現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > SUVのスライドドアなぜ出ない? コンセプトカー出るも市販無しの理由とは

ここから本文です

SUVのスライドドアなぜ出ない? コンセプトカー出るも市販無しの理由とは

掲載 更新 10
SUVのスライドドアなぜ出ない? コンセプトカー出るも市販無しの理由とは

■軽やミニバンでは定番装備といえるスライドドア

 2010年代に入ってから、日本の新車市場では後席スライドドア(以下、スライドドア)のクルマが人気です。スライドドアと聞いて多くの人がイメージするのは、まずミニバンでしょう。

新型「ハリアー」にそっくり!? トヨタ新型「ヴェンザ」2020内に発売!

 日産「セレナ」やトヨタ「ノア/ヴォクシー/エスクァイア」といったミドルクラスからトヨタ「アルファード/ヴェルファイア」などラージモデル、そしてトヨタ「シエンタ」やホンダ「フリード」など人気が高まっているコンパクトミニバンも主流はスライドドアです。

 かつてはトヨタ「ウイッシュ」やホンダ「ストリーム」など、背が低くてスライドドアではなくヒンジドアを備えるミニバンが人気となった時代もありましたが、気がつけばそれらはほぼ消滅。ミニバンといえば、スライドドアが当たり前となっています。

 そして、スライドドアが好まれているのはミニバンだけではありません。ホンダ「N-BOX」、スズキ「スペーシア」、そしてダイハツ「タント」などスーパーハイトワゴンと呼ばれる背の高い軽乗用車がまさにそうです。

 それらは軽自動車としてトップを争う販売台数を誇るだけでなく、登録車(普通車や小型車)も含めた日本の乗用車市場でも最量販モデルのポジションを競っています。ミニバンではありませんが、それらもスライドドアを組み合わせています。

 また、トヨタ「ルーミー」やスズキ「ソリオ」など背の高いワゴンタイプのコンパクトワゴンもスライドドアです。

 スライドドアのメリットはどんなところにあるのかというと、最大のメリットは狭い場所でもドアを全開にできることです。

 ヒンジ式ドア(一般的なドア)を最大に開こうとするとクルマの横に広い空間が必要となりますが、開放時に大きく張り出さないスライドドアならば車体の脇に20cmほどの空間があればドアを全開にできるのです。

 また、ドアを開けた際に隣のクルマや壁にドアを当てる心配がないこと、電動開閉式であれば力を必要とせず開け閉めできるとともに、車種によってはタクシーのように開閉を運転席からコントロールできるのも使い勝手に優れる部分といえます。

 さらには乗り降りの際にドアが邪魔にならないことや、小さな子供を抱きかかえたままでも乗ったり降りたりしやすい、などもメリットといえるでしょう。

 ところで昨今は、日本でもSUVの人気が盛り上がっていて、販売台数も増えています。しかし、便利なスライドドアを装着したSUVは見かけません。いったい、どうしてでしょうか。

 ひとつは、乗降スタイルの違いです。スライドドアは、どんなクルマと組み合わせても都合がいいというわけではありません。

 実用的に使うにはある程度の開口部の天地高が必要で、具体的には軽自動車スーパーハイトワゴンやホンダ「オデッセイ」程のドア開口高(約1.2m)が欠かせません。

 さらに、開放時のドアの張り出しを抑えるためにはボディサイドがミニバンや軽自動車のようにフラットに近いことも求められます。

 スライドレールなども装着しなければならいから、デザインの制約も生まれます。

 それらを考えると、SUVとスライドドアのマッチングはよくないことが理解できるでしょう。スライドドアは、あくまでも箱形のボディとの相性がいいのです。

■欧米ではスライドドアの人気があまりない? その理由とは

 また、別の理由もあります。それはニーズです。日本では好まれるスライドドアですが、じつは海外ではアジアなど一部地域を除いて日本と違い需要が多くありません。

 むしろ欧米では商用車やファミリーカーのイメージから、敬遠される風潮もあります。

 日本専用モデルが多いミニバンと違い、日本で販売するSUVの多くは北米や欧州でも販売することを前提に開発されているので、世界的な販売を考えるとあえてスライドドアを選ぶという判断はしにくいのです。

 ただし、トヨタ「TJクルーザー」など、モーターショーで展示されるコンセプトカーではスライドドアを組み合わせたSUVも存在します。

 それらは新しいマーケットを開拓する提案としている場合もありますが、多くはインテリアを見せるためにスライドドア化されるという理由があります。

 開いたドアが邪魔をして室内が見えにくいスイングドアよりも、開いたときにまわりからの視界を遮らないスライドドアのほうがショーカーとして適しているというわけです。使い勝手を求めたものではないから、乗り降りはしづらい場合がほとんどです。

 もちろんそれらは、後にそのコンセプトカーと関連の深い市販車が登場しても、スライドドアではなくヒンジ式ドアとなるのが一般的です。

 そんな事情を考えるとSUVにスライドドアの組み合わせが現実的でないことが理解できるでしょう。

 しかし、もしもアメリカや欧州においてスライドドアの人気が高まり、ミニバンのように室内高の高いSUVが大ブレイクする時があれば、その時にはスライドドアを組み合わせるかもしれません。

