に勝るものはないですね。とくに、私のようなクルマにそれほど詳しくない場合、なおさら安心です」

現在、馬橋さんの612スカリエッティは絶好調という。納車から3カ月過ぎた現在、走行距離は約3000km伸びた。「普段の“足”として乗るには勿体ないですから、息抜き時のドライブ用としてフェラーリ・ライフを楽しんでいます」と、馬橋さん。

気づけば、フェラーリの魅力にどっぷりはまってしまったそうだ。フェラーリのミニカーやアパレルグッズ、書籍などを購入したという。

「これほどフェラーリを好きになるとは思いませんでした。ポルシェに乗っていたときは、周囲の『フェラーリは性能に比べて高価』『金持ちの道楽』などの言葉に“洗脳”されていましたが、それが間違いであったことに気づきました」

気になるフェラーリを訊くと、「ローマですね。ウェブサイトでしか見ていませんが、スタイリングが素晴らしいからです。なにより信頼しているイナガキさんの”フェラーリの新車は、保有コストが安く合理的かもしれない”という記事にも大きく影響受けたからです。しばらくはこの612スカリエッティが気に入っているので乗る予定ですが、いつかの夢として新車のフェラーリも所有してみたいですね!」と、話す。

馬橋さんの“フェラーリ愛”はスタートしたばかり。ぜひ、とことん深めてほしい。ボクもそうだったが、所有したからこそ得られる歓びは何ものにも代え難いのだから。

『29歳、フェラーリを買う』直近記事
Vol.59  認定中古車で迷う(後編)
Vol.58  認定中古車で迷う(前編)
Vol.57 フェラーリ・オウナー専用のスマホ・アプリとは?
Vol.56 新車フェラーリの購入はいかに
Vol.55 いざ、新車フェラーリの商談へ!
Vol.54 ローマの購入を真剣に考える
Vol.53 1カ月半ぶりのドライブへ(後編)
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Vol.49  カスタマイズ費用の総額
Vol.48 ちょっと古いフェラーリのランニングコスト
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Vol.44 フェラーリでスキーに連れてって!
Vol.43 ドアがロックされない!後編
Vol.42 ドアがロックされない!前編
Vol.41 トラブル発生! ドアが開かない!?
Vol.40 超有名漫画家が360モデナを描き下ろす!
Vol.39 新車フェラーリを購入!?

文・稲垣邦康(GQ) 写真・安井宏充(Weekend.)

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