こんな記事も読まれています

一般車両侵入でSS12中止のラリージャパン、主催者に約800万円の罰金! 執行猶予付き1600万円の追加罰金も
一般車両侵入でSS12中止のラリージャパン、主催者に約800万円の罰金! 執行猶予付き1600万円の追加罰金も
motorsport.com 日本版
日本に世界が注目!? 公道激走バトルの「ラリー」開催! 3年目の「ラリージャパン」どんな感じ? トヨタ会長が語る
日本に世界が注目!? 公道激走バトルの「ラリー」開催! 3年目の「ラリージャパン」どんな感じ? トヨタ会長が語る
くるまのニュース
新型3列シート電動SUV『アイオニック9』正式発表、充電中は4人が広々休憩も…ロサンゼルスモーターショー2024
新型3列シート電動SUV『アイオニック9』正式発表、充電中は4人が広々休憩も…ロサンゼルスモーターショー2024
レスポンス
全国に「警察軽トラ」配備へ なぜ? 警察庁初の取り組み、理由は? ダイハツ製61台を24年度中に導入! 各都道府県警察で運用
全国に「警察軽トラ」配備へ なぜ? 警察庁初の取り組み、理由は? ダイハツ製61台を24年度中に導入! 各都道府県警察で運用
くるまのニュース
転倒時にバイクを守る! エンジンガードは装着した方がいいのか?
転倒時にバイクを守る! エンジンガードは装着した方がいいのか?
バイクのニュース
『ランクル40 / 70』にもピッタリ! トーヨータイヤ『OPEN COUNTRY A/T III』がラインアップ拡充
『ランクル40 / 70』にもピッタリ! トーヨータイヤ『OPEN COUNTRY A/T III』がラインアップ拡充
レスポンス
寒いとバカっ速! ラスベガスで完勝ワンツーのメルセデス、懸念のグレイニングも一切出ず「不思議だね」とウルフ代表
寒いとバカっ速! ラスベガスで完勝ワンツーのメルセデス、懸念のグレイニングも一切出ず「不思議だね」とウルフ代表
motorsport.com 日本版
夢だけで終わらせたくない「マイ・バイクガレージ」 たぐちかつみ・マイガレージ回顧録 VOL.01
夢だけで終わらせたくない「マイ・バイクガレージ」 たぐちかつみ・マイガレージ回顧録 VOL.01
バイクのニュース
約99万円! トヨタ新型「“軽”セダン」発表! 全長3.4m級ボディで4人乗れる! 安全性向上&寒さ対策UPの「ピクシス エポック」どんな人が買う?
約99万円! トヨタ新型「“軽”セダン」発表! 全長3.4m級ボディで4人乗れる! 安全性向上&寒さ対策UPの「ピクシス エポック」どんな人が買う?
くるまのニュース
「(次期)セリカ、作ります!」ラリージャパン会場でトヨタ中嶋副社長が明言!! 開発開始を宣言、次期86も「出す」
「(次期)セリカ、作ります!」ラリージャパン会場でトヨタ中嶋副社長が明言!! 開発開始を宣言、次期86も「出す」
ベストカーWeb
スズキ・フロンクスが月販目標の9倍も受注! 絶好調な理由は小さくて安いのに感じられる「高級感」!!
スズキ・フロンクスが月販目標の9倍も受注! 絶好調な理由は小さくて安いのに感じられる「高級感」!!
WEB CARTOP
車載電池のノースボルト、米国で破産法を申請 事業継続にめど
車載電池のノースボルト、米国で破産法を申請 事業継続にめど
日刊自動車新聞
【初試乗!】さらにスポーティになった「メルセデスAMG GT 63 PRO」はポルシェとのGT対決に終止符を打てるか!?
【初試乗!】さらにスポーティになった「メルセデスAMG GT 63 PRO」はポルシェとのGT対決に終止符を打てるか!?
AutoBild Japan
レクサス新型「FF最大・最上級セダン」世界初公開に大反響! めちゃ“斬新グリル”&一文字ライト採用! “6年ぶり”に内外装刷新の「ES」中国に登場!
レクサス新型「FF最大・最上級セダン」世界初公開に大反響! めちゃ“斬新グリル”&一文字ライト採用! “6年ぶり”に内外装刷新の「ES」中国に登場!
くるまのニュース
20年前の個体なのに走行距離301キロ!? 555台の限定車 BMWアルピナ「ロードスターV8」がオークションに登場 極上車の気になる予想価格とは
20年前の個体なのに走行距離301キロ!? 555台の限定車 BMWアルピナ「ロードスターV8」がオークションに登場 極上車の気になる予想価格とは
VAGUE
完璧なシーズンでも届かない、王者の背中。ノリス「たとえミスがなかったとしてもタイトルを手にできたかどうか……」
完璧なシーズンでも届かない、王者の背中。ノリス「たとえミスがなかったとしてもタイトルを手にできたかどうか……」
motorsport.com 日本版
苦手な「前向き駐車」なぜコンビニで推奨されるのか? 「もちろんやってる」「出る時が怖い…」賛否あり!? バック駐車じゃない理由への反響は?
苦手な「前向き駐車」なぜコンビニで推奨されるのか? 「もちろんやってる」「出る時が怖い…」賛否あり!? バック駐車じゃない理由への反響は?
くるまのニュース
今でも現役! いろんなバイクに採用されています。「SOHC」とは?【バイク用語辞典】
今でも現役! いろんなバイクに採用されています。「SOHC」とは?【バイク用語辞典】
バイクのニュース

みんなのコメント

10件
  • 観光バスみたいにステー(でいいの?)が付いていて、迫り出してスライドするならダメなの?
  • 何故にスライドドアに拘る?
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

540.0872.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

14.92199.0万円

中古車を検索
アルファードの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

540.0872.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

14.92199.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村